Galaxy Z Fold7レビュー。「常備する1台のスマホ」を満たすフォルダブル

公開:2025.12.21 / 最終更新日:2025.12.22

従来機と比べて劇的に薄くなった事から「スマートフォン」としての使いやすさが圧倒的に進化した横折りフォルダブル端末のGalaxy Z Fold7。これであれば普段使いのスマホを置き換えられると考え2025年8月に購入しましたが、そこから12月までの期間使ってみた結論として、ここ数年で買ったガジェットの中でも群を抜いて満足度の高いと言える一台になりました。その理由を順を追って解説していきます。


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全く開かずとも「スマホとして十分に良い」フォルダブル端末

Galaxy Z Fold7は畳んだ状態でスマートフォン、開いた状態でコンパクトタブレット的に使える横開きのフォルダブル端末ですが、この端末の満足度の高さは間違いなく閉じた状態での使い勝手の良さに集約されると感じました。

本機は先代モデルから薄型化&外側のカバーディスプレイの大型化のアップデートとなっている事から「内側のメインディスプレイを全く開かずとも普通に良いスマホ」に仕上がっており、その前提の上でタブレット的に使えるメインディスプレイのメリットがそのまま乗っかっているため、フォルダブルであるが故の我慢が払拭されたフォルダブルであると言えます。

「閉じた状態で満足に使える」というのは実際使ってみると大きなメリットで、内側のメインディスプレイの「傷付けやすい」「保護フィルム張り替えのハードルが高い」といった不安要素を隔離した状態で快適に使う事ができるため、結果として精神衛生上フォルダブルを普段使いするハードルが大きく下がったと感じています。

結果として、無事iPhone 16 Pro Maxを置き換える形で1台にまとめる事ができました。やはり普段使いの1台を置き換えるにあたっては畳めるタブレットというよりも「展開できるスマホ」に近かった点が非常に大きく、薄型化・大画面化が功を奏した製品と言えるでしょう。

この「展開できるスマホ」であることが自分のライフスタイルに上手く噛み合ってくれたため、満足度の高い一台となりました。

「持ち物の少ないライフスタイル」の最適解

購入に至った動機として最も大きかったのが、持ち物の少ないライフスタイルとの合致です。

私は長年Androidには時々手を出しつつも、iPhoneに関してはいわゆる「メインスマホ」として絶対に常備する生活を続けてきました。一方でライフスタイルとしては持ち物を極限まで減らして身軽になりたいミニマリスト的な欲求も強く、面白いガジェットは好きでありつつも2台持ちやタブレットの併用などで荷物は増やしたくないというジレンマを抱えていました。

そこに登場したのが今回のGalaxy Z Fold7で、コンパクトタブレット的に使える従来のFoldシリーズの魅力はそのまま、「スマートフォンとして許せる薄さ」を実現したのが大きなブレイクスルーでした。この端末を常備するメインスマホに置き換えることで、ミニマリスト的な持ち物の少なさでも従来iPhone+iPad miniのような組み合わせの複数のガジェットで対応していたような活用シーンにも対応できそうだと感じました。

この「1台で完結しそう」という魅力は長年iPhoneをメインに据えていた重い腰を上げるには十分で、以前のiPhoneからAndroidに乗り換える理由の記事にまとめたとおり春先にApple WatchがPixel Watchで代替できていたりと他の障壁もタイミング良く取り払われた状況だったため、「iPhoneメイン」から「Foldメイン」に乗り移ることができたのです。

フォルダブル1台持ちという形は今年から始めたバイク趣味とも上手く噛み合うなと思ったのも大きな理由で、操縦性のため可能な限り軽装で乗りたい・車体の積載力は皆無といった状況下でInsta360AKASO 360といった全方位カメラで撮影した車載映像をその場で確認するにはGalaxy Z Fold7の「ポケットに入るサイズ」「開けば小型タブレット級の画面」という特性は完璧な組み合わせだと感じました。

また電車での移動中は電子書籍で読書をしたい事が多いものの、基本手ぶらのためタブレットや専用の電子書籍リーダーは持ち出すハードルが高く、スマートフォンは読みやすさに限界があるという状態だったため、この部分もGalaxy Z Fold7は綺麗に解決してくれそうだと感じました。

