一般的な住宅のドアに装着する事でスマートロック化でき、更に別売の指紋認証パッドを追加する事で指紋認証やICカード、暗証番号などでも解錠できるようになる「SwitchBotロック」をメーカーから提供頂いたので、使用感を紹介していきます。
今回レビュー用に提供していただいたのはSwitchBotロックと、SwitchBot指紋認証パッドのセット。通常のサムターンの玄関をアプリ連動で施錠・解錠できるようになり、指紋認証パッドを連動させることで指紋・ICカード・暗証番号の3種類の解錠ができるようになります。
更にSwitchBotシリーズのハブ2やシーリングライトなどの中継ハブ機能を持った製品と組み合わせる事によって遠隔から施錠・解錠状態の確認や操作ができ、Amazon Echoシリーズなどのスマートスピーカーから操作したり施錠・解錠・ドアの開閉に連動してIFTTTなどのWebサービスと連動させるといった拡張性を持たせる事ができます。
アップデートによってスマートホームの標準規格であるMatterにも対応し、SwitchBotハブ2経由でHomeKitなどに接続してSiriで操作したりAppleホームアプリからの操作や「帰宅時に自動で解錠」といったオートメーションを設定する事が可能になりました。
それでは、まずは本体のパッケージ内容から見ていきます。
パッケージ・同梱品の確認
SwitchBotロック本体のパッケージ
それではSwitchBotロックのパッケージの中身を確認していきます。
SwitchBotロック本体のほか、設置前の設置面の清掃用のクリーナー、太さの異なるサムターン用のアダプタ、開閉検知用の磁石、予備の両面テープ(本体用+磁石用)、NFCタグ、NFCタグ用のラベル、ドライバー、スペーサー調整用のネジ&ドライバー、取扱説明書が同梱されます。
なお、電池はCR123Aが2本、SwitchBotロック本体に装着されています。
利用開始にはまず電池部分の蓋を外し、中の絶縁を外す必要があります。
電池蓋の内側にはドアのサムターンの位置に合わせられるよう調整用スペーサーが入っているので、設置の際はこのスペーサーを適切な位置に引っ張ってネジで固定します。
SwitchBot指紋認証パッドのパッケージ
こちらがSwitchBot指紋認証パッドのパッケージ内容。取り付けに必要なクリーナー・金属パネル・位置合わせシート・両面テープ・ネジのほか、本体取り外し時用のピンと解錠用NFCカード、取扱説明書が含まれます。
こちらがSwitchBot指紋認証パッド本体。
数字キー・施錠キー・決定キーがソフトなラバー素材で覆われたボタンとして配置されており、最下部には指紋リーダー。数字キーの中央にはICリーダーが配置されています。
裏蓋は防水パッキン処理が施されており、開けるのがやや難しめ。
バッテリーはSwitchBotロック本体と同じCR123Aを採用しており、付属の2本を取り付ける事で起動できます。
背面の金属パネルはネジで壁に固定・両面テープで固定の2通り選べますが、ネジで固定した場合は無理に取り外すとアラームが鳴る仕様となっており、玄関の屋外側に設置する高額製品だけに対策が練られています。
SwitchBotロックの使い勝手
続いて、SwitchBotロックと指紋認証パッドを実際に取り付けて使い勝手、感じたメリットデメリットなどを確認していきます。
標準でドアの開閉検知によるオートロックに対応
SwitchBotロックは標準でドアの開閉検知用の磁石が付属するため、競合製品のSESAME5のように別途開閉センサーを買い足す必要なく標準でオートロックに対応。また、同様に標準の同梱品で同様のオートロックに対応しているQrio Lockと比べてドアを閉じてからオートロックするまでの秒数設定ができたり、ドアの開閉を検知して他の外部サービスと連動するセンサーとしても活用できたりと、オートロック周りの完成度&拡張性は競合製品の中でも非常に優秀です。
指紋認証パッドは屋外設置に配慮した防犯&IP65防水
指紋認証パッドは実際手に取ってみるとしっかりと玄関の外側に設置する事に配慮した設計となっていることがよく分かる作りで、表のボタンの表面素材や裏蓋のパッキンなどIP65の防水なのが一目瞭然で、かつ手順に沿って取り外さなければアラートが鳴り、アプリや本体の認証を使わなければアラートが止められない仕様。
この辺りをしっかり作り込んでいるのは本体の作りから感じ取れました。
指紋認証は必要十分なものの、SESAMEタッチには及ばない速度
指紋認証のセンサーは実用上問題無い速度が出ていると感じたものの、先日レビューしたSESAME5のSESAMEタッチの指紋認証の圧倒的な速度と比べるとワンテンポ遅く感じてしまいました。
