【長期レビュー】3ヶ月間iPhone 6・iPhone 6 Plusと付き合ってみて感じた問題点と総評

iPhone 6とiPhone 6 Plusを発売日から3ヶ月以上使ってみたので、そろそろレビューにまとめようと思います。

iPhoneシリーズ初の手に余るサイズ感

iphone 5s 6 6 plus screen off

昨年の4インチのiPhone 5sと比べるとiPhone 6は4.7インチに大型化され、更に大型のiPhone 6 Plusは5.5インチ。やはり誰の目から見ても明らかなように、今回の最も大きな変化は画面サイズの大型化です。iPhoneは初代から3GSまで解像度・サイズは変わらず、4でRetinaディスプレイと称して解像度が上がったもののサイズは継続、iPhone 5では長さこそは変わったものの幅は変わらず薄型化によって持ちやすさを改善してカバーしてきましたが、今回iPhoneシリーズとしては初の持ちにくくなった新機種なのではないでしょうか。

本体からはみ出したカメラ

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以前5世代目iPod touchをレビューした際にはまさかこの波がiPhoneにもやってくるとは思いませんでしたが、薄型化したあまりカメラがはみ出してしまったiPod touch同様、カメラが本体の厚みからはみ出しています。ただ、iPod touchでのフィードバックを活かしてか、角張っていたiPod touchのカメラ周りと違い、iPhone 6とiPhone 6 Plusはカメラの外周が斜めに面取りされ傷つきにくくなっているようです。

この飛び出したカメラのせいで卓上に本体を置くとぐらついてしまい、卓上に置いてプレイするゲームなどがケース無しではプレイできなくなってしまいました。

ラウンドガラスの弱点

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ラウンドガラスによってエッジからスワイプする動作は引っかかりがなくなり、操作感は良くなっています。一方でガラス部分が飛び出るため、落下に対する衝撃耐性が激減。画面側から落下した場合ラウンドガラスの端が真っ先に地面に触れるため、落としたらまず割れてしまいます。以前自分も割ってしまい、iPhone 6の画面を割ってしまった場合の修理費を紹介しましたが、発売後iPhone 6/iPhone 6 Plusを早速割ってしまっている方を多く見かけました。また、昨年度まで愛用していたガラス保護フィルムの「GLAS.tR」シリーズをはじめとするガラス製保護フィルムも端までカバーできなくなり、アクセサリとの親和性が下がってしまいました。

iPhone 6の画面を割ってしまった場合の修理費は12,744円、Plusは14,904円

ラウンドガラスフィルムよりも自然なエッジが実現

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落下時の耐性こそは下がったものの、ラウンドガラスを採用した事によりエッジから内側に向けてスワイプする操作の快適性は向上しています。従来のiPhone 5s用のラウンド加工されたサードパーティのガラスも同様の効果はあったものの、iPhone 6・iPhone 6 Plusはそれにも増してエッジに一体感があり、気持ちよい操作感が実現しています。ラウンドガラスの採用による割れやすさばかり取り上げられる中で、この気持ち良さを実現している点を自分は高く評価したいですね。これのために画面には保護フィルムも何も付けずに使いたいと思えます。

iPhoneケース選びの基準が変わった

Thinnest Leathercase 10

iPhone 5sまではサイズ感に余裕があったためケースの選択の幅があり自由にケースを選べましたが、iPhone 6は手に収まるサイズギリギリまで拡大しているため、分厚いケースを付けると逆に落としやすくなって危険。様々なケースを試してみましたが、iPhone 6用のケースを選ぶ基準は「薄さ」と「滑りにくさ」の2点が重要になっています。自分は0.9ミリの薄型レザーケースに落ち着きましたが、今年はiPhoneケースメーカーには苦しい年なのではないかと思いました。他のケースではAnkerの激薄ケースもコストパフォーマンスが良く、使いやすくて魅力的です。

0.9ミリの最薄iPhone 6用レザーケース「Thinnest Leathercase」レビュー

また、iPhone 5sまでは自分の中では「ケース無しの状態が最も快適」なのが当然の状態でしたが、iPhone 6はケース無しではカメラのせいで卓上でぐらつく、側面の丸みが滑りやすいなどの要因があり「ケースを付けた方が快適」な状況に逆転しました。そのままの状態では使いにくいというのはAppleのモバイル製品では中々無いので困惑しましたが、正直がっかりしています。

