4K、HDR、1msの高速レスポンスを搭載したゲーミングモニター「EL2870U」を国内の発売に先駆けて、BenQさんにお借りしています。
EL2870UはBenQの4Kゲーミングモニター。既に海外一部地域では発売済みで、約28インチ(27.9インチ)の4K UHD(3840×2160)解像度で、HDRにも対応したモデルとなっています。以前お借りしたPD2700Qはデザイナー向けのプロユースのIPSパネルを採用したディスプレイでしたが、今回レビューするEL2870Uは真逆のコンシューマー向けのゲーミングモデル。とりわけPS4 Proなどの「4K」「HDR」対応のコンシューマーゲーム機での利用に特化しており、TNパネルを採用する事で価格を抑えつつも応答速度を確保し、4KやHDRに対応した珍しい構成のモデルとなっています。
スペック
まずはスペックから見ていきます。公式スペックの抜粋は以下のとおり。
サイズ | 27.9インチ |
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筐体色 | メタリックグレー |
解像度 | 4K UHD(3840×2160) |
表示領域面積 | 597.6×336.2 mm |
表示色 | 約10億7000万色 |
画素ピッチ | 0.155mm |
画素密度 | 158ppi |
アスペクト比 | 16:9 |
コントラスト比 | 1000:1 (DCR 1200 万:1) |
輝度(cd/m²) | 300 cd/m² |
視野角(左右/上下) | 170°/160°(CR>=10) |
応答速度 | 5ms (GTG 1ms) |
リフレッシュレート | 60Hz |
消費電力 | 標準 55W/待機時<0.5W |
ヘッドホンジャック | ◯ |
入出力端子 | HDMI2.0x2/Display Port1.4 |
同梱ケーブル | 電源 ケーブル/ HDMI /ケーブル(各約 1.5m) |
本体サイズ(WxHxD) | 658x 476 x 150mm |
本体重量/梱包重量 | 5.7kg / 7.2kg |
画面サイズは28インチと、ディスプレイとしてはやや大きめながらPCデスクに収まる大きさ。迫力と取り回しやすさのバランスの良いサイズ感です。HDR対応の4K UHD(3840×2160)解像度、60Hzのリフレッシュレートと、コンシューマーゲーム機と組み合わせて使うのに最適なスペック。更に応答速度は5ms、GTG(Gray to Gray)1msという高い応答速度を持つTNパネルを採用している事から、動きの激しいゲームにも耐える構成です。
入力端子はHDMI 2.0が2本、DisplayPort 1.4が1本の合計3端子を搭載。PCとゲーム機を同時に繋いで兼用で使う際にHDMI切替器は不要なのは嬉しいところです。ケーブルはHDMI用が1本同梱されますが、PC等からDisplayPort接続したい場合は別途ケーブルの購入が必要です。
外観
EL2870Uの外観は直線的なデザイン。平面的なウェッジシェイプの足から曲線的な首がディスプレイを支えるストイックなイメージに仕上がっています。
足は横向きのヘアライン加工が施されており、メタリックグレーのカラーと直線的な形状とうまくマッチしています。背面側の鋭角に折り返してディスプレイ本体に繋がっているラインもさり気なくクールな印象を感じさせ、全体的に硬派なゲーミング環境を演出しているのは男心をくすぐるポイントなのではないでしょうか。
画面右下のボディ下部には本体のOSD操作用のボタン類が配置されているほか、本体前面にはHDR/B.I.+ボタンが主張しています。これはHDRのオン/オフに加え、後述する環境光に応じて画面の色温度を調整するB.I.+(ブライトネスインテリジェンスPlus)機能のトグルができるボタン。本機の目玉機能を分かりやすくオン/オフでき、効果を体感しやすくなっています。
背面のデザインは丸みを帯びた非常にシンプルなものとなっています。
スペックシートでも確認したとおりHDMI入力が2つ、DisplayPort入力が1つ。オーディオはステレオミニプラグ出力が1つ搭載されています。
4K UHD解像度(3840×2160)対応
本機は3840×2160の4K UHD解像度に対応。もちろんPS4 Proからの4K出力も可能となっています。上記写真は接続したPS4 ProのグランツーリスモSPORTを表示させたところ。
写真を拡大したところ。4K解像度のため、細部までくっきり描画されていることがわかります。
4K未満のコンテンツもアップスケールできるSuper Resolution(超解像度)搭載
4Kテレビなどに搭載されているアップスケーリング機能も搭載。本体のメニューから三段階で調整する事ができ、FullHDの動画やゲームを4Kで楽しむ場合に4K画質をシミュレートして表示する事ができます。
HDR・HDRエミュレーション対応
本機は4Kだけでなく、HDRにも対応しています。HDRとはHigh Dynamic Rangeの略で、従来と比べて広い明るさの幅が表現できるのが特徴。暗い箇所と明るい箇所の明暗差が大きく表現できるため、通常のSDR(Standard Dynamic Range)で表現されていた白よりも更に明るい白が表示可能で、メリハリのある映像が表示できます。HDRの表示にはハードウェア・コンテンツ(ソフト)ともにHDR対応が必要ですが、HDR非対応コンテンツに関してはHDRエミュレーションで擬似的にHDRで表示する機能も搭載しています。