「持ち物の少ないライフスタイル」が肌に合っている身としては、普段常備する1台にこれだけ具体的な活躍シーンが想定できるのは購入する動機として十分なものでした。

続いて、私が実際に購入したGalaxy Z Fold7の外観を見ていきます。

パッケージ・外観

こちらがGalaxy Z Fold7のパッケージ。iPhoneが実際の製品のレンダリングを白い箱にプリントしているのに対し、Galaxyは製品イメージを抽象化したグラフィックなのが対照的で面白いところ。

Galaxy Z Fold7は開いた状態で格納されています。今回選んだのはサムスン直販サイトとau版にのみラインナップされている「シルバーシャドウ」というカラーです。

8インチのメインディスプレイ。開いた状態で組み上げられているからか出荷状態では中央の「折り目」は目立たない状態ですが、一度折りたたむと多少折り目がつくようになります。

横折りのフォルタブルのため、画面中央を縦の折り目として折りたたむ事が可能。

開いた状態での厚みがたった4.2mmと超薄型のため、閉じても8.9mmとほぼスマートフォン並みの厚みに収まります。参考までに、iPhone 17 Proの厚みは8.75mm。畳んだ状態でもiPhoneのProモデルに近い厚みに収まっている事がわかります。

下部を見るとUSB type Cとスピーカーを片面ずつに搭載。厚みはほぼUSB type Cポートの厚みとなっており、USBで有線接続ができる限界に近い薄さです。

ヒンジはかなりスリムな仕上がりで、うっすらSAMSUNGのロゴが入っています。

逆側はカメラ側にのみボリューム・指紋センサー内蔵のサイドボタンを搭載。かなり細いですが、ケース無しで使っている分には押しやすさや指紋の認証精度は良好。

本体が薄いだけに、カメラ部分の分厚さは目立ちます。

スペックとしては2億画素の広角、1200万画素の超広角、1000万画素の3倍望遠の3レンズ構成となっており、Samsung Galaxy S25 Ultraと同じ2億画素のメインカメラを搭載した事を売りにしたモデルとなっています。

上部にはカメラと逆側の筐体にSIMスロット、スピーカーを搭載しています。

全体的に造形が綺麗で、薄いだけでなく質感面も高い完成度で仕上がっていると感じます。

以前買ったGalaxy Z Fold2からの5年間の劇的な進化

私が前回購入したFoldシリーズのモデルは2020年に登場したシリーズ2世代目となる「Galaxy Z Fold2 5G」の限定モデルでしたが、当時は初代Galaxy Foldからは大幅に実用的になったもののまだ実験的なモデルという印象が強く、メインのスマートフォンを代替するには遠い製品でした。

手元にまだ残っていたのでFold7と並べてみたところ、高さはそれほど変わっていない事が分かります。

一方で下方から見た印象は5年間の進化で激変しており、当初のFoldシリーズは巻くようにして畳まれるためディスプレイの間に隙間があったのが、Fold5のヒンジ機構の改良でで並行に畳めるようになり、Fold7の薄型化で佇まいに大きく磨きが掛かっています。

Fold2の頃の持ち運びに対する気持ち的な危うさを振り返ると、Fold7見た目が綺麗なだけでなく異物混入のリスクが抑えられているため、精神衛生的にもフォルダブルを普段使いするハードルが大きく下がったのではないかと感じます。

この心理的な安心感は、普段使いの1台として非常に重要な要素です。

ヒンジ側から見ると差は一目瞭然。Fold2は大きなパイプのような見た目ですが、Fold7では完全に別物になっています。

カバーディスプレイは6.23インチの25:9の細長いものから6.5インチの21:9のものに大型化されており、この変化こそがGalaxy Z Fold7の実用性の根底にある進化だと感じます。

Galaxy Z Fold2も当時としては初代Galaxy Foldのオマケのようなサブディスプレイからは大きく進化を感じられたものの、やはり独特の細長いアスペクト比はスマートフォンとして主力に使うには不足を感じるものでした。Galaxy Z Fold7は横幅が増した事で、このカバーディスプレイに対する窮屈さの不満が払拭されています。