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iPhone 4の頃からバンパーケースを愛用しているSpigenからはネオ・ハイブリッドEXメタルというSpigen初の金属バンパーが発売されましたが、デザイン的には非常に気に入っているものの、iPhone 6のサイズ感が大き過ぎるが故にあまり使わなくなってしまいました。iPhone 6が大きくなってしまったのは仕方ないので、もう少し薄型でフラットなバンパーケースを出してくれると嬉しいですね。

SpigenのiPhone 6用金属ケース「ネオ・ハイブリッドEXメタル」レビュー

今年の個人的当たりカラーはスペースグレイ

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今年のカラーバリエーションの3色は昨年通りゴールド・シルバー・スペースグレイの3色ですが昨年とは処理が微妙に異なり、特にゴールドはシャンパンゴールドとも言える薄い金色だった5sと比べるとかなり濃い色になっており、好みが分かれるのではないかと思います。一部界隈ではDラインとも呼ばれるようになったアンテナ用の樹脂の隙間ですが、ゴールドは本体色が濃くなった事もあり、シールを貼ったような質感で個人的にあまり好みではありません。一方でスペースグレイの樹脂パーツはあまり主張せず溶け込んでおり、また前面のラウンドガラスの画面との溶け込みも一体感も美しく、個人的にはiPhone 6・iPhone 6 Plusはスペースグレイが最も美しいカラーバリエーションなのではないかと感じました。

電池持ちはiPhone 5sから改善しiPhoneの弱点を克服

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他社のAndroidと比べてバッテリーサイズが非常に小さいがために電池持ちが難点だったiPhoneですが、iPhone 6・iPhone 6 Plusになり電池持ちは改善しています。以前書いたiPhone 5s・iPhone 6・iPhone 6 Plus比較記事で検証していますが、画面を付けたまま電池を消費するタスクもより長く実行できるようになっています。

iPhone 5s、iPhone 6、iPhone 6 Plusの電池持ちを比較!5sから改善しつつも、6と6 Plusは殆ど同じ

未だ電池持ちはauが優勢、次点でSoftBank。ドコモは最短

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今年は3台のiPhone 6を用意する事ができず電池持ちの並列テストは出来ませんでしたが、SIMフリーで使い分けてみたところは昨年度のiPhone 5sの電池持ち比較と同様、auが最も電池持ちが良く、docomoが最も電池持ちが悪い印象でした。

3キャリアiPhone 5s電池持ち比較!au>SoftBank>docomoの結果に。

3社ともVoLTE非対応の現状では、優れた電池持ちに加えてキャリアアグリゲーションとWiMAX 2+が使えるau版が優勢なのではないでしょうか。

余談ですが、iOS 8からはY!mobileのデータSIMも利用可能になり、SIMフリーモデルであれば初めて4キャリア目のY!mobile表示のiPhoneが可能になりました。メリットとしては月額2,550円で運用可能なGL04PのデータSIMで安価に大容量の高速通信を実現できる事と、誰も持っていないY!mobileのiPhoneを持てるという満足感です。

カメラの画質

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既に各所でレビューされているものかとは思いますが、実際に使っていてiPhone 6とiPhone 6 Plusは暗所撮影性能がiPhone 5sよりもアップしている事が感じられました。上記はiPhone 5sとiPhone 6との比較。空のノイズ感がかなり軽減されている事がわかります。iPhone 6での写真が微弱に手ぶれしている点はご容赦ください。

iPhone 6 PlusにはiPhone 6にはない光学手ぶれ補正が搭載されていますが、使っていて大きな差を体感する事はありませんでした。

スピーカーの音質・音量も向上、副作用としてシャッター音が大音量に

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本体の筐体が大きくなっている事もあり、スピーカーの迫力はiPhone 5sと比較すると大幅にパワーアップしています。また、iPhone 6とiPhone 6 Plusでも音質に差があり、iPhone 6 Plusの方がスピーカーでの再生性能は高いと感じました。ただ、音量が格段にアップしているせいでシャッター音がとても気になります。特にiPhone 6 Plusのシャッター音はiPhone 6と比べても非常に大きく、撮影を少々ためらってしまいます。

アメリカのアップルストアでも日本と同じ型番のSIMフリーiPhone 6・iPhone 6 Plusが販売開始され、日本で問題なく利用できるバージョンかつシャッター音の出ない仕様との事なので、もしアメリカに行く機会があれば是非とも買ってきたいところです。

