今回は巷で話題の「ハイレゾ」の再生環境を、iPhoneでも導入できるということで試してみました!
用意したもの
・Lightning – USBカメラアダプタ MD821ZM/A(Lightningデバイス)
または
・iPad Camera Connection Kit MC531ZM/A(30ピンデバイス)
iPadやiPhoneにデジタルカメラを接続する際に使われるアダプタですが、USBオーディオ・MIDI機器を接続する際にも使用することが出来ます。今回私はiPhone 4とiPad Camera Connection Kitの組み合わせで使用しました。(実売価格: 3,000円程度)
・Fiio E07K USB DAC+ポータブルヘッドホンアンプ(USB DAC)
デジタルの楽曲データをアナログの音声に変換して出力するために必要なポータブルアンプです。上記iPad Camera Connection Kitを使用したiPadからのUSB入力に公式で対応していますが、iOS 7の仕様変更により、iPhoneでも使用することができるようになりました。日本の代理店が発売・サポートしている商品もありますが、私は安価な並行輸入品を購入しました。(実売価格: 10,000円程度)
・ONKYO HF Player
オンキヨーがリリースしているハイレゾ対応の音楽プレイヤーアプリです。無料アプリですが、ハイレゾ音源(DSD・FLAC・WAV)の再生には「HD Player Pack」へのアップグレード(1,000円)が必要です。
Fiio E07K
最大24bit/96kHzまでの再生が可能なデコーダーを搭載し、PC・iOSデバイス、ライン入力に対応しているのにも関わらず、実売1万円前後と非常に安価なポータブルアンプです。黒を基調としたスタイリッシュなアルミボディーの外装が特徴的です。
本体上部に2つのヘッドホン出力、下部にUSBコネクタ、ライン入力があります。
サイドに4つのボタンとホールドスイッチがあり、音量変更や設定変更が可能です。
機能としては、BASS・TREBLEの10段階調整・左右のバランス調整・ボリュームメモリー機能・画面の自動消灯などがあります。
連続駆動時間はメーカー公称値で約24時間となっています。
実際に半年ほど使用していますが、一日2~3時間の使用では充電しなくても1週間程度は駆動できるため、不便だと感じたことは特にありません。
さほど作りが良いものではありませんが、シリコンカバー、キャリングケース、保護フィルム・シリコンゴムバンド、3.5mm ステレオミニケーブル、miniUSBケーブルが付属しているため、結構お買い得感があります。
接続してみる
iPhone 4のドックコネクタにiPad Camera Connection KitのUSBアダプタを接続します。
そして、USBアダプタとFiio E07KをMini USBケーブルで接続します。
最後に、Fiio E07Kの設定画面から、「USB CHARGE」をオフに設定します。あとは、お好きなヘッドホンと接続するだけです。もし、何らかの接続エラー(「接続中のアクセサリは消費電力が大きすぎます」等の警告)が出る場合は、Fiio E07Kの電源を入れ直したり、USBアダプタを接続し直すと解消することがあります。
ONKYO HF Playerで再生してみる
手順としては、iPhoneアプリの「ONKYO HF Player」でアドオンの「HD Player Pack」を購入し、PCから転送したハイレゾの音楽ファイルを再生するという流れになります。
音楽ファイルは、iTunesのデバイス画面で「App」タブの「ファイル共有」から「HF Player」を選択するとドラッグ&ドロップで追加することが可能です。
Fiio E07Kを接続していると、再生画面右上の出力方式がファイルに応じたサンプリングレートの表示になります。アプリの設画面から「アップサンプリング」をオンにすると、DACが対応しているサンプリング周波数(最大192kHz・Fiio E-07Kでは96kHz)まで、アップサンプリングされて再生されます。手持ちの音源でも、iPhoneアプリでサンプル補完を行って再生してくれるのは効果にかかわらず面白い機能ですね。
ここからは聞き比べてみた感想なので主観的なレビューになりますが、今回私は今年の3月にe-onkyo musicとmoraでリリースされた宇多田ヒカルのハイレゾマスタリングアルバムから「First Love [2014 Remastered Album]」から「First Love」(flac 96kHz/24bit)を購入し、宇多田ヒカルのベストCDアルバム「Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1」に収録の同曲(WAV 44.1kHz/16bit)と聞き比べてみました。なお、イヤホンはShureのSE315を使用しました。
ハイレゾリマスター版はCD版と比較すると、音圧が過剰に上げられていないのでダイナミックレンジがとても広く、一つ一つの音がかなり明瞭で聞きとりやすくなっています。また、ドラムが入っても音が潰れることがないため、ボーカルがよりクリアで繊細に引き立っている印象を受けました。このリマスタリングアルバムは、著名なマスタリングエンジニアであるTed Jensen氏がリマスタリングを担当したということで、往年の名曲が明瞭かつ繊細に生まれ変わっています。
正直なところ、今までハイレゾで配信する風潮には懐疑的なものがありましたが、一昔前の音源を現代の技術でリマスターし、ベストな状態で販売する手段としてのハイレゾ配信には意味を見いだすことが出来ました。また、CDの音圧競争による音質の低下という弊害を回避する手段としても有用であると思うため、音質にこだわるアーティストはハイレゾ配信をするのではないでしょうか。もちろん今回はマスタリングが違うということもありましたが、明らかな音質の差を感じられたため、ハイレゾでリリースされている楽曲を購入する価値は十分にあると感じています。
ある意味、自己満足とも言えるような「ハイレゾ」の世界ではありますが、ポータブル環境で簡単に再生することができるようになったのは素晴らしいことであると思います。みなさんもiPhone 5sやiPhone 5、あるいは余っている手持ちのiPhone 4やiPhone 4Sなどを活用して気軽に導入できるハイレゾ環境を構築してみてはいかがでしょうか?