独自の「反重力メカニズム」を搭載する事で「未体験の浮遊感」のコンセプトを実現したオフィスチェア「DORO C500」をSIHOO Japanさんより発売に先駆けて提供いただき体験できたので、実際の使用感を紹介していきます。
目次
SIHOO DORO C500のコンセプト

DORO C500は中国・深圳市に本社を置くSIHOO社のオフィスチェアの最新モデル。
SIHOOのオフィスチェアは1万円台から購入可能なモデルからラインナップされている一方で、ハイエンドラインとしてDORO C300をはじめとするDOROシリーズを展開中。今回紹介するC500はそのDOROシリーズの中でも最上位モデルに位置付けられているフラッグシップモデルで、独自の「反重力メカニズム」を搭載した「未体験の浮遊感」をコンセプトとしています。体型や好みに合わせて細かく調整でき、長時間でも快適に過ごせる設計が特徴となっています。
DORO C500の外観

DORO C500にはブラック・ホワイトの2色がラインナップされており、今回頂いたのはホワイト。グレー寄りのホワイトの樹脂パーツ、黒を編み込んだ白メッシュ、光沢感のあるアルミ合金フレームが組み合わされており、オフィスチェアとしては非常にスタイリッシュな仕上がりとなっています。

アルミ合金のフレームは重厚感があり、表面は金属面の磨きではなく塗装面となっているため傷には注意が必要そうではあるものの、触ってみるとひんやりとした金属感があるので普段使いで高級感を感じられる質感となっています。
欲を言えばこの辺りはアルミ研磨の鏡面仕上げであれば尚満足度が高そうではあるものの、この辺りは生産コストを抑えつつ擬似的に高級仕上げに寄せる工夫が感じられる部分でした。

ヘッドレスト部分は2軸の調整機構が搭載されており、背もたれの上から多い被さるスワンネック的なデザインで機能的かつスタイリッシュ。角度だけでなく位置も調整できるので、体型に適した位置に固定しやすくなっています。

座面右側に集約された操作系統は4種類あり、左から順に座面の前後、リクライニング角度の3段階の上限ロック(最大135度)、座面の上下、リクライニングの反発調整が設定可能です。
ここの座面の上下のピクトは背もたれの上下調整に見えるので、矢印の位置を座面側に配置してほしかったところ。と言うのもC500は座面の上下調整と背もたれの上下調整をそれぞれ独立して搭載しており、初見ではこのレバーは背もたれの方のレバーに見えてしまったため。多機能ゆえに操作系統が多くなってしまったデメリットとも言えるでしょう。
背もたれの上下調整はレバー操作は不要で、手動で上げた所にそのままロックされ、最大まで上げるとロックが解除され最下部まで下がるという仕組みとなっています。

腰部分にはランバーサポートが搭載されています。詳しくは後述しますが、オフィスチェアとしては完成度の高いランバーサポートとなっており、他のチェアと比べても効果の高いものだと感じました。

メッシュ部分は近くで見ると縦の太いホワイトの繊維に対して横の細いブラックの繊維が組み合わせられており、白系のチェアとしては汚れが目立ちにくそうな仕上げとなっています。

左右のアームレスト部分は多様な調整機構を搭載しており、高さの上下調整、前後位置のスライド、椅子の内側・外側に位置を調整できる2軸の左右回転、リクライニング時に追従して先端を持ち上げられる前後回転など、用途・体形に応じてかなり細かく調整が可能となっています。

オプションで用意される格納式フットレストは長さ・角度(先端側のみ)調整が可能。

格納時はかなり邪魔になりにくいところまで下がってくれます。
DORO C500の使用感
続いて、実際にDORO C500を使ってみた使用感をお伝えしていきます。
1. ランバーサポートの完成度は非常に高い

C500に座ってみて真っ先に感じたのは、ランバーサポートの完成度の高さ。
デスクで使うチェアと言えばゲーミングチェアも人気ですが、個人的には多くのゲーミングチェアに付属する腰部分のランバーサポートのクッションは形が合わず、邪魔に感じてすぐに外してしまう製品がほとんどでした。
一方でC500のランバーサポートはかなり良い形状だと初回の使用から感じられるもので、高さ・厚さともに不満無し。立体追従機構も内蔵されているためリクライニングの動きにも合わせて最適な位置をキープしてくれるのも魅力で、長時間の作業には高い効果を発揮するものだと言えるでしょう。
また背もたれの上下・座面の前後をそれぞれ独立して操作できるため、それらを自分の体型に合った位置に合わせると一層ランバーサポートが効果を発揮します。
この高い完成度のランバーサポートは間違いなくこの製品の美点だと感じます。
2. アームレストはより下げられる or 外せるとベター