畳んだ状態のスリム感や大画面の進化を感じた反面、メインディスプレイを開いた状態の印象は思いのほか大きくは変わらない印象でした。7.6インチから8インチに大型化はされているものの、やはり開いた状態での快適さはFold2の時点でかなり完成されていたとも言えるでしょう。

こうして2台を比べてみると、Fold2で当時感じていた閉じた状態での体験のぎこちなさという最大の不満ポイントがFold7でしっかりと改善された事を改めて感じる事ができました。

Galaxy Z Fold7の2つの画面の使い勝手の良さ

続いて、Galaxy Z Fold7を実際に使ってみてのそれぞれの画面モードでの使い勝手を見ていきます。

1. カバーディスプレイはXperiaライクな21:9で、スマホとして快適

フォルダブルでありながら、本機のお気に入りポイントであるカバーディスプレイは21:9のアスペクト比を持つ6.5インチのサイズ。形状は角ばっており、丸みを帯びたGoogle Pixel 10 Pro Foldとは対照的なデザインとなっています。

この21:9の6.5インチを使っていると妙な親しみやすさを感じるなと思っていたのですが、実はこのサイズは以前レビューしたXperia 1 IIIと同じ構成。Xperiaはその後21:9をやめてしまいましたが、まさかGalaxyのフォルダブルで当時愛着を持っていたあのサイズ感と再会できたのは意外でした。

こうして並べてみると長さ、薄さ、角張り方が非常に似通っています。

偶然にもカメラに関してもXperia 1 IIIで愛用していた超広角・広角・約70mmの望遠と構成が近いのも面白いところ。カメラの使用感に関してはXperiaの方が好みではありましたが、かつて愛用していたスマホとここまで持った感覚が近い上にフォルダブルの要素まで入っているとなれば気に入らないわけがありません。

GalaxyのFoldシリーズは外側のディスプレイは「閉じている間の臨時用」といった位置付けからスタートしましたが、Galaxy Z Fold7は完全にスマートフォンとして不満の無いサイズだと感じました。

カバーディスプレイが大きい事による従来機との明確な使い分けの変化としては、動画視聴を外側のカバーディスプレイで行うようになりました。

内側のメインディスプレイは正方形に近い形状のため動画視聴時には形状が合わず、わざわざ画面を開いても大して大きく再生できないというのはフォルダブル端末の悩みポイントでしたが、Galaxy Z Fold7では動画コンテンツはカバーディスプレイに任せる事ができるようになったので、より2枚のディスプレイの役割分担が効率化されたと感じます。

ヒンジは無段階で途中で自由なアングルで止める事ができるので、スタンド無しに好きな角度で自立させて視聴できるのもメリット。また21:9の動画だとインカメラのパンチホールは見えるものの、21:9のカバーディスプレイを最大限活かして再生でき、動画再生機としても楽しさを感じる一台です。

またゲーム用途でも6.5インチの21:9のカバーディスプレイはスマートフォン向けのゲームを楽しむのに十分で、メインディスプレイ側のアスペクト比が合わずプレイし辛い、タッチパネルを酷使するのが精神衛生上良くないといった問題を我慢無く回避する事ができます。

スマートフォンとして求められる一通りの用途が全てカバーディスプレイで完結するというのはいざ毎日使ってみると本当にストレスフリーで、カバーディスプレイが不便なのでメインディスプレイをやむを得ず使うといったシーンに遭遇しないのは本当に快適。

普通のスマートフォンとしての用途を全てカバーディスプレイが受け持ってくれるのはやはりフォルダブルとしては非常に重要なポイントで、これを言い換えると正方形に近いメインディスプレイに不向きな用途にはメインディスプレイを使わなくて良いという点がFold7の体験の良さに大きく影響していると感じました。

2. メインディスプレイは読書専用機のような体験

カバーディスプレイの使用感の良さからメインディスプレイの影が薄くなってしまっているのかと思いきや実はそうでもなく、メインディスプレイをメインディスプレイの得意な用途にだけ使えるというのは結果としてフォルダブルとして開いて使っている間の体験の良さが底上げされていると感じました。

まずフォルダブルの王道用途である電子書籍ですが、4.2mmという薄い正方形のデバイスである事から容易に想像できるとおり、言うまでもなく快適でした。iPhone 16 Pro Maxと比べて読書への没入感が非常に高く感じられました。

