ロジクールのコンパクト高性能マウスの最新モデル「MX Anywhere 3S」をサンプルとしてメーカーから頂いたので、今まで使ってきた先代モデル「MX Anywhere 3」との比較も交えて、使用感を紹介していきます。
この記事の目次
MX Anywhere 3Sの特徴・変更点

MX Anywhere 3Sは、ロジクールが2023年6月8日に新発売したワイヤレスマウスで、ロジクールのハイパフォーマンス製品群「MX Master」シリーズの小型マウスのポジションにあたるMX Anywhere 3の後継機となるモデル。主な製品のアップデート内容は以下のとおり。
- トラッキングセンサーが4,000→8,000DPIに
- クリック音が静音化
- Logi Bolt接続に対応
接続方式として従来Bluetoothに加えて独自のUnifyingを採用していたものが、今回から新規格のLogi Boltに対応。別売のUSBレシーバーとペアリングすることでより混線に強いワイヤレス接続が可能になりました。
外観は従来機のMX Anywhere 3からほぼ変わりなく引き継いでおり、独自のMagSpeed電磁気スクロールも引き続き搭載。ホイールの抵抗が電子的に制御され、スクロールし続けるフリースピンに自動制御で切り替えたり、使いやすい具合に挙動を調整することができます。
管理ソフトのLogi Options+は「Smart Actions」を搭載して強化されており、同時発売されたキーボードのMX Keys Sと同様に幅広いマクロ設定やカスタマイズが可能となっています。
それでは、MX Anywhere 3Sのパッケージの中身から見ていきます。
MX Anywhere 3Sのパッケージ内容・外観

こちらが今回レビュー用に頂いたMX Anywhere 3S。カラバリは「ペイルグレー」「グラファイト」の2色展開となっていますが、今回はグラファイトを頂きました。

同梱物としてはフルサイズのUSB→USB type Cの充電ケーブルが付属。Logi Boltのレシーバーは別売。

利用開始前に背面のフィルムを剥がす必要があります。

こちらがMX Anywhere 3S本体。

左右ボタンの中央にはMagSpeedホイールと物理ボタンが配置されており、初期状態ではボタンはホイールのフリー回転をオン・オフする機能が割り振られています。ボタンの機能はLogi Options+ソフトウェアからカスタマイズが可能で、macOSのMission Controlなど、システムの操作を設定することも可能。

背面は電源スイッチのほか、3つまでのデバイスを切り替えられるEasy-Switch機能のボタンが配置されています。

マウス前方の先端部分には充電用のUSB type Cポートを搭載。

左側面には進む・戻るボタンを搭載。こちらもLogi Options+からカスタマイズ可能で、アプリケーションごとに個別に動作を設定できます。
MX Anywhere 3とMX Anywhere 3Sの外観はほぼ同一

先代モデルのMX Anywhere 3とMX Anywhere 3Sは形状は同一で、外観上の変更はほぼ無し。今回ペイルグレーのMX Anywhere 3とグラファイトのMX Anywhere 3Sのため比較しにくいですが、「logi」のロゴの色が変わっているようです。

背面はUnyfingのロゴからLogi Boltに変更されています。
MX Anywhere 3Sの使用感
静音化されつつも確かなクリック感
MX Anywhere 3SはMX Anywhere 3から静音化され、クリックの際の「カチカチ」という音が大幅に抑えられていますが、静音マウスにありがちな鈍い悪印象は感じられず、フィーリングは好印象。音は抑えられつつも、しっかりとフィードバックのあるクリックとなっています。
MX Masterシリーズのマウスの中でも小型で持ち運びやすいモデルだけに、外出時に気を遣うカチカチ音が軽減されたのは製品コンセプトに合致した改良で、使い勝手が良くなっています。
Logi Boltの安定感は抜群、MX Keysシリーズとまとめられるのも便利

今回Bluetooth以外の独自の接続方式が従来のUnifyingからLogi Boltにアップデートされたことで、MX Keys SやMX Keys MiniなどのMX MasterシリーズのLogi Bolt対応キーボードと同じレシーバーにまとめられるのが便利。
従来のMX Anywhere 3をこれらと組み合わせる場合はUnifyingレシーバーとLogi Boltレシーバーの2種類を併用する必要があったので、ようやくマウス・キーボードの足並みが揃えられたのは嬉しいところです。
またLogi Bolt接続は安定感が抜群で、Bluetooth接続と比べると混線環境下でのマウスカーソルの動きの飛びが非常に少なく、全く違うマウスかのような精度で操作できて快適。別売のUSBレシーバーは必要ですが、MX Anywhere 3Sを使うのであれば強くおすすめしたい接続方法です。
Easy-Switchで3台までの切り替えに対応

