ZenFone 3 Ultra Dual SIMレビュー。6.8インチのサイズ感は良好だがXperia Z Ultraとは方向性の違う機種

国内でも12月9日に発売となったZenFone 3 Ultraのグローバル版「ZenFone 3 Ultra Dual SIM ZU680KL」の実機を海外のSIMフリー端末を販売しているExpansysさんにお借りしていたのでレビューしていきます。


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ZenFone 3 UltraはASUSのZenFoneシリーズの6.8インチスマートフォン・ファブレット。2013年に発売されたXperia Z Ultra以来6インチ台のスマートフォン市場はあまり盛り上がりを見せておらず、依然として「Z Ultraの後継」を求める声が多い中発表されたのがこのZenFone 3 Ultra。ネーミングも完全にXperia Z Ultraを意識したものとなっており、発売前から期待を寄せられていた機種です。

スペック・サイズ

プロセッサはSnapdragon 652、ストレージは海外版が64GB、国内版が32GB、RAM 4GB、2300万画素のカメラ、800万画素のインカメラ、6.8インチFullHD(1920×1080)ディスプレイ、片方のスロットはmicroSDスロット兼用のデュアルSIM(国内版はau VoLTEに対応)、4600mAhのバッテリーといったところで、SIMフリースマートフォン市場のミドルハイあたりのポジションのスペック。AnTuTuベンチマークの点数は7万点台後半と、価格帯の中ではやや低めとなっています。

サイズとしては高さ約186.4mm、幅約93.9mm、奥行き約6.8mm、重さが約233g。Xperia Z Ultraが179x92x6.5mmの212gだったので、比較すると7.4mm長く、1.9mm太く、0.3mm分厚く、重量は21g重くなっています。防水がないとはいえ、6.8インチのディスプレイを搭載しつつも6.4インチディスプレイのXperia Z Ultraにここまで近いサイズ感を実現できたのは技術の進歩といったところでしょうか。

Xperia XA Ultraとの比較

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ソニーの6.0インチ狭額縁端末「Xperia XA Ultra」と比較したところ。流石に6.8インチのスマホとしては規格外に大きいディスプレイを搭載しているだけあり、かなり大きく感じます。Xperia XA Ultraはベゼルを極限まで削った狭額縁な端末であるが故に6.0インチでも5.5インチのiPhone 7 Plusにケースを付けた程度の感覚で扱えましたが、やはり6.8インチにもなると手に余るサイズといったところ。

デザイン・外観

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ZenFone 3 Ultraは名前にZenFone 3と入っているものの、「ZenFone 3」とデザインのテイストは全く違う方向性となっています。本体下部にはGalaxyシリーズのように物理ホームボタンを搭載し、ZenFone 2シリーズで主流だった背面ボリュームキーを採用。外周・背面は金属ボディとなっています。

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本体下部にはタッチキーの戻る・履歴に加え中央の指紋センサーを兼ねたホームボタンを搭載。ZenFoneシリーズとしては珍しい構成で、ZenFone 3 UltraのZenFoneシリーズの中での「外伝」といったポジション感じる配置となっています。

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端子にはZenFone 3同様USB type Cを採用。以前レビューしたQuickCharge 3.0対応充電器を使えば4600mAhの大容量バッテリーを45分で60%まで充電する事が可能とされています。ディスプレイの消費電力が大きくバッテリー容量を確保しなければならない大画面端末だけに、最新の充電規格への対応もしっかりしているのは2016年の6インチ端末として安心できるところ。

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側面のボタンは右側の電源ボタンだけとなっており、隣にはSIMスロット・microSD/SIM兼用スロットがSIMピン方式で設置されています。

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下のSIMスロットがmicroSDスロット兼用となっています。2枚のSIMカードで運用する場合はmicroSDカードが使えないため、

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背面のデザインはZenFoneシリーズの中でも珍しく一枚板のフラットメタルボディ。

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中央にはボリュームキーを搭載。ZenFone 2シリーズを使っていたユーザーであれば馴染みやすいのではないでしょうか。

