iPhone→Androidに乗り換えてみて直面した7つの壁とその対策

公開:2025.9.7 / 最終更新日:2025.09.08

先日「iPhoneをやめてGalaxy Z Fold7でAndroidに乗り換える理由」の記事で書いたとおり、Galaxy Z Fold7の購入に伴い長らくメインで使ってきたiPhoneからAndroidに軸足を移してみました。その際、今まで使ってきたAppleのエコシステムの機能をAndroid上で代替するにあたっていくつかの障壁があったので、実際の代替策を含めて紹介していきます。


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Android移行で実際に直面した障壁と対策

1. iMessageは他の連絡手段へ移行

iMessageに関しては主要の連絡手段として普段使っていない、iPhoneがなくともMacで送受信できる、非公式ながらOpenBubblesのようなAndroid上で送受信する方法がいくつか存在する、といった理由であまり心配していませんでしたが、いざiPhoneからメイン番号のSIMをAndroidに移してみると不便もありました。

iMessageの送受信に使っている電話番号のSIMカードをiPhoneから取り除いてしまうと、一定時間後にApple ID上のiMessage受信用の番号としての紐付けが外れてしまい、MacやiPadがあったとしても電話番号宛のiMessageを受信できなくなります。ただ、その状態であってもメールアドレス宛のiMessageは引き続き受信でき、iPhoneのメッセージアプリから電話番号宛に送るメッセージは青ではなく緑の吹き出しのSMSとして送られるので、特段問題は起きないかと思っていました。

しかし盲点だったのが、以前電話番号で参加していたグループチャットが受信できなくなるという問題です。普段は滅多に使うことのない機能ですが、たまたまタイミング的に使っていたので受信できない問題が発生してしまいました。

プライベートの交友関係の連絡はLINEやInstagram、Facebook Messengerといった友達登録ベースのメッセージツールで行っていますが、今年はたまたま注文住宅の計画を工務店と進めていたため、距離感的に電話番号のみでやり取りできるiMessageが重宝していました。更に1対1の連絡ではなく我々も夫婦2人、工務店側も複数の方が関わるフェーズだったため、電話番号&複数人で使えるiMessageグループチャットをたまたま直近で使い始めた所だったのです。

「ショートメッセージでお送りします」と言われたものがiMessageで送られてきていて、特段それを意識する事なく自然とやり取りできてしまっていた事を考えるとAppleのSMSと自社のiMessageの統合した見せ方が上手かったのだなと改めて感心します。

対策としてはiPhoneからAndroid端末にSIMを移してしまうと番号との紐付けが外れてしまう点は対策しようがありませんが、グループチャットをMac・iPad・非公式Androidアプリなどで使い続けたい場合は電話番号ではなくメールアドレスでiMessageグループチャットに入っておく、Androidスタンドアロンで連絡したい場合はグループチャットを諦めて1対1のSMSにする、あるいは別の連絡ツールを検討する他無いでしょう。

2. Apple WatchはPixel Watchで代替

Apple Watchの代わりに「Pixel Watch 3」をiPhoneで使ってみたら意外と実用的だった話」で書いたようにAndroidに乗り換える前からPixel WatchをApple Watchの代わりに使っていたので、スマートウォッチ枠の移行自体は先行して完了していました。Pixel Watchは単独で電子決済できる上にiPhoneの通知を受け取るアプリもあるため、「決済」「通知」の2つのメイン機能がしっかり実用的に使えていました。

逆もできれば良いのですが、Apple WatchをAndroidと組み合わせて使うのはPixel WatchをiPhoneと組み合わせるよりも非実用的なため、今回Androidへの乗り換えにあたってApple Watchは完全にリストラとなりました。

Pixel Watchに移行して地味に困ったのが、Apple Watchでは潤沢に選べたバンドの選択肢がPixel Watch用だと劇的に狭まる事。サードパーティのバンドは選べる製品が少ない上に金具の相性が悪いものが多く、結局は純正レザーバンドに落ち着きました。改めてApple Watchは群を抜いてバンド選びが楽しめるスマートウォッチだった事を感じます。

