小型でよりメンテナンスフリーに。進化した「SwitchBot ロボット掃除機K10+ Pro」レビュー

スマートホーム製品を幅広く展開しているSwitchBotから新登場した小型ロボット掃除機「K10+ Pro」をメーカーからご提供頂いたので、昨年紹介したK10+からの進化ポイントを含めて紹介していきます。


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日本の家に特化したロボット掃除機が「Pro」になり進化

昨年登場したSwitchBotのロボット掃除機「SwitchBotロボット掃除機 K10+」は日本の住宅事情に配慮して開発されており、欧米の大型の住宅向けの馬力重視のロボット掃除機が多い中、日本のコンパクトな住宅も掃除しやすい小型の筐体と集合住宅に適した静粛性を兼ね備えつつ、通常サイズのロボット掃除機に引けを取らない性能を追求したモデルとなっています。

今回登場した新モデルK10+ Proはその先代モデルK10+の魅力をブラッシュアップし、コンパクトさと静粛性はそのまま、新センサー搭載で壁際の清掃性能を向上吸引力の向上ゴム製ブラシの採用で毛の絡まりにくい仕様になるなどの改善が施されています。

昨年取り上げたK10+はコンパクトかつ静粛性が高く、日本の住宅でも使いやすい事から今まで触ってきたロボット掃除機の中でも個人的にお気に入りの製品でした。K10+ Proはそこから更に性能向上が図られているため、今までの魅力をおさらいしつつ改善ポイントもチェックしていきます。

SwitchBot K10+ Pro/K10+/S1 Plusの比較

まずは今回新たに紹介するSwitchBotロボット掃除機K10+ Proのスペックを、以前レビューしたSwitchBotロボット掃除機K10+/S1 Plusと比較しつつ進化したポイントを確認していきます。


K10+ Pro

K10+

S1 Plus
直径 24.8cm 24.8cm 34cm
高さ 9.2cm 9.2cm 9.5cm
本体重量 約2.3kg 約2.3kg 約3kg
吸引力 3000Pa 2500Pa 2700Pa
運転音 45dB 45dB 59dB
ダストボックス容量 200ml 150ml 350ml
センサー LDSセンサー
PSD距離センサー
LDSセンサー LDSセンサー
ステーション容量 4L(抗菌) 4L 4L
ゴミ吸い上げ 時間指定可能 時間指定可能 掃除終了時
水拭き 市販の使い捨てシート 市販の使い捨てシート 専用モップ+300ml水タンク
価格 69,800円 59,800円 69,800円

家具の合間を縫うように掃除できるコンパクトなサイズや静粛性は昨年登場したK10+と変わらないものの、こうして一覧表にするとK10+ Proは性能が底上げされている事が分かります。

まず吸引力が3000Paに強化されており、フルサイズの従来機S1 Plusの2700Paを上回る数値に。小型ながら大型モデルを上回る性能になりました。

K10+で150mlまで小型化された本体内蔵のダストボックスは今回200mlまで拡張されており、ベースステーションに戻らずに一度に掃除できる範囲が拡大しました。

センサーは従来のLDSセンサーに加えPSD距離センサーが追加され、壁などの障害物に衝突しないだけでなく壁際で吸引力とブラシ回転速度をアップさせる事で隅の清掃性能をアップさせています。

本体の清掃を静音モードで実行可能なほか、ステーションへのゴミ吸い上げを行わない時間を設定できるのはK10+と同じ。ステーションへの吸い上げ時に一番大きな音が出るため、これを実施する時間をずらせるのは集合住宅などで重宝する機能となっています。

K10+ Proのパッケージ内容

こちらがSwitchBotロボット掃除機K10+ Proのパッケージ内容。ロボット掃除機本体のほか、本体取り付け用と取り替え用の2つのブラシ、充電・ゴミ吸い上げを行うステーション、マニュアル類が含まれます。

ステーションの中にはあらかじめゴミ吸い上げ用の紙パックがセットされているほか、水拭き用のシート、ロボット掃除機本体用の交換用フィルター、紙パックの予備などが含まれています。

蓋側には水拭き用のパネルが格納されており、水拭き時にはこれに使い捨てのシートを装着してロボット掃除機本体にセットして使います。

K10+ Proの本体外観

こちらがSwitchBotロボット掃除機K10+ Pro本体。基本的に先代モデルのK10+の外観から大きく変わる事なく引き継がれているものの、センサーの開口部が大型化されています。

中央のセンサー開口部は先代モデルでは細長かったものが、大きく縦幅を設けられる形に。

前方に加えて右手側にも大きく縦長の開口部が設けられており、従来のLDSセンサーに加えてPSD距離センサーを採用する事によって壁や家具の検知性能が向上したとしています。