MX Anywhere 3Sは底面のEasy-Switchボタンで3台までのデバイス切り替えに対応しており、Logi BoltとBluetoothを混在させることも可能。最近はiPadなどもマウス&キーボード操作に適したOSになってきたので、家ではMac/Windows、持ち運びはiPadとペアリングして切り替えて使うといった用途にも便利です。
Logicool Flowで複数デバイスを自動切り替えが便利

MX Keys Sのレビューでも取り上げましたが、マルチペアリングしたロジクール製品を画面端をカーソルが跨ぐ際に自動でまとめて切り替えてくれるLogicool Flowによるデバイス間のシームレスな切り替えが非常に便利。
この機能はWindows・Mac両方に対応しているため、Macで作業しながら少しだけ隣のWindowsを触るといった際にペアリングを切り替えることなく同じマウス・キーボードのセットを使って複数台のデバイスを行き来して操作する事ができます。
母艦のMacBook Proを操作しているMX Anywhere 3S&MX Keys Sをそのまま隣のポータブルゲーミングPCのGPD WIN4に持ち込んで操作し、すぐ戻ってきてMacBook Proを操作といった事が難なく行えます。
MagSpeedホイールは長いスクロールも快適

先代モデルから引き続き採用されており、シリーズの特徴ともなっている電磁気スクロールのMagSpeedホイールは、長いページをスクロールする際には非常に重宝するギミック。低速時は電磁気で抵抗を発生させるためゆっくり回すと精度の高いスクロールができ、弾くとスムーズに長距離スクロールできるので、一度慣れると中々快適で手放しがたいギミックとなっています。
またホイールの抵抗は電子制御されている事から設定で調整ができ、好みに合わせた気持ちの良い程度にカスタマイズできるのが大きな魅力。精度も先代モデルからブラッシュアップされている印象で、より使い心地が良くなっています。
接続安定性・静音性・高感度を兼ねたマウス

一見先代モデルから変わらない見た目でマイナーチェンジに見えるMX Anywhere 3Sですが、実際の使い心地としてはしっかりとブラッシュアップされた製品に感じました。クリック、ホイールの部分のフィーリングが良くなっているのはもちろん、Logi Boltの混線時のワイヤレスの安定性、2倍にアップした8,000DPIの精度など、マウス周りの細かいストレスが軽減されて気持ちよく使えるよう進化しています。
本製品を腰を据えて使うのであればLogi Boltレシーバーはマストに感じますが、持ち運ぶのであれば最近の持ち運びデバイスはMacBookシリーズ含めてフルサイズUSBポートが無くUSB type Cのみとなっているため、Bluetoothで使うべきか悩ましいところ。モバイルPC用途を考えると、ロジクールには是非USB type Cに直結できるLogi Boltレシーバーも出してほしいところです。
Smart Actionsによるマクロ機能はスマートホーム機器などにも連動できて非常に便利なのはMX Keys Sのレビューでお伝えしましたが、MX Anywhere 3Sでは同機能が設定できるものの、ボタン数が必要最低限で持て余さないため、Smart Actions前提であればもう少しボタン数が欲しいところ。とはいえ、この多すぎないボタン構成は完成度が高く、マウスとして見るとこのバランス感を崩してほしくない気持ちもあります。
ともあれ、MX Anywhere 3Sはコンパクトなワイヤレスマウスとしては使い心地がとても良く、満足度の高い製品。個人的にロジクールのコンパクト&ワイヤレスのマウスと言えば2007年発売のVX Nanoを昔とても気に入って長年愛用していたので、あの頃に搭載されていた革新的なメカニカル切り替え機構が電磁気の電子制御になり、同じ操作感で今もなおブラッシュアップされ続けているのは感慨深いものがあります。
定価13,970円とワイヤレスマウスの中では高額な部類と言えますが、癖になる心地良いスクロール機構が小さな筐体に詰め込まれたフィーリングは独特で唯一無二。電磁気制御のホイールというロマンと実利を兼ね備えたギミックがこの完成度で手に入るのであれば、価格の内訳としては十分でしょう。