4月に発表されたHuaweiのフラッグシップモデル、Huawei P9 Plus。以前は外観レビューを書きましたが、今回はソフトウェアに関してのレビューを書いていきます。
先日書いたレビューの通り、Huawei P9 Plus(以下P9 Plus)は非常に高級感の溢れるクォリティの高いスマートフォン。しかしP9 Plusの魅力はそのデザイン性の高さだけでは留まらず、ソフトウェア面も極めて完成度が高くなっています。
洗練されたUIデザイン
Huaweiのスマートフォンは独自のユーザーインターフェース「EMUI」を搭載しています。もちろんP9 Plusには最新の4.1を搭載。最大の特徴はドロワーという概念がなく、ホーム画面と全てのアプリが一体型となっている点。iPhoneのホーム画面にウィジェットを置けるようになったものと考えるとわかりやすいかもしれません。
AndroidアプリのアイコンはiOSのそれとは違い形状が統一されておらず、外観性の統一感に欠けるのですが、EMUIではサードパーティ製アプリの背景に中立色がアイコンの周りにあしらわれるので、全てのアプリアイコンが全く同じ形状となり、iOSと同じ様な統一感を実現しています。元々用意されているいくつかのテーマでカスタマイズすることによってアプリアイコンのデザインを変えることも可能。またテーマは有志によって多数配布されており、自分だけのホーム画面を簡単に作り出すことができるのもHuaweiホームの魅力です。更にはシステム最適化等の様々なメンテナンスが行える端末管理アプリもプリインストール。わざわざ信頼性の低いサードパーティ製アプリを使わずにシステムを最適な状態に保てます。
速く、精確な指紋認証
Huaweiは以前から指紋認証に対応したスマートフォンをリリースしてきましたが、今回のモデルから3D認証に対応。指の縁でもより正確に認証できるように進化しています。また認証速度もとても速く、例えばポケットからP9 Plusを取り出し、視線を端末へ向けた時には既にロックが解除されている、といった感じです。iPhone 6sやXperia X Performance等の他社の指紋認証対応モデルも認証の速度はとても速いですが、いずれもボタンと指紋認証部が統一されていることによって、ロック画面の通知が見たいだけなのにあまりにも認証速度が速すぎてロックを解除してしまった、という第二の弊害が存在します。一方でHuaweiはボタンと指紋認証を分けているため、そのような弊害が起こらず、ストレスフリーに指紋認証機能を使うことができます。
ロック解除時のアニメーションは画面中心部からアイコンやウィジェットが飛び出してくるようなエフェクトで、まるで自分自身の指によってスマートフォンの中の世界を切り開いていくような爽快感があり、特に用がなくてもついつい指紋認証を使ってみたくなってしまいます。
ロック画面を解除した後でもアプリを個別にロックも可能。「飲み会でスマホの中の写真をみんなに見せることになったけど、あのアプリの中はちょっと見られたくない…」そんな不安とももうおさらば。素早くロックされて素早く解除できるので普段使いに抵抗を覚えることもありません。
他のスマホにはない数々の便利機能
AndroidはiOSと比較すると色々カスタマイズ出来る点が魅力の一つですが、一般的なAndroidスマホでは対応しきれない部分もEMUIでは網羅されています。
元々ディスプレイの解像度は1080×1920なのですが、擬似的に720×1280へ変更が可能。これにより多くのパワーを必要とするゲームより快適にプレイしたり、電池の持ちをより長くすることができます。アラームに関しては、本体の電源を切っていても設定した時間に自動的に電源が付きアラームを鳴らしてくれます。電源を切る直前の画面でアラームを鳴らすか鳴らさないかを簡単に設定できる点も高評価。更にバックアップアプリもプリインストールされており、root権限を取得せずともいとも容易く写真からアプリのデータまで完全にSDカードへバックアップできます。バックアップされたデータはEMUIを搭載したHuawei製スマホであれば容易に復元が可能。iPhoneと同じように全てのデータを、そしてクラウドより信頼性の高いSDカードへいつでもどこでもバックアップ。「Androidスマホは機種変更の時に面倒」といった概念を見事に払拭しています。
通知を受信した瞬間に画面点灯
通常のAndroidスマートフォンは各アプリの通知を受け取ってもバイブやランプでしか確認できませんでしたが、EMUIを搭載したP9 Plusでは通知を受け取ると同時に画面が点灯するように設定できます。iPhoneでは当たり前の機能ですが、Androidスマートフォンでは大きなアドバンテージだと感じます。
不要なアプリは一括削除
通常Androidはアプリのアンインストールを一つずつしか行えませんが、EMUIでは複数のアプリを一括でアンインストールが可能。また選択したアプリを一緒に移動させることもできるので、ホーム画面を整理するときにも重宝します。
指の関節や押す強さで新たなユーザー体験を
指の関節部分で2回ノックをするとスクリーンショット。関節で「S」を書くと縦長のページを一枚の画像として保存できるスクロールショット。「あったら便利」がEMUIにはあります。
また圧力で通常とは違う操作ができる”Press Touch”に対応。iPhoneの3D Touchを模倣したようなもので、使えるアプリは極めて少なくお世辞にも「使える」とは言い難いのですが、面白いインターフェースであることは間違いないので今後の進展に期待したいところです。
これ以上望むことはない。「今が最高」
従来のHuawei製スマートフォンは独自SoCの性能不足や発熱問題、EMUIの未成熟さによる操作性の欠落等、他社のスマートフォンと比較して劣っている点が少なからず存在しました。しかし今回のP9 Plusはほぼ全てのデメリットを克服し、且つ優れていた部分でさえもブラッシュアップさせた真の完成形です。ユーザーインターフェースの充実だけでなく、それにより生み出されるユーザーエクスペリエンスまで考えられていると実感しました。デザイン、ユーザビリティ、独自性。全てが高次元の領域で実現した数少ない完全無欠な最高のスマートフォン。唯一の不安としては、今後Huaweiはこれ以上に進化したスマートフォンを世に送り出すことが出来るのか、という点でしょうか。それほどまでに今回のHuawei P9 Plusは素晴らしいスマートフォンだと感じました。