8インチの正方形に分散されると215gの重量は非常に軽快に感じられ、文庫本的なサイズ感はKindle Oasisのような専用の電子書籍リーダーを使っているような感覚に近い読書体験が得られます。

薄いだけでなく四隅の角が丸くなっていないのも良く、この四角形の中に活字が敷き詰められているのは読書デバイスとして心地よさがあります。またページめくりの操作がスマホと比べて半減し、少し前の文章も遡りやすいので、活字を読む端末としては非常に適した形状に感じました。

漫画に関してはアスペクト比が綺麗に噛み合いはしないため活字の電子書籍と比べると最適感は劣るものの、縦持ちにすればスマートフォンよりも大きく単一ページ、横持ちにすれば写真はiPhone 16 Pro Maxのような大型スマートフォンと同程度のサイズを2枚分見開きで読めるため、スマートフォン上で読むよりはかなり快適度は高い印象です。

一般的にAndroidデバイスで重宝するボリュームキーによるページめくりはFold7の場合は薄すぎてあまり積極的に使いたくはならない使用感なものの、この薄さであればタッチパネル操作になっても完全に許せるレベルだと感じました。

読書体験の良さだけでもこのメインディスプレイは大きな価値を感じます。

3. PDFリーダーとしても優秀

電子書籍以外の閲覧体験としては、PDFの資料の確認も非常に快適。

個人的に今年はちょうど工務店と注文住宅の打ち合わせを進めていてPDF形式で図面を確認する機会が多かったのですが、Galaxy Z Fold7の正方形に近い8インチディスプレイはこういったPDF資料との相性が抜群に良く、サイズの大きいPDFでもAdobe純正のAcrobat Readerを使えばSnapdragon 8 Elite for Galaxyの余裕ある性能で快適に閲覧する事ができました。

PDFリーダーの活躍の機会は打ち合わせ以外でも意外と多く、日々の生活でも製品パンフレットなどをPDFでその場で大画面で確認できるのは従来のスマートフォンと比べて明確に快適になった部分です。

4. 大画面はクリエイティブなアプリにも力を発揮

コンテンツの閲覧だけでなくアプリによる作業も快適で、GoogleフォトやLightroomのようなフォトレタッチツールもスマートフォンのサイズと比べるとかなり楽に使う事ができます。

Fold7で復活してしまったインカメラのパンチホールが気になる事はあるものの、どうしても気になった時は90度回転させて持ち替えてしまえば違和感無く迂回できるのもFold7の正方形に近いアスペクト比の良いところ。

このディスプレイ形状はInsta360のAndroidアプリとも相性が良く、360度カメラの全方位を撮影したデータから16:9の横長で切り出したり9:16の縦長で切り出したりといった異なるアスペクト比を触る場合の懐の深さはスマートフォンを凌駕するものがあり、収まり良く編集する事ができます。

KritaのようなAdobe Photoshopライクな画像編集アプリもタブレットレベルまでとはいかないものの、スマートフォンとは比べ物にならない快適性のため、ちょっとした画像加工をPC無しで済ませたいといったシーンでは非常にパワフルに使う事ができます。

ChatGPTやNotionなどのツールもミニタブレット用の画面レイアウトが使えるため、左サイドバーで複数の情報を横断的に移動しながら使うアプリとの相性も抜群。この辺りの情報の扱いやすさというのは縦長1画面のスマートフォンとの明確なアドバンテージに感じます。

5. 「スマホ2台分」の画面は画面分割との相性も抜群

画面分割はスマートフォンを2台並べたようなサイズ感の感覚で複数のアプリを同時に使う事ができるため、ブラウザとメモ帳アプリを並べて情報収集したり、ブラウザから設定アプリにAPN情報をコピー&ペーストしたりと、マルチタスクでアプリの切り替えをせずとも一画面で並行して使えるのは大きなメリット。

Foldシリーズの従来機と感覚が異なるポイントとしては、分割した片面それぞれの表示領域が6.5インチスマホ1台分フルに確保されているため、フルサイズのスマホアプリを2つ並べて使っているに等しい広さな点。従来のメインディスプレイはスマホよりかは大きかったものの2分割してしまうとそれぞれの横幅が不足して狭く感じられましたが、本機はスマホのマルチモニター的な感覚で使えています。