応答速度1ms、AMD FreeSync対応で滑らかな動き
ゲーミングモニターという事で、応答性の良いTNパネルを活用したGTG 1msの応答速度を実現しています。またAMD FreeSyncというディスプレイのリフレッシュレートをフレームレートに同調させる技術にも対応しており、対応デバイスにおいては滑らかな映像が実現します。
環境光に応じて色温度を変える「ブライトネスインテリジェンスプラス(B.I.+)」搭載
本体下部に搭載された環境光センサーにより、周囲の明るさと色温度を検知してディスプレイの設定を自動調整する「ブライトネスインテリジェンスプラス(B.I.+)」を搭載。オンにしておく事で自分が操作する必要なく、自動的に環境光に合わせて画質を調整してくれれます。その他にも4つの「マルチメディア」「ウェブサーフィン」「オフィス」「閲覧」のモードにそれぞれ最適なブルーライトカットや、フリッカーを排除するフリッカーフリー機能など、目の負担を軽減してくれる機能が充実しています。
B.I.+をオンにしたところ。環境光に応じて右下にアイコンが表示され、明るい部屋に対して画面が明るくなっています。
そのまま照明を落としたところ。自動的に環境光センサー連動で画面を暗くしている事がわかります。
スマートフォンやノートパソコンでは当たり前のように付いている環境光に応じた画面の明るさ調整ですが、意外とPC用モニターでは珍しい機能。これが付いているだけで自分で調整する手間が無くなり、ストレスフリーに使う事ができます。
4K・HDR対応のグランツーリスモSPORTを試す
PS4 Proの4K・HDR対応タイトルとしては代表的なグランツーリスモSPORTをEL2870Uでプレイしてみました。
リアルドライビングシミュレーターを称するグランツーリスモSPORTですが、挙動など運転に関わる部分は勿論のこと、ビジュアルも内装から外装まで実車を非常にリアルに再現している事が特徴。今回のBenQのEL2870Uのように高精細な4Kディスプレイでプレイすると、細かく再現された内装の質感がより一層リアルに感じられます。
また、HDRに対応している事から夜間の走行は大迫力。夜の高速道路からトンネルに入ると暗い部分と明るい部分の明暗差がHDRによって広く取られているため、実車を運転しているかのような「暗い道から明るいトンネルに入ると眩しい」という感覚を味わう事ができます。
EL2870Uは4K、HDR共に対応している事によってグランツーリスモSPORTのリアル志向を存分に引き出す事ができると感じました。
HDR非対応のニード・フォー・スピードを試す
ニード・フォー・スピード(2015)はグランツーリスモ同様PS4用のレーシングゲームのタイトル。4K・HDR非対応なもののグラフィックには力を入れている作品で、綺麗に描かれたオープンワールドの世界を走り回る事ができます。
EL2870Uで4K・HDR非対応ゲームをプレイする場合、Super Resolution(超解像度)で4K相当の高精細なグラフィックにアップスケールし、HDRエミュレーションで明暗差をクッキリ出してプレイする事ができます。ニード・フォー・スピード(2015)は舞台が深夜〜早朝の街で、街灯や朝焼けをバックに暗い道を走るのが特徴。これがEL2870Uによって施されるHDRエミュレーションと相性が良く、HDR非対応タイトルながらグランツーリスモSPORT同様に街灯や朝日が眩しい、薄暗いエリアの臨場感などの体験をゲーム内で感じる事ができました。
PS4 Proなどの4Kゲーム機に最適
ゲーミングモニターとして見た場合、EL2870Uは4Kの高解像度でHDRに対応しており、リフレッシュレートは60Hz。ゲーミングモニターはFPS系のゲーム向けに144Hzの高リフレッシュレートの製品が増えてきていますが、PS4 Proの出力は最大4K・60fpsのため、それに合わせた60Hzの本機はコンシューマー向けゲーム機の性能の上限にぴったりマッチした製品と言えます。
EL2870Uは4月に約5万円程の価格で国内発売予定。安価な4Kディスプレイは徐々に増えてきていますが、HDR対応で5万円はかなりの格安。TNパネルの特性上、IPSパネル採用製品と比べて上下の視野角は狭くなっていますが、PC用にマルチディスプレイ構成で使うなどでなければ気にならない範囲。逆に、低価格で応答速度の速いTNパネルで4K・HDRを実現している事から、ゲーム機用ディスプレイとして使う場合のコストパフォーマンスは非常に優れた製品と言えるでしょう。
グランツーリスモSPORT:© 2017 Sony Interactive Entertainment Inc.
NEED FOR SPEED:© 2017 Electronic Arts Inc.
BenQアンバサダープログラム
BenQは本記事のようにブログ、Twitter、Instagram、Facebookなどで情報発信する「BenQアンバサダー」を募集中。登録すると新製品に関する情報がいち早く手に入るほか、アンバサダー限定のイベントへの招待やモニター企画などの案内が届きます。BenQは今回紹介したディスプレイの他にもプロジェクター製品も取り扱っており、ホームシアタープロジェクターのモニター企画なども実施されています。もし興味があれば、BenQアンバサダープログラムのページにて是非登録してみてください。