通知機能に関しては不満は無く、決済に関しても手持ちのクレジットカードだとApple PayではVISAとQUICPayが付いていたカードがVISAのみになりQUICPayが使えなくなった点、スタンドアロンでSuicaのチャージができないため都度スマホを開かなければならない点の2つの小さな問題を除けば問題無く使えており、概ねApple Watchを代替できたのかなと思います。

またこれは主観になりますが、やはりPixel Watchの円形のスタイリングはスマートウォッチの中では群を抜いて綺麗。決済面の使い勝手を差し引いても、お釣りが来る満足度だと感じています。

3. AirTagは続投しつつ徐々にAndroid対応品も導入

Appleのエコシステムで一番スイッチングコストが高く代替が難しいのは紛失防止タグの「AirTag」及びその「探す」ネットワークかもしれません。GoogleもFind Hubのアップデートで後追いしてはいるものの、「世界中の第三者のiPhone/iPad/MacなどのApple製品を介して追跡する」という力技や同ネットワークの互換品の普及率ではまだAppleがリードしている状況です。

私は2021年のAirTag登場以来、AirTagやその探すネットワーク対応のサードパーティ製品を鍵やカバン、財布などに既に多く導入してしまっており、これらを全てAndroidで使えるものに置き換えるのは中々大変です。

そこで、AirTagで使っている機能を2つに切り分けて対策を考えてみました。

  • 万が一の外での紛失時の位置情報の追跡
  • 家の中でのUWBによる場所の特定

1つ目の万が一の紛失時を考えるとやはり現時点ではAppleの探すネットワークが最も信頼できるので、(その場でAndroidから追跡できずとも)ひとまずは装着したままにしておく事で緊急時はiPadやMacから追えるようにしつつ、共有機能を使って家族も追跡可能な状態にする事にしました。

そこから今後のAndroid対応の適した製品の登場に合わせて優先度の高いもの(=緊急でその場で探す必要のあるもの)から順に足していく、あるいは置き換えていきます。例えば財布の紛失防止タグとしては以前レビューしたカード型のAnker Eufy Security SmartTrack CardAndroid対応モデル充電対応モデルが追って発売されているので、Android対応かつ充電にも対応したモデルが発売されたら置き換えても良いかもしれません。

2つ目のUWBによる場所の特定に関してはAirTagでも実際お世話になる事は滅多に無いものの、最もプライオリティの高い家の鍵は外出直前に家の中で見つからないと困りそうなのでAndroid対応のUWB追跡方法を追加しておく事にしました。GoogleのFind Hub対応かつUWB搭載の製品はまだ「moto tag」程度で、それも日本国内で正規流通しているものが見当たらないため、ここはUWBに割り切ってGalaxyシリーズ用のGalaxy Smart Tag2を導入してみました。

こちらは対応製品がGalaxyシリーズのみのため紛失時の位置情報の追跡網に関しては心許ないものの、UWBにより空間内での位置の特定ができ、AirTag同様に置き忘れ通知が利用でき、更にAirTagには無い機能としてSmart Tag2側のボタンを押す事でスマートフォン本体を探す事ができます。

紛失防止タグはまだまだiPhoneが優位なジャンルで、Android対応品は徐々に出揃い始めている段階。ここはMacやiPad、家族のiPhoneなどからも追跡できるAirTagを転ばぬ先の杖として兼ね備えつつ、製品の発売に応じて中長期的に徐々に移行してくのが良いかと思いました。

4. MacとのAirDropはLocalsendで代替

iPhoneではAirDropを使ってiPhoneからMacに写真や動画を転送していましたが、AirDropが使えるのはiPhone・iPad・MacといったApple製品同士のみ。第三者とAirDropを使う機会はあまり無いものの、自分のデバイス同士ではスマートフォンで撮影したデータを素早くMacに転送するといった用途にはAirDropを愛用していたのでこれに代わる手軽な方法は欲しいと思っていました。

