動画配信サービス「Netflix」は他国のVPNを経由する事で、その国に向けて配信されているコンテンツを閲覧する事ができます。ただ、実際にNordVPNを使って試してみたところトリッキーな点がいくつかあったので、メモがてら紹介していきます。
この記事の目次
Netflixは日本からはジブリ作品など一部コンテンツが利用不可
Netflixは日本に向けて正式にサービスを提供している動画ストリーミングサービスではありますが、一部コンテンツは日本国内からは利用できません。
利用できないコンテンツの中でも有名なのがスタジオジブリ作品で、日本国内における権利関係が複雑なためNetflixをはじめとしたオンラインの配信サービスへの供給が難しくなっています。そのため配信サービスが普及した現在の日本でも、ジブリ作品を楽しめる機会は金曜ロードショーなどのTV放送か、DVDのレンタルなどに留まっています。
一方で日本(及びアメリカ・カナダ)以外の国においては権利関係をクリアしているため、Netflixで「となりのトトロ」「もののけ姫」「猫の恩返し」といったジブリの名作が配信されており、スマートフォンやPC、テレビなどで鑑賞する事が可能。
今回の記事ではVPNサービス利用し、海外のサーバーを経由して海外向けラインナップでNetflixを実際に利用してみた上で契約プランなどの注意点をピックアップしてみました。
Netflixとの組み合わせに定評のあるNordVPNを利用
今回はNetflixの海外向けコンテンツを閲覧するにあたって、60か国に5500台以上のVPNサーバーを保有しており、帯域幅制限・容量制限が無く動画コンテンツのストリーミングに適したNordVPNを利用してみました。
結論から言うと、NordVPNを用いてイギリス経由で接続したNetflix(iPhone・Macで確認)ではスタジオジブリ作品の再生ができ、音声・字幕ともに日本語が利用できました。ただ実際に利用するにあたって、いくつか注意点があったのでピックアップしていきます。
注意点
1. VPNが使えるのは広告無しプランのみ
まず最初に引っかかったのが、広告つきプランはVPNを介した利用が制限されているという点。Netflixには2023年7月現在、以下のプランが用意されています。
- 広告つきスタンダード(1080p・月額790円)
- ベーシック(720p・月額980円)
- スタンダード(1080p・月額1,490円)
- プレミアム(4K+HDR・月額1,980円)
このうち「広告つきスタンダード」は最安プランなものの、VPNを介したアクセスが制限されており、VPNを介してアクセスすると「問題が発生しました」というダイアログが表示されます。
これはNetflixのヘルプセンターの“「VPNまたはプロキシを使用しているようです」とNetflixで表示される”のページでも詳細に解説されており、明示的にVPNが利用可能な範囲が記述されています。
ページによるとVPNを利用するには広告なしプランに加入する必要があるほか、リアルタイムのNetflixライブイベントはVPNで利用できない旨が明示されています。
逆に、広告なしプランに加入さえすればVPNは利用可能であると公式のヘルプセンターに記載されているので、Netflix側もVPNを容認するプラン・しないプランをしっかり切り分けている事がわかります。
2. 月途中の広告つきスタンダード→ベーシックのプラン変更は不可
VPN経由でNetflixのコンテンツを利用したければ広告なしプランへの加入が必要なのは先述したとおりですが、一度「広告つきスタンダード」に加入してしまった場合、当月中のプラン変更はスタンダード以上である必要があり、ベーシックには変更できないという落とし穴があります。
Netflixのプラン変更システムは「アップグレードなら当日適用」「ダウングレードなら翌月適用」となっており、契約の月途中ではプランを下げる事ができなくなっています。広告つきスタンダードは月額料金こそはベーシックよりは安くなっているものの、プランのグレード的にはベーシックよりも格上のスタンダードプランと同等の扱いとなっています。
そのためVPN利用目当てで広告つきスタンダード→ベーシックへの当日変更は不可となっており、広告つきスタンダードプランのユーザーがすぐにVPNを利用したい場合はスタンダード、あるいはプレミアムへのアップグレードが必要となっています。
今回はVPN利用制限が掛かっているとは知らず「広告つきスタンダード」に加入してしまったため、やむを得ず即日VPN利用のために「スタンダード」にアップグレードする必要がありました。
ただし広告つきスタンダード→スタンダードのプラン変更の場合は「日割アップグレード」という処置が施され、請求金額は広告つきスタンダードの790円のまま、サービス期間の日数側が調整され短くなっていました。この辺りは配慮を感じます。
広告なしプランであればVPN利用OKでスムーズに利用可能
Netflixは動画配信サービスとしては珍しくVPNの利用可能な範囲を「広告ありプラン・ライブイベント以外」と明示しており、更に広告ありプランから通常プランへの移行も日割りで当日から可能な事から、今回はNordVPNを介して非常にスムーズに動画視聴ができました。
なお海外リージョン向け動画を利用する際のアカウントは日本で作成した通常のNetflixアカウントでも問題無く、日本向けコンテンツに加えて海外向けコンテンツを同じアカウントで楽しむ事が可能です。
今回紹介したように海外圏向けに配信されているスタジオジブリ作品を日本からも再生可能にできるほか、海外滞在時に日本のVPNサーバーを介して日本向けのコンテンツを再生するなど、逆の使い方も便利そうです。
追記:後日より安価で月額239円から契約可能なAtlas VPNで試してみたところ同様に問題なく再生できたので、動画サービスの海外リージョンを楽しむ用途であればこちらもおすすめです。