アームレストは高さの昇降、複数軸の左右回転、上下の角度など細かい調整が可能な機構が備わってはいるものの、個人的に気になったのは高さの調整。用途によっては最下部まで下げても高すぎると感じました。
標準状態から上には上がるものの、下に下げる事はできません。そのためチェアをデスクの下に潜らせてリクライニング気味な体制で作業したり、画面に近づいたりといった使い方をすると干渉してしまう事がありました。
私が普段使っている椅子のアームレストは低く設定されていてデスク下に潜ってくれるのですが、D500では下に潜らせる事ができないため高さを上げてデスクの上に逃すしかなく、デスクの上に逃すと今度は卓上の作業の妨げになり、チェアを回転させて席を立つこともできなくなります。
ただアームレストの干渉は私のデスク環境との相性による部分も大きく、高さのある大型の32インチモニターを配置しているため目線に対して天板をある程度下げる必要があり、更に奥行きのある大型の天板でマルチモニター構成のため潜り気味に作業するのが適したポジションになりやすく、かつ潜った状態での回転も必須という構成となっているといった要素があることから、よりコンパクトな一般的デスク環境であれば問題になりにくいかと思います。
DORO C500はフットレストと高度なリクライニング機構を兼ね備えた製品であることから、それらに加えてアームレストの下降調整あるいはアームレストの有無が選べる形であればより幅広いデスク環境にも組み合わせやすい製品になりそうだと感じました。
3. 「未体験の浮遊感」は姿勢変更時に実感
DORO C500が売りにしている「未体験の浮遊感」は、独自技術である特殊ガラスファイバー素材を用いたしなやかなリクライニング技術によるもの。実際座ってみるとリクライニング事のスムーズさ、そしてリクライニング状態から起き上がる際に必要な力の少なさに驚かされます。他のオフィスチェアと比較しても快適な機構となっており、リクライニング機構を重視する方であれば非常に嬉しい機構なのではないかと感じました。
中でも楽に起き上がる感覚は私が普段使っているストレスレストーキョーにも通ずるものがあり、この商品の美点である事は間違いないでしょう。リクライニングチェアほどのラグジュアリーは不要なものの、ワークチェアにリラックスを取り入れたい方には良いバランス感だと言えます。
4. フットレストを活かすにはリクライニング角度がもう少し欲しい
DORO C500のリクライニングは135度まで倒れる仕様となっており、オフィスチェアの角度としては高いリクライニング性能を持った製品となっています。
仕事モードで使っている際は135度は十分すぎる数値ではありますが、一方でフットレストを活用したリラックスシーンではもう少し倒したいと感じる場合もありました。C500はランバーサポート・ヘッドレストに体重が預けやすいため、フットレストまで活用して浮遊感を満喫しようとすると135度を壁に感じてしまう事がありました。リクライニング途中の反発が適度であるため135度までの浮遊感が良いだけに、限界角度に到達した時にそれが中断されてしまうのが逆に気になってしまいました。
仕事中のリクライニングとしては申し分無いものの、プライベートも兼ねる自宅用のチェアとしてはもう少し倒せると嬉しいところです。
5. リクライニング固定ダイアルは最前に固定させてほしい

リクライニングは3段階で固定する事ができ、作業に集中する際は最も起きた状態の「1」に設定すると比較的直立な角度に上限を設定できますが、それでも少しだけ「あそび」があり、背もたれに体重を預けるとリクライニングが可能な状態です。下のダイアルを使って反発を最大にする事で固定できますが、そうすると今度はリクライニングが困難になり、倒す際には再度ダイアルをマイナスに向かって回す必要があります。
リクライニング調整ダイアルは1を直立固定にするか、4段階にして固定モードを追加すると更に作業椅子としては使いやすくなりそうです。
6. 体型に合わせた細かい調整の効果は抜群

D500はヘッドレストの2軸調整、背もたれの上下、座面の前後、座面の上下、フットレストの前後・角度、アームレストの細かな調整でき、体型に合わせて最適化できるのが特徴。
試しに150cm台前半の妻に合わせて調整してみたところ、多くの椅子ではヘッドレストの位置が合いにくい小柄な身長であっても快適な位置に合わせやすく、他国と比べると平均身長が低めの日本人でも使いやすい機構だと感じました。
背もたれ・座面がそれぞれスライドできる事でランバーサポートの位置も適切に合わせやすく、アームレストの位置も外側・内側に対しても調整が可能なため、様々な体型のベストポジションに持って行きやすいチェアとなっています。
質感・腰のサポート・体形に合わせた調整が秀逸なチェア

SIHOOのDORO C500はアルミ合金による高い質感と曲線美でスタイリング的に秀逸でありながら、効果的なランバーサポート・反重力メカニズム・きめ細かな調整機構による座り心地も両立しており、特に在宅勤務などのオン・オフを切り替える必要のあるワークチェアとしては高い性能を持ったオフィスチェアだと感じました。
特にランバーサポート・ヘッドレスト部分は他社のゲーミングチェア・オフィスチェアと比べて体重の分散性能が高く、ワークチェア市場の競合製品をよく研究して作られていると感じる部分でした。特にゲーミングチェアからの乗り換えであれば、多くの方は座り心地や通気性の面で高い満足度が得られるでしょう。
一方で気になる点としては文中に先述したとおりで、オプションで用意されているフットレスト部分にやや後付け感を感じさせる要素があり、本体の美しいスタイリングに対して簡易的な外観な点、フットレストを最大限活用したい場合はリクライニング角度が不足するなど、リラックスシーンに対する作り込みは進化の余地があると感じました。ここが改善できればリクライニングチェアとワークチェアの良いとこ取りの製品が実現できるのではないでしょうか。
DORO C500は昨年のクラウドファンディングを経て2025年6月17日に一般販売が開始しており、価格は131,780円。今回紹介したフットレスト付きモデルのC500-JTは138,380円。価格面以外のデメリットは特に無いので、この差額であればフットレスト付きモデルはおすすめです。
同社の下位モデルのC300と比べると2倍以上の金額にはなるものの、20万円台の高級オフィスチェアと比べるとリーズナブルかつ自宅でのリラックス方面の性能に力が入れられているため「法人が買うような高級品は予算的に抵抗があるものの、見た目がスタイリッシュで家で仕事とリラックスを兼ねた良い物が欲しい」という方には上手くマッチする製品なのではないでしょうか。