また2アプリを左右で使った上で更に3個目のアプリとしてブラウザをポップアップで出す事もできるため、「並行作業をしつつ気になった点をブラウザで軽く調べる」といったPC的なワークフローも実現できてしまうのは嬉しいポイントでした。

6. 上下のマルチタスクも便利

上下・左右どちらにも分割でき、分割線も自由に調整できるため、マルチタスクの柔軟性は抜群。上下分割が便利だった例の一つとして挙げられるのがYouTube+Googleマップ。

普通のスマートフォンでもYouTube動画を見ながら裏でGoogleマップのルート案内を動かして降りる前に通知を受けるといった事はできますが、Galaxy Z Fold7だとリアルタイムに現在地や残り時間を把握しながらYouTubeブラウジングができ、移動中のエンタメと移動の快適性が両立できました。

スマートフォンだとこういったマルチタスクは難しいのは勿論ですが、逆にタブレットだと移動中に鞄からの出し入れが発生して乗り換えなどで億劫なので、ポケットに入るサイズで速やかに出し入れができ、かつマルチタスクも快適という移動中の端末として従来無かった快適性を感じるデバイスでした。

もちろんSuicaなどの交通系ICも使えるので、移動中のマルチタスク・交通機関の決済も全てポケットに入る一台で完結させる事ができます。

交通機関から降りた到着先でもスマホとして片手で持ちながらGoogleマップの案内を使え、より詳しく周りを調べたい時はメインディスプレイを開けば普通のスマホより圧倒的に快適に地図をブラウジングできるため、移動中のモバイル端末としての心強さは本当に圧倒的だと感じました。

ソフトウェア面も強力なGalaxy Z Fold7の機能

フォルダブル端末は普通のスマートフォンやタブレットと違い複数の画面サイズに応じて異なる使い方ができるため、ソフトウェア面が非常に重要です。Galaxy Z Fold7はこの形態として7世代目になる事、またスマートフォン・タブレット両方のデバイスを作り続けてきたサムスンだからこそフォルダブルならではのソフトウェア面の作り込みが感じられる内容となっています。

1. 第三の「半分開いた状態」で超小型ノートPCライクに使える

ややギミック感はありますが、Galaxy Z Fold7は途中までメインディスプレイを開いた状態で画面上に表示されるショートカットをタップすると、ノートPCのような形態で上はディスプレイ、下はタッチパッドやスクロールホイールなどの操作UIとして使う事ができる「フレックスモードパネル」を表示する事ができます。中央のタッチパッド部分でマウスカーソルを使った操作ができ、右側の仮想ホイールでスクロールもできるため、PCに非常に近い操作感が再現されています。

この機能自体は過去にFold2などの旧機種にもアップデートで配信されていたものではありますが、Galaxy Z Fold7は従来のFoldシリーズと比べて横持ちした際の半画面の「高さ」が増えているため、このモードの実用性がアップしています。

ノートPCと比べるとサイズは非常に小さくなるためメインの作業デバイスにはなりませんが、卓上で作業中に横に添えてちょっとサイトを出したり動画を再生したりといったサブ端末的な用途では操作性が良く、QWERTYキーボードを出せば多少の文章のタイピングも併用できるため、地味ながらニッチなタイミングで重宝して気に入っている機能です。

2. 2枚の画面に応じた使い分けができる設定

Galaxyには「モードとルーチン」という機能がプリインストールされており、Appleのショートカットアプリのオートメーションのように自動化を組み込む事が可能。これにはトリガーとしてGalaxy Z Fold7の画面の状態を指定する事ができ、それぞれの状態で好みの設定に自動変更する事が可能です。

個人的にお気に入りの設定が、スマホとして使うカバーディスプレイでは画面の向きを縦に固定、メインディスプレイを開いた時には固定解除で回転できるようにするというもの。これを設定するだけでスマートフォン・タブレットとしてのそれぞれに最適な使い勝手が画面の開閉だけで設定されるため、ストレスフリーに行き来する事ができています。

