au版iPhone 6はSIMフリーという情報が流れましたが、もし3社がこういった流れでSIMロック解除可能になった場合、ドコモやSoftBankでSIMロック解除したiPhoneはauでは利用できなくなる可能性があります。詳細は以下から。
仮にauがSIMフリーでiPhone 6/iPhone 6 Plusを発売した場合、SIMフリーという付加価値に対抗するためにドコモ・SoftBankが追従し3社全てがSIMロックフリーの状態もしくはSIMロック解除可能なiPhoneを販売する流れになる可能性が高いと見られます。しかし、仮にそうなった場合でも過去のiPhoneのモデルの挙動を見る限り、SIMロック解除してもauのSIMカードでは利用できないかもしれません。
iPhone 6/iPhone 6 Plusは3社同一モデル
まず、日本で販売されるiPhone 6/iPhone 6 PlusはそれぞれA1586/A1524という型番になっており、3社共通のモデルとなっています。このA1586/A1524は全てのiPhone 6の対応する周波数全てに対応している最もグローバルに使えるモデルとなっており、GSM、WCDMA、FDD-LTEだけでなくau等が採用する3G規格のCDMA2000、中国で使われている3G規格のTD-SCDMA、WiMAX 2+/SoftBank 4Gや中国のLTEなどで使われているTD-LTEなど、幅広く対応しています。日本で販売されるiPhone 6/iPhone 6 Plusはドコモ・au・SoftBank全てこのモデルとされており、スペックシート上の差はありません。
iPhone 4S/5/5c/5sはCDMA2000が殺されるモデルが存在
過去にauからiPhone 4Sが販売された際、auから販売されたモデルはSoftBankと同じA1387という型番のiPhone 4Sでした。公式にはSIMロック解除の方法は提供されませんでしたが、これをIMEI番号をAppleのサーバーに登録してファクトリーアンロックする方法やSIMロック解除アダプタを使って他社のSIMカードを使う方法は存在しました。しかし同じ型番であるのにも関わらず、SIMロック解除したau版のiPhone 4SはSoftBankなどのSIMでWCDMAが利用可能なのに対し、SIMロック解除したSoftBankのiPhone 4SはauのCDMA2000を利用する事はできませんでした。つまり、SoftBank版のiPhone 4SはCDMA2000を殺された状態で出荷されていました。
同じくiPhone 5では日本ではauとSoftBankから同じ型番のA1429のiPhone 5が発売されましたが、au版とSoftBank版は同じ型番であるのにも関わらず、非公式にアンロックしたSoftBank版のiPhone 5ではCDMA2000には接続できませんでした。また、以前香港版のSIMフリーiPhone 5でauのSIMカードを使って検証した際もauのCDMA2000には接続できませんでした。
ドコモが参入し3キャリア体制になったiPhone 5sも、3キャリア同一モデルのA1453が販売されました。これに関してもファクトリーアンロックによるSIMロック解除を提供している業者のページを見るとSIMロック解除したものはauやVerizonなどのCDMA2000キャリアでは利用できないと書かれています。
Apple Store販売のSIMフリーモデルはCDMA2000が利用可能
CDMA2000が殺されているモデルはドコモやSoftBankをはじめとするGSM/WCDMAキャリアの販売するモデルのみで、Apple Storeで販売されているSIMフリーのiPhoneはCDMA2000が利用できます。以前紹介したSIMフリーiPhone 5s/5cで使えるSIMカードまとめで書いたように、auのSIMカードでauのiPhoneと全く同じように通信が可能となっています。
このような過去のiPhoneの挙動の傾向を見る限り、今年iPhone 6で各社がSIMロック解除を提供開始されるか、来年SIMロック解除義務化に伴いiPhoneのSIMロック解除サービスが提供されるとしても、キャリアから販売されるiPhoneはCDMA2000が殺されたままSIMロック解除される可能性が非常に大きいと言えます。auのiPhone 5sもファクトリーアンロックでCDMA2000が使えなくなるようですが、もしauがSIMロック解除サービスを提供する場合は自社のSIMが使えなくなってしまうのは問題があるため、最初からSIMフリーで販売する可能性も考えられます。
そうなると、ドコモ版・SoftBank版はSIMロック解除してもauやauのMVNOである格安SIMのmineo、アメリカのVerizonをはじめとする海外のCDMA2000キャリアが利用できない状態となってしまいます。
憶測ですが、5s以前の機種どおりの仕様でこのようなシナリオになった場合はApple StoreのSIMフリー版とau版が最も価値のあるモデルとなり、同じ型番でもそういった格差が出てくる可能性があります。キャリア版iPhone 6/iPhone 6 PlusのSIMロックに関する正式な仕様はまだ公表されていませんが、このような通信周りの仕様がどのような流れになるか目が離せないところです。