また、イヤホンジャックから再生する音楽の音質も良くなっていると感じました。

Touch IDの精度はiPhone 5sから確実に向上

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Touch IDでの指紋認証によるロック解除における失敗率が格段に下がりました。iPhone 5sの頃は何度も失敗して結局パスコードロック解除していたようなシーンでも、iPhone 6とiPhone 6 Plusは確実にロック解除できてストレスフリーです。すんなりロック解除できる快感は、そのためだけにiPhone 6・iPhone 6 Plusを選びたくなるものです。

AppleのiOSの気遣いは健在——電源ボタンと音量ボタンを同時押ししても画面は消えず

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iPhone 6を使っていて気付いた点ですが、左右の側面に新たに配置された電源ボタンと音量ボタンを両側から挟んで押しても電源ボタンは反応せず、音量のみを操作する事が出来ます。これは上部から右側面に電源ボタンを移動したAppleなりのソフトウェア側で成せる気遣いで、iPhoneを挟むように持ってボリューム操作しても不意に画面が消えるといった事が防止されています。

iOSはこういった見えない所の気遣いが多い印象ですが、今回の件も素直に感心しました。なお、iPhone 5s以前で同様に電源ボタンと音量ボタンを同時押しするとスリープに入る挙動となっているため、この挙動はiPhone 6とiPhone 6 Plusに最適化された動きとなっています。

ホーム画面に置けるアプリが増えたものの

iphone 5s 6 6 plus

画面が大きくなった恩恵として、当然ながら置けるアプリのアイコンの数が1列増えています。毎度の事ながら、アプリが増え続ける中で1ページに置けるアイコン数が増えるのは素直に喜べる点です。ただ、4.7インチのiPhone 6が1列増えたのに対し、iPhone 6 Plusは更に多くなるのかと思いきやiPhone 6と同じ数にとどまっています。折角の5.5インチの大画面なのでここは差別化してほしかったところ。

Reachabilityで画面を下げられる機能は発展途上か

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iPhone 6・iPhone 6 PlusからiOSに搭載された機能にReachability機能があります。これはホームボタンのTouch IDセンサーをダブルタップする事によって画面を下げて片手で届きやすくなるように補助する機能。また、Reachabilityを発動中に上の空間を下スワイプする事によって通知センターを出す事ができるという隠し機能もあります。

ただ、この機能は「画面を大きくしたからOSも最適化しましたよ」と言い訳するためだけの機能にしか見えないと思いました。iOSはホーム画面の上から順番にアプリのアイコンが並べられていきますが、iPhone 6 Plusにおいてはこれは一番遠い、一番指の届かない位置から順にアプリが置かれる事になります。初代iPhoneのサイズの頃はこの並べ方は整頓されていて合理的でしたが、この志向はiPhone 6 Plusのサイズ感においてはミスマッチを感じます。以前レビューしたAQUOS CRYSTAL 305SHなど多くの競合他社のAndroidは全ての操作が片手で行える機能が搭載されており、それらと比べるとiOS 8の段階ではまだiOSはiPhone 6 Plusへの最適化は発展途上と言わざるを得ません。

また、Reachability発動中に通知センターを上の空間からスワイプで下ろせる機能は画面上に一切ヒントが無い、実質の隠し機能となってしまっているため、それをユーザーに気付かせる仕掛けが欲しかったところです。

片手フリックはATOKで可能に

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純正キーボードでは片手で文字を打つのが少々厳しいiPhone 6 Plusですが、サードパーティのATOKの対応によりキーボードの右寄せ疑似インライン入力が可能に。最近のアップデートでiPhone 6でも幅寄せが利用可能になり、iPhone 6・iPhone 6 Plus両方で片手フリック入力が楽に行える環境が導入できるようになりました。今回iOS 8でサードパーティのIMEが利用可能になったのが救いですが、レスポンスの良い純正キーボードでもアップデートで寄せられるようになれば良いなと思います。

iPhone 6 Plusの大画面はAssistiveTouchで対応

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以前紹介しましたが、iPhone 6 Plusで上下に指が届かない問題はAssistiveTouch機能で多少対応する事が可能です。これによって画面の任意の位置からホームボタンや通知センターを呼び出す事が可能になります。ただ、タップ数が多い事から結局操作が面倒になってしまったり、アプリ自体のボタンは押せない事から悪あがきの対応かもしれません。

iPhone 6 Plusユーザー必見!「AssistiveTouch」を使ってホームや通知バーを片手操作する方法

iPhone 6 Plus用2カラムアプリは未だに皆無

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iPhone 6 Plusは5.5インチの大画面を有効活用して2カラムで画面を大きく使える事を売りとしていましたが、3ヶ月経った今も純正のメールアプリのように2カラムで画面を広く使えるアプリはかなり少ない状態となっています。スクリーンショットはWorkflowというiPhone用のタスク自動化アプリで、左カラムから素材をドラッグ&ドロップで右カラムに配置できてiPhone 6やiPhone 5sと比べると非常に使いやすくなっています。より多くのアプリがこういった2カラム操作に対応してくれればiPhone 6 Plusはより良いデバイスになるのではないかと思います。

