FIAT 500(チンクエチェント)に代車で1ヶ月乗った所感

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愛車のアルファロメオ・ジュリエッタがパンクした上に不運にもホイールまで損傷してしまい、ディーラーに駆け込んだところ取り急ぎ当日出してもらえた代車がたまたまフィアットの500(チンクエチェント)だった。損傷したホイールの対処にディーラーが難儀している間になんだかんだ1ヶ月ほど乗れたので、まぁ中々無い長期試乗体験という事でフィアットの感想を書いていく。

FIAT 500とは

フィアット500は、半世紀前の1957年に誕生してロングセラーとなったイタリアの国民的ファミリーカー「FIAT NUOVA 500」をモチーフにデザインされ、50周年記念となる2007に発売された車。ルパン三世の愛車の現代版と言うのが分かりやすいかと思う。

500は「チンクエチェント」と読む。これはイタリア語で文字通り500のこと。本国の読み方で統一するのがまたこう、らしさを感じる。「チンク」の愛称で親しまれている。

4人乗りの3ドアハッチバックの小さな車で、軽自動車よりも一回りほど大きい程度のサイズ感。今回代車で乗ったのは1.2Lエンジン搭載のモデル。

見た目もすごくおしゃれで代車としては申し分無い車種だったので、正直なところ不幸中の幸を結構楽しんでしまったとろがある。実際楽しかった。今回は試乗記というかレビューというか、個人的に気付いたところのメモをしていく。

軽自動車ばりのコンパクトさで取り回しが楽

当たり前だけど小さくて狭い道でのすれ違いや駐車が楽。普通の駐車場でこんなにも枠が余る。全幅は数字として1,625mmなので、普段乗っているジュリエッタの1,800mmと比べるとかなり細い。トヨタのアクア辺りのコンパクトカーが1,695mmなので、それよりも70mmも細い。最小回転半径は4.7mなので、ジュリエッタの5.5mよりもかなり小回りが効く。Uターンがしやすい。すごい。

自分の普段の行動範囲が江ノ島や鎌倉辺りなので、狭い道が通りやすいのは感動的。隠れ家的なお店が好きなので、用途にはすごく合っているなと感じた。

結構荷物が乗る

これだけコンパクトなおしゃれカーなのに意外と荷物を乗せるのに困らないのも良かった。後部座席を倒すと荷室が拡大できるので、友人の家に32インチモニターを運ぶ時もすんなり乗せられて、他の荷物も乗った。

比べる物でも無いけど、同じ2ドアでも2ドアスポーツカーと比べるとかなり使い勝手が良い。当たり前だけど。うちにあるエリーゼではモニターを運ぶなんて論外だからなぁ……。

ちなみにリアハッチには取っ手はついてなくて、引っ張るようのフープがついている。正直取っ手がついてたほうが便利だろうけど、なんというかクラシカルな雰囲気を感じる作りで悪い気はしない。

内装は世界観がしっかりしたチープ感

内装はこう、高級感は無いしプラスチッキーではあるのだけど、世界観が確立していて良い。

代車はレンタカーとして運用されてる車両なのでオンダッシュにナビがマウントしてあるのが大変惜しい。この内装の上に黒いケーブルを這わせるのは大罪なので、電源の取り回しは頑張って欲しかったところ。

メーターもスピード計の内側にタコメーターを内包しているスタイリッシュな円形フォルムで、大変おしゃれ。昼は白い背景でクラシカルな印象で、夜見ても数字が円形に並んでいてスタイリッシュ。

シートもツートンでおしゃれ。特にヘッドレストの形状がユニークで、この辺りは前を走っている500を見かけた時も思っていたので改めて間近で見ると良いなぁと思う。

この辺りはしっかりと自分の世界観を持っている車だと感じた。

CarPlay対応のUconnectはGPSがポンコツだった

景観を壊してまでナビのマウントが必要なのは、この2018年式の500についているインフォテインメントシステム「Uconnect」はスマートフォンを繋いだCarPlayやAndroid Autoにこそ対応しているものの、カーナビは内蔵していないから。

個人的にはCarPlayに対応している時点でナビは不要で、お借りしている間も視界の邪魔なのでこのナビのシガーソケット電源は抜いたまま乗っていた。ただUconnectのCarPlayをiPhoneで使ってGoogleマップをカーナビとして運用していた感じGPSがだいぶ甘くて、iPhone本体でGoogleマップを使うよりだいぶ動きがギクシャクしていた。地図が迷ってグルグル回ったりする事も割と頻繁にあったので、もし所有するとしたら不満に思う所だろう。

