昨年秋から予告されていたiPad向けの「フルバージョンのAdobe Photoshop」がApp Storeにて公開されました。
今回リリースされたのは「Adobe Photoshop」。既にPhotoshop Mix、Photoshop Express、Photoshop FixなどAdobeのスマートフォン用アプリのiPad版は提供されていましたが、デスクトップ版Photoshopのような本格的な画像編集ソフトウェアとしての「Photoshop」は今回が初。
とはいえリリースには、
今回リリースされた最初のバージョンでは、Apple Pencilやタッチでの作業に最適化した合成ツールとレタッチツールを揃えました。今後のリリースでは、ブラシ、マスキング、境界線の調整、被写体の選択など、Photoshopの高度なツールが用意されます。Creative Cloudのブラシやフォントも簡単に利用できるようになります。
とあるとおり、初期バージョンは機能を最低限に絞ってのリリースとなっています。なお、利用はAdobe Photoshopの月額メンバーシップ会員(あるいはそれを含むAdobe Creative Cloudメンバーシップ)が前提で、非会員は30日間のお試しが可能とのこと。また、「iPhoneでレタッチ作業をおこなうには、Adobe Photoshop Expressをご利用ください。」とあるとおり、iPhoneには非対応。iPadのみ対応のアプリとなっています。
主な機能は以下のとおり(App Storeのリリース文より引用)。
【PSD機能をそのままに制作】
レタッチや合成、スポット修復、描画モードなど、使い慣れたPhotoshopの機能をiPadでも使って制作できます。パソコンで保存したレイヤー構造も、解像度も全て同じ。iPadでも、デスクトップと全く同じ品質のPSDを出力できます。【おなじみのツールを指先で操作】
デスクトップ版と同じように、レイヤースタックやツールバーのツールを使用できます。スワイプ、ピンチ、タップ、手書きなど、これまで以上に直感的な作業が可能です。UIは、状況に応じてよく使う必要なツールとパネルだけが表示されるため、常に整理された状態でカンバスに集中できます。【どこでも作業可能】
デバイス間のPSD同期は簡単に維持されます。作業中のファイルは自動的にアドビのクラウドストレージに保存されるため、Photoshopさえあればどこからでもアクセスできます。【合成】
クイック選択ツール、なげなわツール、ぼかしなどの高度な選択オプションを使用して、正確に選択します。ペイントブラシを使用し、画像の特定の部分をマスキングして、精密に合成作業をおこなえます。【レタッチ】
画像の編集や加工、不要な要素の除去には、スポット修復ツールやコピースタンプなどの機能を使用できます。
という事で、基本的なレイヤー機能やレタッチ機能は一通り備えているようです。
実際に普段Macでやるようなレタッチ作業に使って試してみたところ、基本的な範囲選択や変形、レイヤーの重ね合わせの際の描画モードの変更や色や明るさの調整などは一通り備えている一方で、ぼかしやノイズなどのフィルターには非対応。また、範囲選択も多角形選択ができないなど、一部ツールが提供されていないようです。
ちょうど1年前に投稿した11インチiPad Proのレビューでは今後Photoshopも投入されるのが楽しみである旨を書きましたが、それから1年、OS側はiPadOSも配信されiPadがより一層PCライクに使い倒せるようになった一方で、それに乗るPhotoshopはまだまだこれからなのかなという印象。少なくとも自分の使い方の中ではまだまだ主要機能が足りず、PC版Photoshopが手放せそうにありません。ただ、同社のAdobe Lightroom CCは素早いアップデートでPC版Lightroom CCと変わらず快適に使えるまで進化したので、Photoshopにも期待できそうです。