3. PCライクに使えるDeXはツール導入で4Kモニターも使えて快適

外部モニターに繋ぐ事でPCライクな操作のデスクトップを表示でき、マウスやキーボードを繋ぐことでPCとして利用できるGalaxyシリーズの定番機能「DeX」ですが、Galaxy Z Fold7のSnapdragon 8 Elite for Galaxy・12GBメモリの性能で動かすとChromeで複数のタブを出して使ってもかなりの実用度で使えてしまいます。

初期状態では4Kモニターには非対応なものの、サムスンのGood Lockというユーティリティを導入し、その中の「MultiStar」という設定を導入する事で4Kモニター出力も解禁可能。柔軟にスケーリングも調整できるので、Chromeを用いたWebアプリやAndroidアプリで完結する範囲であればPCとして申し分無いポテンシャルがあります。

マウスやキーボードを繋がずとも本体のディスプレイをトラックパッド的に使う事ができるため、USB-Cで繋がるモニターのある環境であればサクッとPC的に使えるのは結構便利。最近は空港のラウンジでもモニター備え付けのブースもあったりするので、Galaxy Z Fold7さえ持っていけばPCサイズの画面であれこれブラウジングして確認できて思いのほか使えると感じました。

またマウスとキーボードを追加でBluetooth接続すればWeb上で動作するアプリやAndroidアプリをしっかりPCライクに使う事も可能。例えばUIデザインツールのFigmaはChrome上でも動くので、DeXを使えばGalaxy Z Fold7でFigmaの多くの機能をPCと変わりなく使う事ができました。

完全にPCを代替するものではないとは思うものの、性能的にはかなり多くの領域でPCを代替できるパワーを備えているので、年末年始の帰省などPCを持たずに過ごすシチュエーションでPC的な作業が必要になった時には重宝しそうな機能だと感じました。

カメラはメインスマホとして十分なものの、望遠は弱点

Galaxy Z Fold7はトリプルカメラの構成となっており、2億画素のメインカメラ、1200万画素の超広角カメラ、1000万画素の3倍望遠カメラの3つのカメラを外側に備えています。

1. 1億画素のメインカメラ

2億画素のメインカメラは普段使いのスマホのカメラとして申し分無く、画素数に見合ったディテール感があり、画質面では特に不満を感じる事はありませんでした。

2億画素という高画素を活かした切り抜きの2倍望遠も表現力があり、発色も良く、使い勝手は良好。テーブルフォトに重宝する画角です。

2. 超広角カメラ

超広角も使用頻度は少ないカメラではありますが、使っていて特に不満を感じる部分はありませんでした。

3. 望遠カメラ

一方望遠は2025年のフラッグシップスマートフォンとしては倍率が3倍と控えめで、メインカメラの2億画素からのクロップ望遠の時点で多少の望遠はカバーされているため、3つ目のレンズとして物理的に搭載されている理由が弱いと感じました。

後述しますがGalaxy Z Fold7はトリプルカメラが背面から大きく突き出している点が使い勝手の面で大きなマイナスとなっており、デメリットと天秤に掛けると3つ目のレンズは省いてくれたほうがトータルでの満足度は高かったのではないかと感じます。

これだけ大きく飛び出している事を許容するのであれば、せめて5倍の倍率は欲しかったところです。

4. カメラと大画面を兼ね備えたフォルダブルならではのメリット

通常Androidタブレットは大画面を備えながらもカメラは平凡、Androidスマートフォンは3レンズ以上の充実したカメラシステムを持ちながらも画面サイズは限定的ですが、Galaxy Z Fold7は3レンズのカメラシステムと大画面を両立しているのが大きなメリットだと感じました。

撮影した写真をその場で大画面でディテールまで確認できるのは当然便利ですが、メインディスプレイを開けばカメラを構えながら大画面でプレビューできるのもフォルダブルならではの魅力。特にピント合わせがシビアなマクロ撮影においてはピントの合っている箇所をしっかり確認しながら撮影できるため、スマホと比べると失敗率を抑えながら撮影できる魅力があります。

「ハイエンドスマートフォン並みのカメラ」と「コンパクトタブレット並みのディスプレイ」を1台のデバイスに同時に使えるのは、Galaxy Z Fold7ならではの価値でしょう。