ただCarPlay対応は正直うらやましい。ジュリエッタは末期モデルだけあって2020年末に買った新車のくせして内蔵ナビはCarPlayには対応していない。こういった内装の優れた車はCarPlayはスマホは極力車載なんてせず、内蔵モニターにCarPlayで出力して乗るのが一番綺麗だと思う。

ただ画面は小さいなと思った。画面分割したGoogleマップはスマホ以下のサイズだ。

駆動系はPレンジの無いシフトが独特、2ペダルMT感

FIAT 500はエンジンをかけた状態ではシフターが中央にあり、シフトは「N」から始まる。Pレンジが無い。始動するにはまずシフターをレーシングカーのように下に引くと1速に入る(そして離すと上に戻る)。しかもクリープしないので、アクセルを踏むまで進まない。きつい坂道ではヒルホールドが介入するが、坂道でアクセルとブレーキを離すと普通に下がっていく。

自動車のエンスージアストばかりが乗る車ではないだろうに、正直驚いた。特に車に明るく無い、フツーの国産の軽自動車から乗り換える層は困惑しそうだ。

ATは大味というか、デュアルクラッチのアルファTCTと比べるとざっくりに感じるし、5速ATは結構早めに5速に入ってゆるい坂道でブルブルと震えて無理をし始めるので手動でシフターを上に押し上げて4速に入れてあげたりする事が多かった。

シフターを左に入れるとオート・マニュアルの切り替えで、マニュアルモードは意外と楽しい。軽自動車よりは少しだけ心強くてちょうど良いパワーは、2速3速で引っ張ってあげると元気良く走る。小さくてもしっかりイタリア車の楽しさが詰まっているなと感じた。

意外と高速道路も快適で、クルーズコントロールこそは無いものの音楽を聴きながら無理なく流せてストレスを感じなかった。ご近所専用の小型機かと思いきや、それなりの長距離も行けてしまいそうで普段の移動の足には申し分無さそうだ。

ステアリングが軽くなるシティモードは接地感が無くなる

インテリアのパネルに謎のハンドルのボタンがあるので何かと思いきや、これはシティモードという機能のトグルだった。オンにするとメーターに「CITY」の表記が出現して、ハンドルの抵抗が無くなってくるくると楽に回せるようになる。

ジュリエッタはDNAスイッチでダイナミック・ナチュラル・オールウェザーが切り替えられてダイナミック(いわゆるスポーツモード)に入れるとハンドルが重くなるので、それの逆の事をしている。いわゆる逆スポーツモードというか、これを普段使いするとオフにした時がスポーツモードに感じるかもしれない。

ハンドル回しが楽になるのは運転手が楽をするだけの機能かと思いきや、結構助手席でもモード切り替えがはっきり分かる。具体的に言うと接地感がすっからかんになる。安定感が無くなるというか、一言で言うと怖い。乗客を安心させたいならシティモードを使うのは駐車場ぐらいにしておいた方が良さそうだ。

普通に楽しい車だった

僕は自分の所有している車ぐらいしか基本的に運転せず、試乗も滅多に行かない(試乗と言う試乗はEVのIONIQ 5か、今所有しているエリーゼとジュリエッタを買う時ぐらいしかしていない)ので、こういった普段乗らない車を、しかも1ヶ月という長期間運転できたのは貴重な体験だった。

乗る前のFIAT 500はファッショナブルなコンパクトお買い物カーというイメージだったけど、走らせてみると楽しい車だったし、小さなエンジンをマニュアルモードで回す楽しみはなんとなく自分のロータスに乗っている時の楽しさに通ずるものすら感じた。それでして高速道路も想像したほど苦ではなくて、CarPlayも使えて、意外とご近所の買い物から車旅までこれ1台にまとめる生活もアリだよなと思った。

勿論同じ200万円台後半を出せばそれなりの先進装備が揃った国産車を買えるのだろうけど、500の持つ世界観に共感できれば全然こっちを選ぶのも良さそうだ。しかも見た目だけじゃなくて、メカニカルな走りの楽しさも兼ね備えているのが良い。

こういう車もありだね。

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キリカ

ガジェットショットを作った人。本業はUI/UXデザイナー。趣味は理想のサイト作りと愛車「エリーゼ」「ジュリエッタ」でのドライブとカフェ開拓。2022年1月1日からガジェットVtuberとしてYouTubeも始めました!