ライカと共同開発されたInsta360の高性能アクションカメラ「Insta360 Ace Pro」をレビュー用にお借りしたので、実際の使用感や作例を紹介していきます。
この記事の目次
画質に特化したアクションカメラ「Insta360 Ace Pro」
Insta360はカメラのラインナップとして360度カメラとしてInsta360 X3(レビュー記事)と1インチセンサーを採用した高画質モデルのInsta360 ONE RSといった上下構成で展開している一方で、360度ではない通常のアクションカメラとして超小型アクションカメラのInsta360 GO 3(レビュー記事)を展開。
アクションカメラとしてはGO 3は超小型で撮影の自由度が高いカメラでしたが、これと真逆のポジションをアクションカメラ枠でも埋めるべくサイズを大型化し、画質に特化したアクションカメラとして登場したのが今回紹介するInsta360 Ace Proです。
Insta360 Ace Proは5nmのAIチップと大型1/1.3インチセンサーを搭載しており、これらを組み合わせた「PureVideo」モードを使う事で従来アクションカメラでは難しかった低照度の暗い環境下でも高画質な撮影ができるカメラとなっています。
充電速度に関しても力が入れられており、USB PDで22分で80%まで充電できるとしています。
また、生成AIによって映像の一部を差し替える「AIワープ」機能もAce Pro/Ace限定でInsta360アプリから利用可能。こちらの作例も紹介していきます。
Insta360 Ace Proのパッケージ・外観
こちらがInsta360 Ace Proのパッケージ。レンズ側からも画角を確認しやすい2.4インチフリップスクリーンをアピールした商品画像が使われています。
箱を開封するとInsta360 Ace Proに並んでInsta360アプリのダウンロード用のQRコードが添えられているのはGO 3やX3同様。中身を取り出している間にアプリのダウンロードが行えるようにとの配慮を感じます。
パッケージ内容はこのとおり。カメラ本体のほか、GoProをはじめとする様々なアクションカメラ用のマウントと互換性のあるマグネットマウント、充電用USB-Cケーブル、両面テープで装着するマウントの台座が入っています。
こちらがInsta360 Ace Pro本体。前面には設定確認用の小型ディスプレイが搭載されているほか、ライカ共同開発のレンズ周りは赤く強調されており、レンズ上部にはLEICAの文字がプリントされています。
左側面は電源ボタンが配置されています。
蓋を開けるとUSB type CポートとmicroSDスロットにアクセスが可能。蓋はタイムラプス撮影など長時間電源が必要な際に給電し続けられるよう、着脱可能となっています。
右側面はバッテリーパックの蓋。
バッテリー容量は1650mAhとなっています。
上部にはわかりやすく撮影ボタンを搭載。
背面は全面フリップ式のタッチパネルとなっています。
レンズ側にフリップすることができるので、自撮りだけでなく固定撮影時の画角確認にも便利です。
下部には独自のマグネットマウント用のツメのみ用意されており、1/4インチ三脚穴やGoProマウント用のパーツは搭載されていません。
付属のマウントアダプタを装着したところ。GoPro系のアクションカメラマウント用アクセサリを装着できるようになります。また、Insta360から出ているクイックリリースマウントを使うと三脚穴とGoProマウントが併用可能です。
フロントのディスプレイ部分は撮影モードや電池残量、残りの撮影可能時間が確認可能。画面下にはLEDインジケーターが添えられています。
付属の両面テープのマウントは一度限りの貼り付けとなっており、再利用は不可なので注意。貼り付けたまま固定しておける場所にのみ使えるマウントとなっています。
Insta360 Ace Proの作例
それでは、実際に撮影した作例を取り上げていきます。
PureVideoの暗所撮影性能は圧倒的
Insta360 Ace Proの売りである、5nmのAIチップと大型1/1.3インチセンサーを活用したPureVideoの低照度撮影。数年前のモデルにはなりますが、今回は手元にあったDJIのアクションカメラ「Osmo Action」と比べてみました。
並べてみると、Osmo Actionと比べるとAce Proはかなり大型な事がわかります。
同じ環境で2つのカメラで撮影するため、今回は2台を並べたリグを作成し、夜間に徒歩で撮影してみました。実際の作例をは以下のとおり。
左がInsta360 Ace Pro、右がOsmo Actionの作例。音声も合わせてL/Rチャンネルに振ってあります。
冒頭の重機のシーンだけでも画質の差が分かりやすく出ています。
Insta360 Ace Proはノイズが少なく、また低照度でありながら徒歩の揺れに対する手ブレ補正も非常に安定しており、2019年登場のOsmo Actionとの比較ではあるもののアクションカメラとしては非常に優れた低照度撮影性能を持っている事が分かります。
