カーナビが搭載されていない車両・CarPlay/Android Autoに対応していない車両に後付けで設置し、ワイヤレスCarPlay/ワイヤレスAndroid Auto、各種動画サービスを11.4インチのワイド画面で利用できる「Ottocast ScreenFlow」を評価用にメーカーから頂いたので、使用感を紹介していきます。
目次
Ottocast ScreenFlowとは

Ottocast ScreenFlowは11.4インチの横長ワイドのディスプレイとAndroid 13ベースのシステムを内蔵した車用のディスプレイオーディオ。両面テープあるいはオプションの吸盤でダッシュボードにマウントするオンダッシュ式のため、工具不要で取り付けでき幅広い車種で使えるのが特徴。記事作成時点で公式ストアでの価格は30,799円となっています。
大まかな機能としてはワイヤレス接続によるApple CarPlay/Android Autoの表示、内蔵の各種動画/音楽アプリの利用、およびそれら機能のサイドバイサイドの左右分割表示となっており、CarPlay/Android Autoによるナビゲーション・アプリを用いたマルチメディアの再生の機能をCarPlay/Android Auto非対応の車両でも利用できるようになる製品です。
なお、既にCarPlayに対応したナビやディスプレイオーディオが搭載された車両で動画再生やAndroidアプリの実行機能を追加したい場合は先日レビューした同社のOttocast NanoAIがおすすめです。
パッケージ内容

パッケージに含まれるものは写真のとおり。ScreenFlow本体+スタンド、音声出力用のAUXケーブル、シガーソケット電源ケーブルの3点が入っています。

シガーソケット電源にはUSB type Aの充電ポートが搭載されており、低速ながら同時にスマートフォンの充電が可能。ワイヤレスCarPlay/Android Auto利用時にシガーソケットが埋まった状態でも困らないよう配慮されています。

なおScreenFlowへの給電は5V/3AのUSB type Cとなっており、これに相当するUSB type C電源が別所から取れるのであれば代替は可能。

こちらがScreenFlow本体。11.4インチと大型で、スマートフォンを車載するのと比べてゆとりある表示領域を確保しています。ワイドのため、2つの機能を同時に使用しても余裕がある形状です。

背面側は付属のスタンドが付くようになっており、端子類は画面横からはみ出さない内側の段差部分に集約されています。

上部には電源ボタンが配置されています。

側面の端子はUSB type Cの電源入力、バックカメラの映像入力、microSDスロット、AUX出力が並んでいます。

付属のスタンドは両面テープ式で、一度貼ったら貼り直しは負荷。オプションで吸盤のスクリーンスタンドも用意されているので、貼り直したい方はそちらを追加するのがおすすめです。
ScreenFlowの機能をチェック
続いて、Ottocast ScreenFlowの機能を確認していきます。
Androidベースのシステムが即起動

ScreenFlowはAndroidベースのシステムを搭載していますが、前回の起動から時間が経っていなければ通電時に立ち上がりプロセスを待つ事なく即座に起動します。数日間使わないまま放置するとシステムのブート画面が表示されますが、通常のカーナビの範疇の待ち時間です。
挙動から見るにシャットダウンはせずスリープ状態で待機するような仕組みになっており、短期間の待機であればスマートフォンのスリープ解除と変わらない速さで立ち上がるのが非常に快適。同社のAndroid内蔵のNanoAIやOttoAIbox P3のような多機能モデルは都度Androidの立ち上がりを十数秒待つ必要があったので、この点はScreenFlowの大きな強みとなっています。
CarPlayをワイド画面で実行可能

ホーム画面の「CarPlay」「Android Auto」のアイコンをタップするとそれぞれの受信アプリが表示され、通常のカーナビやディスプレイオーディオ同様ペアリングする事でスマートフォンからワイヤレスでCarPlay・Android Autoを利用する事が可能です。

ワイド画面のため、音楽プレイヤーとGoogleマップのような2つのアプリの組み合わせでも地図の領域を広く確保する事ができます。
内蔵のYouTubeアプリなどをCarPlay/Android Autoと併用可能

CarPlay/Android Auto自体の画面分割に加え、ScreenFlowは内蔵アプリ+CarPlay/Android Autoの2画面分割も可能。CarPlayでは対応していないYouTubeやPrime Videoなどのマルチメディア再生アプリを併用する事ができます。
走行中は運転手が動画プレイヤーを注視する事は法律で禁止されており危険なので用途には注意が必要ですが、停車中の使用や助手席側に設置して同乗者が使うような用途であれば活用の幅がありそうです。
独自のアプリストアでアプリの追加インストールも可能

ScreenFlowに初期状態でインストールされているアプリは以下のとおり。
- CarPlay
- Android Auto
- ファイル
- リバース(映像入力の表示)
- アプリストア
- クリーンアップ
- ヘルプ
- ギャラリー
- 設定
- オーディオ設定(本体/BT/FM/AUX出力切り替え)
- VLC

