本日発売のiPhone XRのイエローを購入したので、早速レビューしていきます。
iPhone XRは2018年モデルの新機種のラインナップのうち、最も低価格なモデル。以前のiPhone 5cを彷彿とさせるカラフルなカラーバリエーションが揃っています。上位モデルのiPhone XSや先日レビューした大型モデルのiPhone XS Maxと比べると有機ELディスプレイやデュアルカメラは搭載されていないものの、iPhone 5cのように上位モデルから処理性能を落とすことなく、フラッグシップのXS系と同じA12 Bionicプロセッサを搭載して送り出された機種です。画面サイズはiPhone XSとiPhone XS Maxの中間に位置する6.1インチです。
パッケージ
iPhone XRはiPhone XSと変わらないスタイルの白いパッケージとなっており、iPhone 5s/iPhone 5cの時のようなあからさまな上下モデルの差別化はされていません。
箱を開けると冊子類のスリーブが最初に出てくるところもiPhone XS系と同じ。
その下にはiPhone XR本体が入っています。
付属品はACアダプタ、Lightningケーブル、Lightning端子のEarPodsイヤホンのみ。イヤホンジャックの無いiPhone XRで従来のイヤホンを使うための3.5mmオーディオ変換ケーブルはiPhone XS系同様、今年は付属しません。
外観
こちらがiPhone XR。今回は珍しい「イエロー」のカラバリを選んでみました。フレームはゴールド色で上質です。
下部は中央のLightning端子を挟んで左右対称となっています。iPhone XS Maxは通信性能向上のために左側のみアンテナラインが入ってしまっているので、この点はiPhone XRのほうが良いですが、上下対象ではないのが惜しいところ。
右側面。歴代iPhoneでは見慣れない位置にSIMスロットが搭載されています。
SIMスロットは分厚め。国内モデルはシングルSIM+eSIM仕様となっていますが、香港版や中国版ではこの分厚いSIMスロットに2枚のSIMが入るデュアルSIMモデルである事を考えると、香港版を輸入したい気持ちになります。
上部は従来どおりすっきりしています。iPhone XSは鏡面ステンレスですが、iPhone XRはつや消しです。
左側面。
背面。各所の発表会のレポートでは「高級感がある」と称されていたので期待値は高かったのですが、ゴールド色のフレームに関しては全面的に同意なものの、背面パネルに関しては正直全く高級感を感じません。逆にとてもカジュアルなので、XSシリーズ以上にケース無しで使いたい気持ちにさせる色だと感じました。
カメラ部分はiPhone 8のように外周に傾斜がついておらず、垂直になっています。
iPhone XS Maxのようにランドスケープで利用可能
iPhone 8 PlusのようなPlusシリーズとiPhone XS Maxで画面を横向きにした場合に設定アプリなどで利用できる2カラムのレイアウトですが、iPhone XRも実はこのレイアウトが利用できます。縦横ともに情報量としては6.5インチのiPhone XS Maxの画面の広さと同等のものが6.1インチに縮小された形なので、より多くの情報を表示して使いたいというiPhoneユーザーには非常に嬉しい仕様です。
iPhone XSゆずりの強烈なHDRを搭載したカメラ
iPhone XRのカメラはシングルカメラですが、iPhone XS・iPhone XS Maxで大幅に進化した広角側のカメラと同じスペックのものを搭載しています。以下作例。
肉眼では白飛びしてしまうほどの明暗差の激しい空もがっつりHDRが効きます。
緑の発色も自然。
料理撮影も安定のカメラです。
ただ一点、望遠レンズ以外でiPhone XS・iPhone XS Maxに劣る部分としては、実はディスプレイが一番気になりました。iPhone XRは画面解像度が1792×828のLiquid Retinaディスプレイ。iPhone XSやiPhone XS Maxの高解像度な有機ELディスプレイと比べると写真撮影時のプレビューの解像度が非常に低いので、比較してしまうと少しぼやけたような印象を感じました。細かいピント位置などをその場で拡大せずにサクッと確認できる高解像度なディスプレイと比べると、やはり見劣りしてしまう所です。
