ファーウェイのカメラ性能に特化した「P」シリーズの最新モデル「P40 Pro 5G」のファーウェイ・ジャパン提供の実機を使う機会を頂いたので、実際に使ってレビューしていきます。
P40 Proはファーウェイの最新フラッグシップスマートフォン。当ブログでも過去にレビューしている最大10倍ズームのP20 Pro、最大50倍ズームのP30 Proに続き、50倍ズームの高い望遠撮影性能を売りにした4眼カメラシステムを搭載。上記公式PVにて紹介されているAIによる被写体以外の人間の映り込みの除去などのアップデートはまだ配信前だったものの、高いポテンシャルを誇るカメラ自体は実際に作例を撮る事ができたので紹介していきます。
P40 Proは現在米国と取引禁止処置下にある影響でGoogleモバイルサービス(GMS)未導入で出荷されている機種で、Google PlayやGmailといったGoogleのサービスが利用不可な機種。そのためGoogle Play経由でインストールする必要のあるアプリが導入できなかったり、Google Playゲームに依存するゲーム、GMSに依存するアプリのプッシュ通知などが利用できないなどといった制約があります。
ファーウェイはGoogle Playに代わるアプリ導入の代替手段として「HUAWEI AppGallery」の拡大に力を入れているものの、現時点ではまだ導入できるアプリは限定的といった状況。
今回お借りしたHUAWEI P40 Proは広報用の海外モデルで、通信も不可。そのため今回は「外観デザイン」「カメラ性能」の2点に焦点を当ててレビューしていきます。
この記事の目次
P40 Proのスペック、P30 Proとの比較
画面サイズ | 6.58インチ |
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画面種別 | 有機EL |
画面解像度 | 1200×2640 |
画面リフレッシュレート | 最大90Hz |
幅 | 72.6mm |
高さ | 158.2mm |
厚さ | 8.95mm |
重さ | 209g |
防水防塵 | IP68 |
プロセッサ | Kirin 990 5G |
OS | EMUI 10.1(Android 10) |
RAM | 8GB |
内蔵ストレージ | 256GB |
外部ストレージ | NMカード最大256GB |
カメラ1 | 5000万画素広角 F1.9 OIS |
カメラ2 | 4000万画素超広角 F1.8 |
カメラ3 | 1200万画素望遠 F3.4 OIS |
カメラ4 | 3D深度測定カメラ |
インカメラ1 | 3200万画素 F2.2 |
インカメラ2 | 深度測定カメラ |
バッテリー容量 | 4200mAh |
有線充電 | HUAWEI SuperCharge(最大40W) |
ワイヤレス充電 | Qi、Wireless HUAWEI SuperCharge(最大27W) |
SIMスロット | nanoSIM×2 |
生体認証 | 顔、画面内指紋認証 |
先代モデルのP30 Proと比較すると幅は73mm→72.6mmに小型化しつつも、上下左右4辺が湾曲した狭額縁の「クアッドカーブオーバーフローディスプレイ」によって6.5インチ→6.58インチと大型化。バッテリーは4100mAh→4200mAhに増量しているものの、重量も192g→209gと相応に重くなっています。RAMは6GB→8GB、内蔵ストレージは128GB→256GB、プロセッサはKirin 980→Kirin 990と、全体的にスペックが底上げされています。
カメラに関してはメインカメラが4000万画素→5000万画素に高画素化されたほか、超広角カメラが2000万画素→4000万画素に、かつF2.2→F1.8と明るいレンズに変更に。5倍望遠カメラもF値は3.4のままなものの、画素数が800万画素→1200万画素とアップしています。また、背景ぼかしエフェクトに使われる深度測定用のToFカメラは引き続き搭載。最大の売りだったカメラも進化を続けています。
P40 Proの外観デザインは4辺湾曲に進化
P40 ProはP30 Proから新たに「クアッドカーブオーバーフローディスプレイ」を採用しており、上下左右の4辺がそれぞれ湾曲したデザインにアップデート。今までに無いタイプの狭額縁端末となっています。
下部は中央のUSB type Cポートを中心に、左にnanoSIM/NMスロット、右にスピーカー。画面下辺の湾曲のお陰でフレームが細く、バランス感のある外観になると感じました。
右側面はファーウェイらしい色付き電源ボタンとボリュームボタンがフレーム部分に配置されています。
左側面はフレームのみでボタン無し。
上部は赤外線リモコンが搭載されており、家電の操作が可能です。
背面は先代のP30 Proの光沢感と真逆の光沢感の無いマットな仕上げで、手触りがよく、指紋が目立ちにくい質感。高級感が格段にアップしたと感じます。
P40 Proの目玉であるカメラは台座が大きく取られており、かなり目立つサイズ感。LEICAロゴが添えられたトリプルカメラ部分には左に鏡越しに横に寝かせた光学5倍の望遠カメラ、中央に1/1.28インチの大型センサーを採用した5000万画素カメラ、右に1/1.54インチセンサー採用の超広角カメラが並んでおり、その下には奥行き取得用のカメラも添えられています。