マルチメディア関連だけでなく、「リバース」アプリで背面の端子にバックカメラの配線を取り付ける事で映像を表示したり、オーディオ設定からカーオーディオに向けてBluetooth/FMトランスミッター/AUXケーブルで音声出力したりといった設定も可能。リバースアプリは車のシフター連動などは出来ないものの、常時表示してデジタルインナーミラー的に活用する事もできそうです。
なお、接続するバックカメラは公式ストアでオプションとして追加が可能です。
「アプリストア」のアプリは小規模ながらOttocastの提供する追加アプリがラインナップされており、WiFi接続する事で以下のアプリを追加インストールする事が可能。
- Disney+
- YouTube
- Prime Video
- Spotify
- TikTok Lite
- U-NEXT
- TVer
なおアプリの追加インストールに関してはこれらのアプリストアで用意されている物に限定されており、ファイラーアプリとmicroSDスロットは搭載されているもののapkファイルで手動インストールするといった機能は無効化されています。
任意のアプリをインストールしたい場合は上位グレードの「Screen AI」が用意されているので、これらのアプリ以外のアプリが必要であればそちらを選ぶのもありでしょう。
ナビゲーションは自由に移動が可能

画面上に表示されているナビゲーションはタップするとホーム・戻る・タスク切り替え・音量・明るさ・画面分割の操作ができる機能になっており、任意の場所にドラッグで移動可能。

設定から初期設定のドット方式からメニュー項目が常時表示されるバー方式に変更も可能。こちらの場合は画面分割の項目は省略されます。
個人的にこれらのナビゲーション操作は画面右/左に固定サイドバーで行いフローティング表示しないオプションが欲しいと思いましたが、残念ながらオフにはできずフローティングのドット・バーどちらかは表示される仕組みになっています。この辺りはソフトウェアのアップデートによる改善を期待したいところです。
ScreenFlow取り付け位置の注意点

ScreenFlowはどんな車種でもシガーソケット電源さえあれば後付けできるのが売りの製品ですが、取り付ける位置には注意が必要。原則この手のアクセサリは運転手の視界を妨げない場所に設置する必要があり、フロントガラスへの取り付けもNGのため、車種によっては注意が必要です。特に着座位置の低いスポーツカーの場合は視界の妨げになりやすいので、購入を検討している場合は実際に取り付けられるスペースがあるかを確認する事がおすすめです。
また、ダッシュボード上にエアバッグが搭載されている車種に関しても展開時にScreenFlow本体が飛んできてしまうリスクがあるため、エアバッグの記載のある箇所は避ける必要があります。
付属のスタンドの場合は本体真下に平面がある必要があるため、もし安全に取り付けられる位置が曲面の場合はオプションの吸盤式スクリーンスタンドと吸盤ベースを併用するのもおすすめです。
配線を整えたい場合は電源を内蔵化するのもおすすめ

ScreenFlowはシガーソケットに付属の電源を取り付けるだけで簡単にセットアップできますが、もう一手間掛けられるのであればシガーソケット電源をインパネ内に配線できるとシガーソケットを埋める事なく、配線も車内に散らからないのでおすすめ。
いくつか方法はありますが、初心者におすすめの方法としてはヒューズボックスからシガーソケット電源を取り出せる電源ソケットの利用。車種によって場所は異なりますが、運転席のハンドル下や助手席のグローブボックス周りなどにある場合はこれを取り付ける事で簡単にシガーソケットを増設でき、インパネの内側に電源を内蔵できるため非常にスマートに収まります。
総評:手軽にCarPlayが使えて起動も高速。車種が合えばおすすめ

Ottocast ScreenFlowは「CarPlay対応ナビの無い車に手軽にワイド画面を増設してCarPlayを使えるデバイス」として見るとシンプルに良い製品で、シンプルにダッシュボードに両面テープで設置&シガーソケットから電源を取るだけの簡単設置で使い始める事ができ、起動も高速で、画面も綺麗、ワイド幅でマルチタスクも快適と、全体的に使い勝手の良いアイテムとして仕上がっています。
安全な取り付け場所が確保できる車で、CarPlayを使いたいという方にはおすすめの製品です。
逆に気になった主なポイントとしては、AndroidベースでありながらAndroidアプリが自由にインストールできない点と、同社のNanoAIやOttoAIbox P3のようなモバイル通信機能が付いていない点の2つ。
前者に関してはGoogle Playに対応した上位モデルのScreen AIが約5,000円の差額で販売されているので、もしAndroidアプリによる活用の幅を求めている方はScreen AIを選択すると後悔が無いでしょう。GoogleのGeminiが音声アシスタントとして使えるため、より車内で使いやすい仕様となっています。
モバイル通信ができない点に関しては本機をCarPlayのみで使う場合はiPhoneがモバイル通信して機能するので全く問題ありませんが、YouTubeやSpotifyなどの別アプリをScreenFlow上で使いたい場合はiPhoneのインターネット共有などを活用する必要があります。
ScreenFlowは公式ストアで記事作成時点で30,799円で販売されており、クーポンコード「AFB10」入力で更に10%引き&1年の延長保証適用が受けられます。CarPlay非対応の車で近代的なワイヤレスCarPlay環境を手軽に追加したいという方は是非検討してみてはいかがでしょうか。