Workflow: Powerful Automation Made Simple – DeskConnect

メモリ1GBは不足

iPhone 6・iPhone 6 Plusは共にメモリ(RAM)が1GBとなっていますが、通常動作で不満を感じるシーンは少ないものの、Safariでブラウジングする際にタブを複数開くとメモリ不足で元のタブに戻った際にリロードされてしまうのは使い勝手が良くないと感じました。競合他社のスマートフォンは2GBや3GBのRAM搭載が普通となっている今、OSのパフォーマンスの良さをもってしても1GBでは少ないのではないかと感じます。

総括:iPhone 6 Plusはまだ早い

iPhone 6・iPhone 6 Plusの発売日から3ヶ月以上、iPhone 5s・iPhone 6・iPhone 6 Plusの3台にそれぞれSIMカードを入れて使い分けてみましたが、iPhone 6 Plusはやはり大画面を有効活用できるアプリも少なく、iPhone 6 Plusは大きな筐体を持ち運ぶだけのメリットが見いだせませんでした。というわけで、iPhone 6 Plusは一旦手放す事にしました。次期モデルが出る頃には便利になっている事を祈ります。

iPhone 6 Plusに関しては本体サイズに対するOSの最適化やサードパーティのアプリの不足だけでなく、1242×2208を1080×1920に縮小表示する仕様でドットバイドット表示が出来ない上に、その誤摩化しを良いことに@3xの高解像度アイコンが入っていなかったりと誤摩化しに誤摩化しを重ねているソフトウェアも好きになれませんでした。

iPhone 6 Plusを動画再生用や電子書籍用に別持ちしても良いのですが、それなら大画面で使いやすかったりmicroSDが使えたりとメリットのあるAndroid端末を別に探すのが得策です。iPhoneである必要性があまり感じられません。

一方で文字入力中心の連絡用・SNS用デバイスとしてはやはりiPhone 5sが優秀で、iPhone 6はiPhone 5sと比べるとどうしても文字が打ちにくいという感覚が抜けませんでした。1年型落ちとはいえiPhone 5sの完成度は高く、現状最もフリック入力がしやすいiPhoneです。英語圏のユーザーであれば両手でQWERTYキーボードを使うためiPhone 6や6 Plusの方が良いかもしれませんが、フリック入力を使う日本語圏は未だにiPhone 5sが有力なのではないかと思います。

とはいえiPhone 6はネットワーク面での進化はもちろん、バッテリー持ちが非常に良くなっている点が好感触です。また、Touch IDでロック解除に失敗する事が多かった点も改善。iPhone 5sで不満に思っていた点をうまく軽減しており、普段使いでのストレスが非常に少なくなったモデルと言えます。

iPhone 5sを使い続ける事も検討しましたが、以上の点がとても快適になっているため最終的にはiPhone 6に落ち着きました。ただ、iPhone 6は当初対応を表明していたドコモを含め、国内ではVoLTEへの対応が発売3ヶ月後の今も音沙汰無し。自分は先日衝動買いしたXperia Z3 CompactでVoLTEを使う快適さに慣れてしまったので、残念ながらiPhoneは当面メイン枠に昇格できない見込みになってしまいました。

来年の「iPhone 6s」はVoLTE対応は当然のこと、RAM不足やカメラの出っ張りなどの外観の問題が解決している事を祈りつつ、2年スパンでないとデザインをメジャーアップデートしないAppleの事なので来年も卓上でガタガタなiPhoneになるんだなぁと思うと先が思いやられます。出来れば5sサイズも復活して欲しいとは思うものの、これもAppleはやらなさそうですね。

とはいえAppleとしては挑戦的なアップデートを仕掛けてきたiPhone 6・iPhone 6 Plusの問題点の多くが浮き彫りになってきたからこそ、次の機種が楽しみですね。Apple先生の次回作にご期待ください。

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キリカ

ガジェットショットを作った人。本業はUI/UXデザイナー。趣味は理想のサイト作りと愛車「エリーゼ」「ジュリエッタ」でのドライブとカフェ開拓。2022年1月1日からガジェットVtuberとしてYouTubeも始めました!