また外側のカバーディスプレイを使えばメインのカメラシステムを使って撮影できるというメリットがあり、高画質な自撮りができるのは勿論、メインカメラの向いている被写体側からメインカメラのプレビューを確認できるというメリットがあり、これも撮影方法によっては重宝します。

Galaxy Z Fold7の不満な要素

続いて、Galaxy Z Fold7で不満に感じた要素を見ていきます。

1. カメラの突起が大きすぎる

Galaxy Z Fold7最大の不満点が、背面の突起の大きさ。本体が非常に薄くできている一方で、このカメラシステムが突き出しているせいで閉じた状態で卓上で安定して使うのは不可能に近くなっています。

近年のスマートフォンはカメラが飛び出しているのが普通のことにはなりつつあるものの、Galaxy Z Fold7に関してはこの突起による操作性の悪さが顕著に感じられました。

この端末に高性能なカメラが搭載されているからこそ実現している体験は認識しつつも、個人的には競合フォルダブルのnubia foldのようにガタつきにくい形にまとめてくれた方が総合的な体験として良かったように思います。

2. 薄すぎて開けづらい

これはGalaxy Z Fold6以前のユーザーに多く見る評判ですが、Galaxy Z Fold7は薄くしすぎたあまり、メインディスプレイを開く難易度が従来機と比べて結構大変になっています。個人的に小さめの不満ではあるものの、フォルダブルの操作感に慣れているユーザーほど違和感を感じやすい部分なのではないかと思いました。

3. Qi2のマグネットが内蔵されていない

Galaxy Z Fold7はQi2の15Wワイヤレス充電には対応していますが、Qi2/MagSafeのマグネットによる位置合わせやアクセサリの固定には非対応。フォルダブルとしては競合機にあたるGoogle Pixel 10 Pro Foldでは対応している部分なので、ここはGalaxy Z Fold7のウィークポイントだと言えます。

Qi2のワイヤレス充電自体には対応しているためサードパーティのMagSafeリングなどを装着すればワイヤレス充電部分含めて使うことができるものの、背面に保護フィルムと重ねてリングを貼ったら浮いてきたり、保護ガラスの上からリングを貼ったら重量が増加して使いづらくなったり、そもそもリングがGalaxy Z Fold7の薄型筐体のシームレスな使用感を阻害したりと、ケース無し運用とMagSafeアクセサリを両立するのは難しいと感じました。

ケースを許容できるのであればPITAKAのMagSafeリング内蔵ケースの評判が良くおすすめではありますが、薄さを最大限味わえるケースレス運用で行きたい場合は諦めるしかないでしょう。

MagSafeケースを許容できるのであればMOFTの七変化マルチスタンドなどのスタンド機能付きアクセサリとの相性は良く、高さ調整+2つの画面+縦横回転で様々なスタイルで画面が使えるため、より一層Galaxy Z Fold7の活用の幅が広がります。

4. 前後の筐体の色味がズレている

これはケース無しで使っているからこそ気になるポイントではありますが、私の「シルバーシャドウ」のGalaxy Z Fold7はカバーディスプレイの付いている表側がシャンパンゴールド寄りのシルバーで、裏側のシルバーと比べて目視できるほどの差がありました。

普段使っていてそれほど気になる部分ではないのですが、一度気付いてしまうと忘れられないので悩ましいところ。気にする方はブルーシャドウやジェットブラックなどの濃い色を選ぶのが良いかもしれません。

ケース無し運用を4ヶ月してみた傷付き具合

8月の購入から4ヶ月間、当初はケースや背面ガラス+MagSafeを検討したものの最終的に215gというせっかくの軽量筐体の重量増加を抑えるため非ガラス製のカバーディスプレイ用保護フィルムのみを装着してケース無しでGalaxy Z Fold7を毎日使ってみたところ、卓上でガタガタする際に集中して接地する2点が擦れている以外はほぼ無傷で、フォルダブルとしては非常に強靭な端末であると感じました。

大きく突き出している3連のカメラは、最下部の望遠カメラのリングのみ卓上に置いた際に当たるため薄く擦れています。

対角線上にある角の部分も同様に斜めに擦れており、これら2点に負荷が集中する構造である事が分かります。ただシルバーシャドウの筐体はフレームが擦れても色味の印象が大きく変わらないため目立たず、普段使っていてほぼ気にならない程度です。

