Xperia Z5の側面のボタン位置の設計について非常に疑問に思う所がありましたが、その理由が判明したので紹介します。
以前Xperia Z5にハンズオンした際に側面のボタンがXperia Z3やXperia Z4と比べると非常に低い位置にあり押しづらい点を指摘しましたが、東京のXperiaアンバサダーイベントに参加したうまずいブログがこの点について開発者に質問し、答えを得られたようです。
指紋センサーを回避すべく下降したボリュームキー
写真はXperia Z5とXperia Z3を比較したところ。電源ボタンとボリュームキーの間に大きなスペースが空いています。Xperia Zシリーズは右手で持った際に電源ボタンあたりにちょうど親指がくるためナチュラルに無理なく操作できるのが魅力的でしたが、今回Xperia Z5ではボリュームキーがかなり遠い位置に移動してしまいました。タッチパネルを操作できる位置でXperia Z5本体を持った場合はボリュームキーを操作するために一度持ち替える必要があり、逆にボリュームキー部分を操作できる位置で持っているとタッチパネルの最下部しか操作できない位置になってしまいます。
うまずいブログがこの点に関してXperiaアンバサダーイベントでソニーの技術者に質問したところ、電源ボタンとボリュームキーの間にスペースを置かなければいけなかったのは指紋センサーと基板の都合によるもので、これからの機種では改善される可能性もある、ということだったようです。
指紋センサーはAndroid 6.0よりOSに機能として統合され今年のNexus 5X/Nexus 6Pにも搭載され、AppleのiPhoneシリーズやサムスンのGalaxyシリーズにも数世代前から搭載されており、Xperiaはこの点に関しては遅れを取っていました。今回Xperia Z5はその問題に対処すべくZ4以前には搭載されていない電源ボタン一体型の指紋センサーを新たに搭載しており、ソニーとしてはボタン位置を犠牲にしてまで指紋センサーの実装面積を確保し、他社に対抗する必要があったのかもしれません。
Xperia Z4までに洗練されてきたユーザビリティ
以前Xperia Z4アンバサダーで技術者の方に電源ボタンとボリュームキーの位置関係の変更について質問したところ、Xperia Z3では近かった2つのボタンの位置を引き離す事により、押し間違いを防止するためXperia Z4では離したという開発秘話を聞く事ができ、ソニーのXperia Zシリーズのユーザビリティへの高い姿勢を感じ取る事ができました。そのため、Xperia Z5に関しても期待値は高かった事は言うまでもないでしょう。
作り手の論理で、ユーザーが不便を強いられてもいいのか?
今までXperia Zシリーズは世代を重ねるごとに着実に持ちやすく進化してきており、Z1、Z2、Z3、Z4と、毎回その持ちやすさの進化に感動してきました。しかし今回Xperia Z5はXperia Z4で問題になった発熱の対策や他社に対抗した指紋認証機能を取り入れるなどの対策に追われた結果、一番大事な使いやすさという点をおろそかにしすぎていると感じる機種と言わざるをえません。「作り手の論理で、ユーザーが不便を強いられてもいいのか?」とは以前自分がとある作品で登場する社長が放ったセリフとして非常に心に響いた言葉です。これを是非ソニーのチームに届けたいと思います。
前作のXperia Z4は薄型化・軽量化に技術者が注力したものの不運にも採用した最新のSnapdragon 810の発熱によるカメラの強制終了が問題になったり、Xperia Z5に関してもフロストガラスの高いデザイン性を取り入れたものの指紋認証を採用した結果基板設計に無理が発生しボタンの位置が犠牲になったりと、2世代連続で他社に対抗するハードウェアを取り入れた結果として技術者の努力が必ずしも使いやすい機種に繋がらない悲劇が続いています。これは技術者というよりも、機種の企画自体にも大きな問題があるのではないかという事が感じ取れるのではないでしょうか。
幸いにも次期Snapdragon 820は同じような悲劇を繰り返さないプロセッサに仕上がっているようで、今回厳しいスケジュールの中Xperia Z5を世に送り出したソニーであればこの経験を活かし、次期モデルまでにはより完成度の高いXperiaを作ってくれると期待しています。
今回は残念ながらXperiaアンバサダーイベントに関しては抽選に漏れてしまったために参加できませんでしたが、個人的に気になっていた点を他の方が質問してきてくれたので大変助かりました。Xperia Z5に関しても追ってレビューしていきたいと思っています。