画面側のカメラはP30 Proでは中央のシングルカメラの切り込みでしたが、P40 Proではかなり目立つ形の画面内の穴に。インカメラに加え被写界深度測定用カメラ、赤外線センサーも搭載されているため性能としては向上しているものの、前モデル比ではかなり気になる大きさになってしまいました。
「クアッドカーブオーバーフローディスプレイ」により上下左右のベゼルがそれぞれ湾曲していますが、四隅の角はそれらの継ぎ目となり少し角が立っており、不思議な形状です。
P40 Proのカメラ作例
続いて、実際にP40 Proのカメラで撮影した写真作例を元にカメラ性能をチェックしていきます。元画像は2480pxに縮小したものを掲載しています。
食事撮影をラーメンでチェック
ラーメンを広角カメラで撮影した一枚。ディテール感があり、ピントの合っているメンマの繊維感が感じられます。背景もナチュラルにボケているのではないでしょうか。
50倍ズームで月を撮影
高倍率ズーム機能のアピールによく使われている「月」を撮るチャンスがあったので、50倍ズームで撮影。P40 Proは被写体に月を認識すると自動で月に最適な設定を適用してくれるので、カメラを起動して月にカメラを向けてシャッターを切るだけで簡単に月の写真を撮ることができます。
夜に手持ちのスマホでここまで月が撮れればSNS映えは間違いなさそうです。
花を撮影して発色やディテール感をチェック
物撮り性能をチェックするために、メインカメラで花を撮影してみました。ビビッドなピンク色出ており、背景のボケも迫力を感じます。
ズーム性能を超広角〜50倍でチェック
3つのカメラを使い分けて色々な画角が撮れるので、実際どういった距離感覚なのか、実際に同じ場所から複数のレンズで撮ったものを用意してみました。
こちらが超広角で撮影したもの。
同じ位置からメインカメラで撮影した1倍のもの。色味が少し赤っぽくなってしまっている点が気になります。
5倍望遠レンズで撮影したもの。スマホでここまで寄ってもディテール感があるのは光学望遠レンズ搭載機ならでは。
更に奥の看板までズーム。ここまで寄れるには寄れますが、油絵感のある写真になってしまいました。やはり綺麗に撮れる実用域は超広角〜10倍あたりまででしょうか。
メインカメラで車を撮影して色味をチェック
もう少し大きな被写体として、車の前面も撮影してみました。質感や光沢感は綺麗に出ているなと思う一方で、先ほどの公園の作例と同じく色味が橙色寄りの暖色系に引っ張られている印象です。被写体は真っ赤なアルファロメオの車両ですが、オレンジ色に近い色に見えます。メインカメラの色味調整は少し不安定に感じました。
まとめ:格段に魅力的になった質感の、高性能カメラ搭載機
今回は外観とカメラにフォーカスを当ててチェックしてみましたが、まず外観に関してはP30 Proと比べてかなり魅力的になっていると感じました。特に背面に関しては他社モデルと比べても非常に高い質感で、マットな仕上げに大幅に方針変更したのは大正解に感じます。手に持った際に高揚感を感じる良いボディです。192g→209gとP30 Proから重くなっているものの、この高級感であれば逆に重量感が高級感を引き立ててくれるので、十分に許容範囲。
一方インカメラの切り込みが目立つようになってしまったのはマイナスポイントで、操作していてかなり気になったところ。四辺を曲げたクアッドカーブオーバーフローディスプレイとの両立、前面の機能強化のために止むを得ない変更点ではあったかと思いますが、Galaxy S20シリーズなどインカメラのパンチホールが極小化された機種も増えてきた中で、この目立つ穴はデメリットとして目立ってしまうと感じてしまいました。
カメラ性能に関しては月がくっきり撮れたりといった望遠の飛び道具は先代モデルに引き続き良くなっていましたが、個人的に超広角カメラが一番気に入りました。色味も3つのカメラの中でもっとも自然に感じ、ディテール感もスマホの超広角カメラとしてはハイレベルな域にあると感じました。一方メインカメラに関しては5000万画素・大型センサーでディテールがよく撮れるカメラであると感じるものの、色味の調整が気になるシーンが多かったのが玉に瑕。AIを活用した写真加工のアップデートも後日配信予定のモデルなので、併せてソフトウェアの成熟度が上がってくると良くなるのではないかと思っています。
Google Play非搭載のSIMフリーのファーウェイのスマホとしてはMate 30 Pro 5Gが今月投入されていますが、P40 Proは記事公開時点では日本での正式販売は未定。とても質感の高い高級感のあるスマホでカメラの性能も目を見張る所がありますが、やはり日本市場でGoogle Play無しは厳しい戦いが容易に予想できます。
現在海外から輸入する形で購入する手段としてはECサイトのEtorenで購入するという方法があり、価格は107,800円。日本キャリア取り扱われているフラッグシップモデルと比較しても標準的な価格帯に収まっています。Etorenでのスマホ輸入の流れは以前Galaxy S20 Ultraを購入した際に記事にしているので参考までに。
前提として10万円以上のGoogle Play非搭載スマホはかなりニッチなニーズだとは思いますが、機種としてはP30 Proから着実に進化している一台。先代のP20 Pro、P30 Proと順当に国内モデルのファーウェイスマホを使ってきて、その正統進化モデルがどうしても欲しい方であれば満足できる出来なのではないでしょうか。
追記:国内でも6月12日より販売開始
当初はグローバルモデルのみだったP40 Pro 5Gですが、6月12日より発売される事が発表されました。価格は税込み119,680円となっています。