スケルトンデザインが特徴のNothingから、新たに発売された完全ワイヤレスイヤホン「Nothing Ear (2)」をレビュー用サンプルとして提供頂いたので、使用感を紹介していきます。
この記事の目次
Nothingの世界観を詰め込んだ最新鋭イヤホン
Nothingは中国のスマホブランド「OnePlus」の共同創業者カール・ペイ(Carl Pei)によって2020年に創業されたロンドンを拠点とする会社。2021年には完全ワイヤレスイヤホンのNothing Ear (1)、2022年には透明の外装と光るギミックを搭載したスマートフォンのNothing Phone (1)と超軽量インナーイヤーイヤホンNothing Ear (stick)と、独特な世界観を持った製品を発売。
それらに続く2023年3月30日発売の最新の製品が、今回レビューするNothing Ear (2)となっています。
Nothing Ear (2)は先代モデルのEar (1)の世界観を踏襲し、透明の充電ケース・筐体を採用したデザインと性能を大きくブラッシュアップした新型モデル。ノイズキャンセリング搭載の完全ワイヤレスイヤホンで、USB type Cの有線・Qiのワイヤレス充電に対応。操作は本体を左右からつまむプレスコントロール式で、操作はNothing Xアプリからカスタマイズ可能。
バッテリー持ちは先代より2時間長い36時間、2台のデバイスとペアリング・接続して自動で切り替えられるデュアル接続、LHDCコーデックを採用したハイレゾ音源の再生に対応するなど、先代モデルから様々な点がアップグレードされています。
結論から言えば完成度は非常に高く、ガジェットとしての満足度合いは金額的に格上の第2世代AirPods Proよりも上に感じる程でした。
それでは、実際の使用感について紹介していきます。
開封時から圧倒される世界観
Nothing Ear (2)の世界観は、パッケージの時点で作り込みを感じます。まず、箱はNothing共通の赤いツマミを引っ張って破る仕組み。
外周を一周すると箱を上下に分離することができます。
最初に見えるのが独特なグラフィックの2次元コード。このコードからiOS/Android用のNothing Xをダウンロードできるので、開封の初期段階でまずはアプリのダウンロードを開始しておき、ダウンロード中に開封を進められるという気の利いた導線を感じ取れます。
マニュアルも黒い紙に白でプリントされており、特別感があります。
イヤーピースは3サイズ用意されるほか、充電用のUSB type Cケーブルも付属。こちらのケーブルも質感にこだわりを感じるショートケーブルで、普段付属のUSBケーブルは箱に入れたまま手持ちの物を使ってしまうような人でもあえて使いたくなるようなものが入っている点にNothingらしさに感じました。
こちらがNothing Ear (2)の充電ケース本体。
側面にはペアリング用ボタンとUSB type Cポートが並んでいます。
ケースの「ear (case)」のプリントが印象的です。
本体が閉じた際に上下でマグネットをくっつけて固定する機構が先代モデルからの改善点として加えられています。
ファストペアリングやNothing Xアプリの体験
Nothing Ear (2)は通常のBluetoothペアリングのほか、Google Fast PairやMicrosoft Swift Pairにも対応。対応した機種であればケースを開くだけでiPhoneとAirPodsのようにペアリングが可能。
Androidに近づけた際の画面。Ear (2)の画像とともに接続ボタンが画面上に表示されます。ペアリングをすすめるとNothing Xアプリのダウンロードを促されるので、先述のコードを読み込んでダウンロードをしていない場合はここでダウンロードする事も可能。
Nothing Ear (2)のファームウェアの更新もこのアプリから行う事ができます。
デュアル接続にも対応しており、Android+iPhoneといった組み合わせも可能です。
Nothing Xアプリではイコライザの設定、聴覚テストを用いたサウンドの最適化、ノイズキャンセリングの最適化、ゲーム用の低レイテンシーモード、操作のカスタマイズ、デュアル接続の管理、イヤーチップのサイズ選択用のフィットテスト、イヤホンを遠隔で鳴らす探す機能といった機能が揃っています。