当初はAndroidのAirDropに相当するQuick Share(旧ニアバイシェア)のファイル共有を受信できるNearDropという有志のMac用アプリで代替しようと考えていましたが、いざ使ってみるとAndroid→Macの一方通行だったり、都度承認が必要だったりと、AirDropと比べるとやや使い勝手に劣りました。

もっと良いファイル転送方法は無いかと調べてみたところ見つけたのがLocalsendというマルチプラットフォーム対応のファイル転送アプリ。AndroidにもMacにも対応しており、デバイスを登録しておけばメニューバーに常駐して自動承認でファイルをダウンロードフォルダに受信できたりと、自分のデバイス同士であればiPhoneとMacのAirDropに近い体験を再現する事ができました。

5. Appleショートカットは「モードとルーチン」「Tasker」で代替

生活の中でiPhoneをトリガーに様々な操作を自動化するためにAppleショートカットアプリを使ってきたので、常備する端末をAndroidに置き換えるとなるとこれを代替できるAndroid用のツールを見つける必要がありました。

Galaxy Z Fold7にはAppleショートカットに近い「モードとルーチン」という機能がプリインストールされており、端末の様々な操作に応じて自動化を組み込む事が可能。Foldの画面開閉に応じて画面回転ロックを制御したりと端末内で完結するものに関しては痒いところに手が届く機能なので、これだけでもiPhone→Androidの乗り換えでGalaxyシリーズを選ぶ大きな理由の一つになると感じました。

一方で端末内部で完結しない外部の連携に関してはAppleショートカットの拡張性に大きく劣る部分があり、Appleショートカットのように様々なアプリやサービスとの連携を組もうと思うとTaskerのような自動化ツールを起点に他のサービスを介して操作したりといった迂回が必要になってきます。

TaskerはAndroid黎明期からある便利なツールですが高機能な反面操作感が上級者向けで、Appleショートカットのような直感的な操作に慣れていると抵抗を感じるかもしれません。

iPhoneから移植した自動化の例としては「カーナビとのBluetooth接続をトリガーに車両の乗車日時をGoogleスプレッドシートに記録する」というものがあり、これは無事Appleショートカットで行っていたものがTasker+IFTTT Webhookで再現する事ができました。

私は趣味の車とバイクが複数台ありそれぞれ長期間動かさないまま放置してしまうとバッテリーが上がってしまう事から、このGoogleスプレッドシートへの記録に対してGoogle Apps Scriptで毎日最終乗車日時を確認し、一定期間乗っていない車両がある場合に自動で通知を出す仕組みを構築しています。

今回Taskerを起点にAndroidのBluetooth接続をトリガーにできたので、この裏の仕組みはそのまま変更せず流用する事ができました。

6. ワイヤレスAndroid AutoはOttocastを挟んで対応

多くの車両のカーナビ・ディスプレイオーディオはワイヤレスのスマホ連携はワイヤレスCarPlayのみ対応となっており、Android AutoはUSB接続の有線のみというモデルも多い状態。私が使っているディスプレイオーディオのALPINE DA7Zも例に漏れずワイヤレスはApple CarPlayのみ対応となっており、ワイヤレスAndroid Autoには非対応となっています。

対策としては、一旦は先日CarPlay対応車でAndroidアプリが快適に使える「Ottocast NanoAI」レビューの記事で紹介したOttocastのNanoAIに内蔵されているワイヤレスAndroid Autoレシーバーを介する事でワイヤレスでAndroid Autoを使う事にしました。もっともNanoAIはAndroid内蔵でGoogleマップがスタンドアロンで動作するのでAndroid Autoを繋ぐ必要性はそれほど大きくないものの、やはりGalaxy Z Fold7のようなハイエンド端末の方がデバイス自体の性能が高いため、動作に余裕があって安定感があるのはあえてAndroid Autoを使うメリットだと感じています。

なおバイクで愛用しているSpedal CL871はワイヤレスCarPlay・ワイヤレスAndroid Autoともに対応しているため、こちらはシームレスに移行する事ができました。