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イヤホンジャック配置は上部。

ベゼルの太さ

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ディスプレイの外周のベゼルの黒縁を撮影したところ。極端に太いわけではありませんが、やはり近年のXperia XA Ultraなどの狭額縁ファブレットや主流スマートフォンと比べると気になるレベル。手の大きさの限界を攻める6インチ台端末ではいかに大きなディスプレイをいかに小さなボディに収めるかが重要なため、ここはもうひと頑張りしてほしかったところ。

カメラ性能

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ZenFone 3 Ultraで撮影した作例。2300万画素と光学式手ぶれ補正(OIS)搭載を謳ってカメラ性能をアピールしているZenFone 3 Ultraですが、やはり撮れる写真に関しては格安スマホZenFoneシリーズの域を出ていない印象。

実際に使ってみて

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6インチ台のスマートフォンはモデル数が少ないため貴重で、そういった意味ではASUSが6.8インチを実際に投入してくれたのはとてもありがたいところ。実際6.8インチあるとフォントサイズを小さくして多くの情報を表示しても余裕を持って見る事ができ、その点では同じ6インチ台の端末の中で6.4インチのXperia Z Ultraや、6.0インチのXperia XA Ultraと比べても大きな優位点となっています。

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一方で、ZenFone 3で導入された手に馴染むガラスのデザイン、操作しやすい標準的なボタン配置など、ZenFone 3シリーズの良いところが取り入れられていないのが残念なところ。6.8インチで背面中央にボリュームキーを配置した事で片手操作しやすくする狙いがあったのかもしれませんが、本体の両側から片手で挟んでボリュームキーを押すのは全く快適ではなく、個人的にはボリュームキーは素直に側面にしてほしかったところ。6インチ台の端末は電子書籍を読むのに重宝しますが、ページ送りにボリュームキーを使っているユーザーとしては背面にあると片手で握りながら操作するのが難しく、あまり賛同できない点でした。

またZenFoneシリーズとしては珍しい指紋センサー内蔵型の物理ホームボタンですが、こちらは作り慣れていないボタンなのもあるのか押し心地がイマイチで、こちらも操作し辛い点に感じました。ZenFone 3は標準的な画面上のオンスクリーンバーになり指紋センサーは背面に搭載しているので、こちらも同じような作りだと良かったかもしれません。

メディア鑑賞機として評価すると、まずディスプレイの品質は完全に価格相応、あるいはそれ以下といったところ。サイズこそは6.8インチと大型であるものの、映像鑑賞の際の発色などを見ると流石にソニーの技術を集約したXperia Z Ultraの後釜にはなり得ない出来となっており、やはりサイズが活きる電子書籍やWebブラウジングなどに活用すべきなのではないかと思いました。スピーカーに関しても音は本体下部からのステレオサウンドは悪くないものの、何故縦持ちでステレオになる配置にしたのか疑問符が浮かびます。横持ちにすると右側あるいは左側のみになってしまうため、是非ともこのスピーカーを上下に搭載し、横持ちで6.8インチを満喫できるようにしてほしかったところ。

以前レビューしたZenFone 3は従来のZenFoneシリーズの格安スマホ感を上手く払拭した機種だと感じましたが、このZenFone 3 Ultraは未だZenFone 2シリーズの面影を強く残したモデルといった印象を受けました。言うなればZenFone 2 Ultraといったところでしょうか。メディア鑑賞マシンとしての完成度はXperiaシリーズに軍配が上がりつつも、やはりSIMフリー・大画面・デュアルSIM/デュアルスタンバイ可能といったところが本機の強みなのではないでしょうか。情報収集マシンにしたり、昨年紹介したコートのポケットに入る折りたたみ式Bluetoothキーボードを繋いでバッグレスで出先の作業環境を作ったりといった、ツールとしての用途で活きる一台だと感じました。

購入できるショップ・MVNO

ZenFone 3 Ultraは今回レビュー機を提供頂いたExpansysでは62,200円で販売中となっています。
国内のASUS公式ストアでは税込み64,584円。
MVNOではUQ mobileが税抜き49,800円で12月16日よりオンライン販売開始を予定しています。
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キリカ

ガジェットショットを作った人。本業はUI/UXデザイナー。趣味は理想のデスク環境作り、愛車「エリーゼ」「ジュリエッタ」でのドライブ、車旅を動画・写真に残す事。