長押し・2度押して長押しにはノイズコントロールや音声アシスタントの起動のほか、ボリュームのアップ・ダウンを割り振ることも可能。
プレスコントロールの操作性は確実
Ear (2)が採用しているプレスコントロールは第3世代AirPodsやAirPods Proが採用している操作方法と同様で、つまんで押し込む事で操作するもの。タップ式の操作のワイヤレスイヤホンと比べると操作が確実かつ、耳に不快感も感じにくく快適。
最初はプレスコントロールを認識する範囲はやや先端寄りで狭いと感じましたが、数回で慣れて確実に操作できるようになりました。
Nothing Xアプリで音量操作や音声アシスタントまで割り振る事ができ、操作周りはよく出来ていると感じました。
音質は硬めの高音強調系で低音は控えめ
実際にEar (2)をiPhoneに繋いでApple Musicで音楽を聴いてみた感想としては、22,800円という価格の完全ワイヤレスイヤホンから事前に想像していた以上に音が良くて驚きました。音の性質としては高音域をはっきりと出す硬めのシャープな音で、逆に低音域は第2世代AirPods Pro等と比べると控えめ。AirPods Pro系の音に慣れているのであれば、Nothing Xのアプリから「低音を強調」をオンにしておくとちょうど良い程度の音です。
高音強調傾向のサウンドは人や聴く曲によっては長時間は疲れそうな音作りではあると感じますが、個人的には聴いていて楽しい音で好きです。
なおEar (2)はLHDCコーデックによるハイレゾワイヤレス再生に対応していますが、ペアリングする送信側のデバイスでこれに対応しているのはXiaomiのスマートフォンなど数少ない一部のみで、恩恵を受けられる環境は少なめ。Galaxy・Xperia・AQUOSなどでも対応しているLDACにも対応してほしかったところです。
ノイキャン性能は控えめでナチュラル
ノイズキャンセリング機能は「高」「中」「低」「アダプティブ」から選択できますが、「高」にしてもノイズキャンセリング性能自体はAirPods Proと比べると控えめ。車通り・人通りの多い道など騒音のソースが多い場所に行くと、AirPods Proと比べると外の音が入ってきやすいのを明確に感じました。
逆にAirPods Proは第2世代になってからは特にノイズキャンセリング性能が高すぎる場合もあるなと普段使いで感じる事もあるので、程良いノイズ抑制で程度もきめ細やかに調整できるEar (2)はノイキャンの圧迫感が苦手な人にもおすすめしやすい機種にはなっています。
世界観、音質、使い勝手が高レベルで揃ったイヤホン
正直に言って、Ear (2)は使い始めて即座にお気に入りのイヤホンになるような魅力を持ったイヤホンでした。パッケージや本体の目に見える部分が作り込まれているのは勿論ですが、地味ながら装着した時・ノイズキャンセリングのオンオフ時・電池残量低下時などに発せられる効果音のひとつひとつが耳に心地良いのが世界観の構築に一役買っています。
装着した時は電子音、ノイキャンをオンにすると外界に栓をして遮断ような音、オフにすると女性の吐息と共に外界に解き放たれたような音、電池残量が僅かになった時はジリジリと危機感を煽るような音など、圧倒的に作り込まれたサウンドエフェクトが普段使いを楽しくしてくれます。
ビジュアルとサウンドの両面から作り込まれた世界観だけでも魅力的なのですが、それに加えて音質も良く、操作性も良く、デュアル接続などソフトウェア面での利便性も高く、独特な世界観に加えてイヤホンとしての実力も兼ね備えているのがEar (2)の凄いところ。
豊かな低音や3台以上のApple製品同士の切り替え、圧倒的なノイキャン性能といったところはAppleのAirPods Proに譲る点ではありますが、そもそもの値札を見るとAirPods Proは39,800円と高額。その6割未満の価格の22,800円でこの世界観・音質・使い勝手を兼ね備えているNothing Ear (2)は、かなりお買い得度の高いイヤホンに感じました。なお、Nothing Ear (2)は公式サイトから購入すると製品保証が12ヶ月から24ヶ月に延長される特典付き。長く使いたい方にはおすすめです。