DA7ZはワイヤレスCarPlay対応機が出始めた頃の初期のモデルのためiPhoneのみワイヤレス接続対応でしたが、現在では選択肢も増えパイオニアからDMH-SZ500のようなワイヤレスCarPlay・ワイヤレスAndroid Auto両対応のモデルがより低価格で発売されており、これからディスプレイオーディオを取り付けるのであればそういったモデルを最初から選ぶのが良さそうです。

Apple CarPlayとAndroid Autoの実際の使用感についてはそれぞれGoogleマップを使っている分には個人的にはAndroid Autoの方が使いやすいと感じており、iPhoneからAndroidに移行した事で移動の際の目的地設定などのナビ操作は快適になったと感じています。

7. SMS転送はPushbulletで対応

iPhoneとMacの組み合わせで地味に便利だったのが、iPhoneで受信したSMSのMacへの自動転送。特にWebサービスへのログイン時の電話番号認証などでiPhoneに手を伸ばさずそのままMacで認証コードを拾えるのはとても助かる機能でした。

そのメインの電話番号のSIMカードをAndroidに移した事でSMSはAndroid上で受信するようになったので、ひとまずはPushbulletを使ってAndroidのSMSをMacから開けるようにして代替しました。

ただPushbulletも老朽化の進むサービスで、Chrome拡張やSafari拡張もメンテナンスがされておらず現行バージョンではインストールする事ができず、Webブラウザ上から使うしかない状態。今後も使う事を考えると後釜となるサービスに置き換えたいところではあります。

Androidへの移行は無事完了

色々と試行錯誤してみましたが、結果として現在はGalaxy Z Fold7のみを持ち歩いてほぼ不便無く使えており、iPhoneからAndroidへの移行は無事完了したと言って良さそうです。またGalaxyはLINEの移行ツールを用意するだけでなくAppleショートカットに近い機能を組み込んでいたりと随所にiPhoneからの移行ユーザーを強く意識したソフトウェア作りが見られる事もあり、実際に移行してみるとGalaxyだからこそiPhoneからの移行がスムーズに行えたという側面も大きかったです。

元々ここ数年は極力身軽にワンデバイス+財布+鍵のミニマルな装備で出歩ける環境作りをしていたのもありますが、Galaxy Z Fold7のスマートフォンと小型ブレットを兼ねるコンセプトをこのライフスタイルに重ね合わせるとこれ一台で完結する事に大きな価値があると感じていたため、iPhoneを併せ持つ必要が無い環境が無事作れたのは本当に良かったです。

長年重たい足枷になっていたApple Watchも実はPixel Watchでもあまり困らない事が今年の早い段階で判明したのもタイミングが良く、iPhoneでPixel Watchを使う変な実験をしていた後にGalaxy Z Fold7のような魅力的な端末が登場したのがとても良かったです。ここでApple Watchに未練がある状態のままであれば移行に踏み切る事は無かったでしょう。

AirTagに関しては残念ながら追跡網の広さは現時点では完全には代替できるものではないものの、思い返せば発売時から使っているAirTagも実際に持ち物を紛失して追跡した事は幸い一度も無く、使ったとしても家の中でUWBを使って探す機能の方が年に一度あるか無いか程度。であれば、Galaxy Smart Tag2のUWBで実際に使う方の機能としては無事代替できたと言って良いかもしれません。

iPhoneからAndroidへの移行は様々なAppleエコシステムの壁があり長年重い腰が上がりませんでしたが、いざ一通りの移行してみると案外問題も無く、何よりFold7にした事によって普段使いの一台の活用の幅が大きく広がったメリットはデメリットを大きく上回るものでした。今回の乗り換えに伴いiPhone 16 Pro Maxは手放していますが思いのほか未練も無く、良い買い物ができたと思っています。

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キリカ

ガジェットショットを作った人。本業はAI業界で働くUI/UXデザイナー。英国育ち。東京、湘南の生活を経て北海道へ移住し、理想の住環境を整えつつ乗り物趣味を満喫するべく試行錯誤中。