従来アクションカメラは低照度の環境では画質・手ブレ補正ともに苦戦していましたが、Insta360 Ace Proは大型のセンサーとAI処理を組み合わせる事によってこの弱点を大幅に克服できていると言っても良いでしょう。
2倍ズームが画面上で簡単にでき、画角が柔軟に調整可能
Insta360 Ace Proはタッチパネル右下に2倍ズーム(4800万画素から中央クロップ)ボタンが用意されており、アクションカメラらしい超広角な画角だけでなく、中央を切り出した一般的なビデオカメラ的な画角でも撮影が可能。
車載などでマウントできる場所が限られている場合は特に有効な機能で、ヘッドレスト横にビデオカメラをマウントしたかのような映像をアクションカメラサイズのカメラで撮影する事ができます。
こちらが車のヘッドレストにマウントして撮影した1倍の通常の作例。車内の様子と車外の様子をバランス良く映せる画角です。ここから2倍ズーム機能を使うと、車外の様子にフォーカスした映像も撮る事ができます。
こちらが2倍ズームで同じ固定箇所から撮影した作例。同じマウント箇所で複数の画角を使い分ける事ができるので、映像にバリエーションが出せて便利な機能だと感じました。
Insta360アプリを使った「AIワープ」
Insta360 Ace Pro/Aceは、Insta360アプリの「編集する」タブから生成AIを使ったエフェクトが追加できる「AIワープ」機能が利用可能。
エフェクトを追加する動画の秒数を指定後、画面全体にエフェクトを適用するのか、部分的にに適用するのかを選択、最後にスタイルを指定し、「AI動画を作る」ボタンでサーバーにアップロードすると数分間でAIワープエフェクトを適用してくれます。
プリセットでCyberpunk、Space、Animeなどのスタイルが用意されていますが、より詳細な指定をしたい場合は自分で生成AIのプロンプトを指定する事も可能。
今回は車載映像の窓ガラスの外の部分のみを指定し、タイムトラベルしているようなSF映像を作成してみました。作例は以下のとおり。
スマートフォンの画面から大雑把に窓ガラス範囲を手書きで指定しただけですが、AIが上手くSFライクな背景を合成してくれています。2〜4秒の範囲、かつ月90本までという制約はありますが、ユニークな映像を簡単に生成できる面白い機能です。
写真撮影
名門ライカと共同開発しているという事もあり、Insta360 Ace Proは写真撮影もそれなりにこなしてくれます。ぱっと見は近年の標準的なスマートフォンと遜色ない写真が撮れるので、これ一台で動画から写真まで撮影して記録したいという場合でも実用性はアップしています。
4800万画素の8K作例中央からFullHD分を等倍で切り出すと流石にこのコンパクトサイズのカメラだけにスマートフォンの作例のような塗り絵感が感じられますが、全体像だけ見たら分からないレベルなのではないでしょうか。
こちらは屋内で撮影した作例。屋外のような光量に恵まれない環境だと、静止画は塗り絵感が強くなるようです。動画に関しては暗所でもPureVideoモードでかなりの実力を発揮していましたが、静止画の写りを見る限りセンサー単体の実力というよりかはAIのソフトウェア連携部分の貢献度が大きいのだと感じます。
低照度撮影を武器に王道のアクションカメラに攻め込んだInsta360
Insta360と言えば今までは360度カメラや超小型アクションカメラ、モジュール式アクションカメラなど王道のアクションカメラからはズラした変化球や飛び道具を使うメーカーでしたが、今回のInsta360 Ace Proではライカとの共同開発、AIチップを用いた低照度撮影といった武器を用いて王道のアクションカメラで、画質面での真っ向勝負を仕掛けてきた格好となっています。
手元に最新モデルが無いので自分で比較は出来ませんでしたが、GoPro HERO12やDJI Osmo Action 4といった大手他社の最新モデルとの比較動画や作例を色々と見る限りは現状暗所での撮影はInsta360 Ace Proがトップに躍り出たと言っても良さそうです。
Insta360シリーズは全体的にソフトウェアの使い心地が良く、本体・スマートフォンアプリ・PCアプリでそれぞれ快適に映像を扱う事ができるのは従来機のInsta360シリーズで感じていた事ですが、その使い心地の良いソフトウェアが王道のアクションカメラで味わえる製品が登場したのは大きな価値のあることなのではないかと感じます。
特に夜景やイルミネーションなど、夜間に撮影したい方であればInsta360 Ace Proの低照度撮影性能は間違いない選択肢なのではないでしょうか。
Insta360 Ace Proの価格は67,800円。当サイトのリンク経由で公式サイトから購入すると専用のスクリーンプロテクターが無料特典として付属するので、購入の際は是非ご活用ください。