ファーストインプレッションは想像以上の完成度
一日使ってみた感想としては想像以上に完成度が高いです。iPhone XSと同じプロセッサを搭載しているだけの事はあり、動きに全く引っかかりやストレスを感じません。廉価モデルとは言いつつも、iPhone XSやiPhone XS Maxと同等以上に長く使える高性能モデルである事を実感します。
ディスプレイは非常に綺麗
カメラでの撮影時は写真の解像感が低い点が気になったLiquid Retinaディスプレイですが、実はそれ以外のシーンでは想像以上の満足度。Amazonプライム・ビデオでアニメを見たりYouTubeで動画を見たりといった通常のFullHDソースの映像鑑賞は十分です。四隅の丸角も綺麗に処理されており、ギザギザ感を全く感じさせない所に驚きました。カメラ撮影、フォトレタッチなどの高解像度を要求する用途でなければ満足できるレベルです。
ゲーム用途にはバッチリ
6.1インチの大画面、消費電力が有機ELより少ない低解像度LCD、発熱の少ない高性能なA12 Bionicチップというスペックシートの組み合わせから想像はしていたのですが、iPhone XRはゲーム用途にバッチリはまります。iPhone XS MaxもA12チップのお陰で発熱を抑えて長時間PUBGなどの3D系ゲームがプレイできるのですが、iPhone XRに関してはそれに加えてディスプレイが低解像度のLCDのため、より一層軽快に長時間動きます。更に6.1インチという大きな物理的サイズもあり、迫力のあるゲーム体験が可能。PUBGにおいてはiPhone Xサイズよりも一回り大画面のため、照準も合わせやすいと感じました。今後数年の新機種のリリースに合わせて更に重いゲームがリリースされたとしても対応できる大きな余力を感じるので、スマホで3D系のリッチなゲームをプレイするユーザーで、今後一番長く使いたいゲーム用スマートフォンを探しているのあればiPhone XRが一番長く戦えると思います。
3D touch非対応
高い完成度の中で個人的にここだけは何とかしてほしかったと思った点としては、3D touchに非対応なところ。自分は普段キーボードのカーソル移動に3D touchの押し込みを使っているのですが、iPhone XRは3D touchを非搭載のため、iPhone SE同様にスペースバーの長押しが代用されています。QWERTYキーボード時にはそこまで気になりませんが、テンキー入力時には右端のスペースキーを長押しして、そこから右に行こうとすると画面端のため移動できず、一旦左に行ってから再度右に行く必要があります。長押しのタイムラグ、左右に反復横跳びするタイムラグが重なるため、3D touch対応のiPhoneと比べるとこの点はストレスを感じました。iPhone 6sからiPhone 8までのモデルにすら搭載されてきた3D touchなので、ここでiPhone XRから省くのは避けてほしかったと感じました。
2020年追記:iPhone XR発売翌年のiPhone 11シリーズからは全てのモデルが3D touch非対応に統一。iOS 13もそれに最適化される形となりました。そのため、上位モデルは3D touch対応、下位モデルは3D touch非対応といった上下関係は無くなり、相対的にiPhone XRのデメリットが一つ消えた格好となっています。
iPhone XS Maxを先に購入していてあまり期待値が高くなかったiPhone XRですが、良い意味で期待を裏切られた機種でした。上位モデルのiPhone XSと比べると下のモデルではあるのですが、iPhone XRはしっかりiPhone Xシリーズの最新モデルであり、最新のiPhoneです。3D touchが無い点は残念でしたが、性能としてはかなり高いポテンシャルの機種。3D touchが無くても困らないのであれば、ほとんどの人におすすめできる完成度の高い機種です。ただ色に関しては、イエローの実物はちょっと好みではありませんでした。前面、側面までは良いのですが、背面がどうも好みに合いませんでした。iPhone XR、購入前に色だけは確認したいですね。色が気に入れば、おすすめです。
2020年追記:後継機種のiPhone 11が発表され、Apple直販のSIMフリーモデルのiPhone XRが大幅に値下げされ、税抜84,800円→64,800円になっています。性能的にも申し分無く、お買い得な機種です。