内側のメインディスプレイに関しては持ち歩いている最中は畳まれて守られている事もあり、保護フィルムを貼らずに4ヶ月使っても極めて無傷に近い状態を保つことができました。

フォルダブルと言うと通常の一枚板のスマートフォンと比べて脆弱なイメージがありますが、Galaxy Z Fold7は自分の個体の消耗度合いを見ても、酷使しているユーザーの評判を見ても、普段使いの端末として信頼性の高い堅牢性に仕上がっているように感じました。

万が一に備えてメーカー公式の月額1,280円のSamsung Careに加入はしているものの、現時点ではヒンジに違和感が発生したり、メインディスプレイの折り目が浮いてきたりといった事は発生しておらず安心して使えています。

常備でき、1台で幅広く使える万能端末

冒頭で紹介したとおりGalaxy Z Fold7は「スマホとして十分に良い」フォルダブルで、メインディスプレイを一切使わなくても十分な実用性を備えています。薄さ・軽さ・性能を兼ね備え、VISAタッチやSuicaなどの電子決済もできるため、他のスマートフォンと別持ちする必要がありません。

日頃持ち歩く一台として不満無く使える」というのはフォルダブルとして非常に重要な出発点だと思っており、この前提があるからこそ「追加の端末無しに大画面をどこでも展開できる」という価値が生まれ、今までに無い体験になると感じました。これがGalaxy Z Fold7がブレイクスルーである最大の理由です。

これ1台で困らないよう今回は長年使っていたiPhoneから連絡先として使っているSIMごとGalaxy Z Fold7に移したためiOS→Androidのエコシステムの壁はあったものの、iPhone→Androidに乗り換えてみて直面した7つの壁とその対策で試行錯誤を紹介したように現在はそれほど越境が難しくない環境だと感じました。

GalaxyはAirTagのようにUWBで空間内で物の方向を探せるGalaxy Smart Tag2が使えたり、iOSの使い勝手に近い「モードとルーチン」機能が組み込まれていたりと、他のAndroidと比べた際にもiOSライクに使える条件が揃っているのも有力なポイントでした。

Galaxy Z Fold7を開いた状態と近しい用途の端末であるiPad miniも以前から気に入っていて4年以上SIMを入れてモバイル通信可能な状態を維持してきましたが、やはりiPad miniの欠点としては外出前に「今日は使うぞ」と意気込んで荷物に入れないと使えない事でした。そのため、肝心な時に手元にない事もしばしば。

Galaxy Z Fold7であれば家を出た時点で「今日はタブレットを使おう」と思っていなくとも、想定外に時間ができた時に腰を下ろして読書したり、NotionやXmindで情報整理したり、GeminiやChatGPTなどのAIアシスタントを広々と使ったりと、必要な時にすぐにタブレット的な使い方ができるのが非常に快適に感じました。

言い換えると、「画面サイズによる我慢」が日常全域において激減しました

ここまでの広い画面と高い処理性能を持っているとスタンド・キーボード・マウスなどを一緒に持ち運びたくなる端末ではありますが、結局そういった使い方は定着せず、何も併せ持たない運用に落ち着きました。やはり突き詰めるとGalaxy Z Fold7の真価は「端末単体で戦力になる」という所に尽きると思います。スタンド無しでカバーディスプレイを好きな角度に立てて動画鑑賞ができ、軽くラップトップ的に使いたい場合は半開きで専用モードを活用でき、開けばタブレット的にマルチタスクできるにも関わらず、畳んで1台のスマホとしてポケットに収まるので積極的にスタンドアロンで使いたくなります。

26万5,750円という値札は依然として高額なものの、Fold7は間違いなく従来のフォルダブル製品と比べてロマンより実利にお金を払っている感覚の強い機種になっており、想像していた以上の納得感があります。Galaxy Z Foldシリーズとして、十分に成熟の域に到達したと言えるでしょう。

iPhoneからのスイッチングコストを払ってでも、買った価値は十二分に感じられる製品でした。

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キリカ

ガジェットショットを作った人。本業はAI業界で働くUI/UXデザイナー。英国育ち。東京、湘南の生活を経て北海道へ移住し、理想の住環境を整えつつ乗り物趣味を満喫するべく試行錯誤中。