清掃ボタンとステーションへ戻るボタンの2ボタン配置は先代から変わらず。本体上部の円盤はLDSセンサーとなっています。

従来半透明だったダストボックスの上部は銀色に塗られ、モデル名がプリントされています。

背面のダストボックス部分。基本的にステーションに自動で吸い上げるため、着脱可能なものの実際に取り外すのはフィルター交換の時に限られる部分となります。

本体上部のパネルはマグネットで固定されており、外すとパネル下の主電源スイッチとダストボックスにアクセスできます。

ダストボックス部分。取り出し用の取手があるのは先代と変わらないものの、ケース形状が変更されており容量が150ml→200mlにアップしています。

底面はサイドブラシが毛ブラシのまま、メインのブラシがゴム製に。サイドブラシは着脱すれば簡単に絡まった毛を取り除く事ができるため、細かいゴミの掻き出しはサイドブラシで行い、メインのブラシはメンテナンス性重視とする事でお互いの特性を補い合う良い構成になったと言えそうです。

K10+ Proのサイズ感

サイズ感の参考のため、K10+ Proを直径34cmのS1 Plus、13インチのMacBook Airと並べたところ。

K10+ Proは直径24.8cmとS1 Plusと比べて10cmも変わりませんが、実際感じるサイズ感はかなりコンパクトな事が分かります。テーブルや収納の脚の周りをコンパクトに回り込めるため、よりきめ細かな掃除ができるのは魅力です。

K10+ Proの実際の使用感

それでは、実際にSwitchBotロボット掃除機K10+ Proを使った使用感を見ていきます。

ゴムブラシへの変更でよりメンテナンスフリーに

K10+ Pro最大の変更点の一つが、このゴムブラシの採用。従来の毛ブラシからの変更で毛が絡まりにくくなった事で、ブラシを外してメンテナンスを行う頻度を大幅に削減できています。

実際に掃除させてみた印象としては綺麗に掃除できており、ゴムブラシになった事で従来の毛ブラシと比べて清掃性能が落ちたという事も感じられませんでした。吸引力が毛ブラシのK10+からアップした事で性能を落とす事なく、メンテナンス性を向上させる事に成功している言えそうです。

ゴム製という事で新品状態でフローリング上で稼働開始させた初回は新品ゴムのグリップが強い状態だからかゴム特有の引きずり音が少し気になったものの、一周させた頃には全く気にならなくなったので、実運用上は全く問題無さそうです。

実際の運用ではゴムブラシへの変更によるデメリットは特に感じられず、シンプルにメンテナンス性が良くなったと言えるでしょう。

PSD距離センサーで壁との衝突は最小限に

実際にK10+ Proが清掃している様子を観察していると、PSD距離センサー採用の効果は抜群だと感じます。ロボット掃除機は進行方向のバンパーを物理的に壁に当てる事で接触を検知して方向転換する事が多いですが、K10+ Proはバンパーが壁や家具に接触する事は稀。壁際をブラシがちょうど届く範囲で沿って巡回してくれるので、清掃の様子が非常にスマートかつ家具・家にダメージを与えず清掃できているのが見て分かるほど挙動に表れています。

元々静粛性の高い機種ではありますが、接触が最小限になった事でより静かに清掃できるようになり、この機種の美点に磨きが掛かったと感じました。

マッピングや部屋の識別などは従来機に引き続き搭載しているので、指定したエリアを清掃といった指示もより高精度で実施できるようになったのは嬉しいところです。

モップ掛け(水拭き)が使い捨てシートで出来るのは手軽

K10+ Proのモップ掛け機能は、専用のパネルに使い捨てのウェットシートを装着する事で自動で水拭きモードに切り替わり、モップを本体に搭載しない形で対応しています。

メリットとしてはモップの清掃が不要な事で、都度清潔なシートで水拭きを行う事が可能。デメリットとしては水拭き機能が消耗品となるため、無くなった場合は買い足す必要があります。

水拭きパネルは汎用のお掃除シートにも対応していますが、専用品はツメの部分に切り込みが設けられており、よりしっかりと固定する事が可能。専用のお掃除シートは30枚×4個セットがAmazonにて約2,200円で販売されています。

シートの取り替えが煩わしい場合はSwitchBotのロボット掃除機のラインナップとしては洗濯機の給排水から分岐して自動でモップ洗浄を行う事ができるフラッグシップモデル「SwitchBotロボット掃除機S10」も先日発売されていますが、実際導入するとなるとゴミ収集ステーション、水交換ステーションを設置するのはハードルが高い間取りの家も多いかと思います。

このK10+ Proはコンパクトな間取りに対応したコンパクトな筐体でありながら、使い捨てシートによる水拭き機能を実現しているのはより広いユーザーが恩恵を受けられて良い機能だと感じました。