精度に関しては不満を感じない完成度で、特にストレス無く認識してくれています。
NFC解錠はMIFARE Classic 1K規格であれば他社製にも対応
IC解錠機能は付属のSwitchBotのICカードだけでなく、MIFARE Classic 1K規格の他社製カードであれば同様に登録することが可能。カード型だけでなくシールタイプなど様々な社外品から選べるので、工夫すればより便利に解錠できそうです。
一方でSESAME5のようにApple Watch上のSuica等を含む任意の交通系ICカードを登録する事はできないため、普段から身につけているウェアラブルやスマートフォンで解錠できる利便性はSESAME5がリードしている部分に感じました。
WiFi連動のための「ハブ」の選択肢が豊富
スマートホーム製品を幅広く展開しているSwitchBotならではの強みとして、スマートロックをWiFi接続して連携させるハードウェアの「ハブ」の選択肢が豊富なのは他のメーカーには無い強みです。
通常のスマートロック製品であればスマートロック製品をWiFiに接続するためだけの専用のWiFiモジュール製品をコンセントに差し込んで設置する必要がありますが、SwitchBotは様々な製品にこの機能が組み込まれているため、別のSwitchBot製品の中継や別の機能を兼ねた形で設置することができます。
以前レビューしたSwitchBotハブ2であれば物理ボタン・湿度計・室温計・赤外線リモコンを兼ねており、他にもシーリングライト一体型や、ハブ+赤外線リモコンのハブミニなど、用途に応じてこの中継機の機能を持たせる製品を選ぶ事ができます。
スマートスピーカーからも施錠・解錠が可能
SwitchBotロックはハブを介してGoogle AssistantやAlexa搭載のスマートスピーカーと連動することで、音声操作による解錠・施錠が可能。ただし解錠に関しては暗証番号の設定が必須で、口頭で暗証番号を正しく伝えた場合のみ解錠が可能。施錠に関しては暗証番号は不要です。
セキュリティ的に仕方のない部分ではあるものの、声に出して暗証番号を言う必要があるためあまり解錠は体験としてスムーズではないかもしれません。
Apple Watchからの解錠はSwitchBotアプリから可能
SwitchBotアプリをApple Watchにインストールしておけば、Apple Watchからの解錠も可能。コンプリケーションとして盤面にショートカットも設置できるので、Apple Watchアプリとしてはスムーズに解錠を行うことができます。
ただ他社製品と比べた場合先日レビューしたSESAME5はApple Watchの交通系ICをそのまま鍵として使えるため、画面をタッチせずにかざすだけで解錠ができてアプリでの解錠より圧倒的にスムーズ。理想的にはそういった使い方ができるとベストに感じます。
ハブ2と組み合わせるとMatterでHomeKit連携にも対応
SwitchBotロックはSwitchBotハブ2と組み合わせる事でスマートホームの標準規格「Matter」にも対応。AppleのホームアプリやSiriから解錠できるようになるほか、帰宅時に自動で解錠などのオートメーションも組み込む事ができます。なお、Siriからの解錠の場合Google AssistantやAlexaと違い暗証番号の発声は不要です。
スマートホーム化の部品として組み込みやすいスマートロック
スマートロック製品は今までも他社製品のQrio Lock、 SESAME5などを実際に設置して運用してきましたが、SwitchBotロックの最大の強みはスマートホームの部品としての拡張性の高さ。
豊富なSwitchBotのハブ製品の中から好きなデバイスを経由してWiFiネットワークに接続でき、Alexa・Google Assistant・IFTTT・HomeKit等の外部サービスと連動しつつ、単なるスマートロックとしてだけでなくスマートホーム内のトリガーとしても活躍する製品となっています。
スマートロックとしての基礎性能は実用に十分で、不便の無いレベルで指紋・ICカード・暗証番号によるロック解除ができ、その上で各種連携機能が細かく構築できるため、スマートホームの中に取り入れるパーツとして優等生な製品です。
価格帯としても定価でQrio Lockの半額程度で導入できてお買い得かつ、ソフトウェア面や認証パッドの防犯面ではSESAMEよりもしっかりと作られていて拡張性も高いSwitchBotロック。スマートホーム化を進めていくのであれば、その一部品としておすすめしたいスマートロックです。