ゴミ袋は使い方によっては1年以上交換不要

K10+ Proのベースステーションは従来機のS1、K10+に続き4Lの容量となっています。

SwitchBotは90日(約3ヶ月)に一度のゴミ捨てとしていますが、実際2022年から従来機のS1 Plusを家のLDK部分でGPS検知で外出時に自動で清掃する設定で日常的に2年近く運用してみたところゴミ収集の紙パックの半分もまだ消費しておらず、床のゴミの少ない家庭やコンパクトな家であれば4Lの容量を使い切るまで90日を大幅に超える期間使えるでしょう。

IFTTT、Siri連携などSwitchBotの良さはそのまま

SwitchBot製品は外部サービスとの連携が強みとなっており、以前紹介したIFTTTを介してスマートフォンのGPSで外出を検知して自動で部屋を清掃する自動化もK10+ Proはそのまま設定が可能。

またSwitchBot公式のアプリもアップデートが続いており、現在まだベータ版機能という位置付けなもののSwitchBotアプリ内でGPS情報を用いてSwitchBotロボット掃除機を稼働させるオートメーションが設定可能。

自動化はスマートホームの醍醐味なので、外出時に自動でエアコンや照明を落として部屋を清掃、といった極力人間が操作しないスマートホームを実現したい方にはSwitchBot製品は相性の良い製品群なのは間違いないでしょう。

Siriとの連携もきめ細かに設定する事ができ、例えばロボット掃除機がどこかに引っかかって掃除が止まってしまった場合に備えて「Hey Siri、ロボットはどこ?」と尋ねて探せるよう設定したりも可能。

スマートホームや音声アシスタントとの連携をカスタマイズしたい方には楽しい製品です。

デフォルト案内ボイスの日本語(女性)は不自然なものの変更は可能

SwitchBotのロボット掃除機で従来機の頃から気になっていたポイントとして音声案内のデフォルト設定である「日本語(女性)」の発音がネイティブな日本語圏のユーザーからすると不自然な点がありましたが、これはK10+ Proでもそのままでした。

こちらは日本語(男性)や英語に設定すると自然になるほか、「ネコちゃん」に設定すると癖はありつつも愛嬌のあるボイスになるので、気になる方は変更してみるのもおすすめです。

音声案内の部分は従来機からの進化が感じられないのが惜しい所ではありますが、近年は音声合成アプリケーションによる自然なイントネーションの音声も生成しやすくなってきている事から改善はしやすい箇所ではあると思うので、この辺りはソフトウェアアップデートに期待したいところです。

ゴミの吸い上げ音は設定の活用がおすすめ

SwitchBot K10+ Pro自体の清掃時に発する音は静粛性が高く、設定で吸引力を調整する事で更に静かに運用する事が可能なものの、ステーションは高い吸引力でロボット掃除機本体からゴミを吸い上げるため通常の掃除機程度の音が避けられません。

SwitchBotアプリから吸い上げを行わない「おやすみ期間」の時間帯も設定できるので気になる時間帯をホワイトリスト登録しておくのがおすすめな他、ステーションの設置は家の中でも音が気になりにくい場所にすると良いでしょう。

小型・静粛・自動のロボット掃除機に磨きが掛かった一台

SwitchBotロボット掃除機K10+ Proは従来モデルのK10+の良い所は引き継ぎつつも、実際に使ってみるとしっかりと実力に磨きが掛かっている事が感じられる製品でした。

ベースステーションへゴミを吸い上げるタイプのロボット掃除機は本体のダストボックスの清掃を都度行う必要が無いためメンテナンスフリーなのが魅力ですが、ブラシに毛が絡まってしまうと結局その清掃が発生してしまうのが惜しい点でした。K10+ Proはゴムブラシを採用する事によってダストボックスだけでなくブラシもメンテナンスフリーになったのは大きな進化ポイント。

先述のとおり筆者の使い方であればステーション側の4Lの容量は数年分の床のゴミを収容できるので、以前紹介したGPSを用いた外出時の自動清掃と組み合わせる事で数年間ほぼメンテナンスフリーで床のホコリを除去し続けられ、自動化に重きを置いている私のスマートホーム構築に取り入れるには非常に秀逸な製品だと感じました。

価格は従来機のK10+が59,800円だったのに対し今回K10+ Proは69,800円の定価となっていますが、掃除の自動化に対してお金を払う製品だけにゴムブラシによるメンテナンス性の向上を考えると価値ある差額なのではないでしょうか。

また7月18日〜7月24日の期間中はSwitchBot公式ストアのセール対象となっており、69,800円→59,830円の割引に加え水吹きモップや交換用の紙パックなど1年分が無料特典として手に入るキャンペーンも実施されています。

場所を取らないコンパクトな筐体で住宅の掃除を自動化したい方にはおすすめの一台なので、気になった方は是非検討してみてください。

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キリカ

ガジェットショットを作った人。本業はUI/UXデザイナー。趣味は理想のデスク環境作り、愛車「エリーゼ」「ジュリエッタ」でのドライブ、車旅を動画・写真に残す事。