電動昇降デスクなどで近年知名度を上げているFlexiSpotから、オフィスチェアにエアロバイクを組み合わせた新製品「Sit2Go FC211」をレビュー用に提供いただいたので紹介していきます。
FlexiSpotは電動昇降デスクを中心に、健康に配慮した仕事環境周りの製品を展開しているブランド。
以前レビューした電動昇降デスク「FlexiSpot E7」はその代表的な製品で、電動モーターを内蔵したデスクで普段の座り作業とスタンディングデスクを兼用する事で作業場に動きを取り入れ、集中力を持続させることができる人気アイテムです。
同じく以前レビューしたFlexiSpotの「エアロバイクV9」という製品は、エアロバイクに作業用の小型昇降デスクを組み合わせたもの。下半身はエアロバイクで運動をしつつ、上半身はノートパソコンなどで仕事ができるというものでした。
それぞれ「ワークスペースを維持したまま立ち作業と座り作業を切り替える」「エアロバイクで運動しながら仕事する」という別の方法でワークスタイルに運動を取り入れた製品ですが、今回の「Sit2Go」はそれらの強みをひとつの環境に統合できる、新しいカテゴリの製品となっています。
Sit2Go FC211の発想はシンプルで、エアロバイクの座席部分をオフィスチェアにするというもの。これによって仕事用のチェアとして使えつつ、脚の運動も同時に実現できるというコンセプトです。
製品の公式動画は以下のとおり。
それでは、まずは箱から紹介していきます。
この記事の目次
パッケージ
こちらが本体の箱。大きさの参考にiPhone SEを前に置いてみましたが、結構大きいので注意。
本体の外観
こちらが組み立てたSit2Go本体。下半分がエアロバイク、上半分がオフィスチェアとなっています。なお後方の斜めに開いた足は収納時は折り畳んでコンパクトにしまう事ができます。
チェア部分は上下・前後に調整が可能
チェア部分は一般的なオフィスチェアと同様、左手側のレバーを上げる事で上下の高さ調整が可能。
最も低い状態。
最も高くしたところ。オフィスチェアの昇降幅と比べるとかなり高くまで設定が可能です。
前後調整は前方のレバーで可能。
運動ステータスは液晶で確認可能
エアロバイク部分にはステータス表示パネルが搭載されており、ここで走った距離などを表示可能。なんとなくで脚を動かすだけでなく、具体的に運動のゴールを設定して達成したい方などには嬉しい機能です。
エアロバイクの負荷はダイアルで調整可能
負荷調整機能も搭載されており、好みに応じて軽くしたり重くしたりといったことが可能です。
実際に使ってみて良かったところ
それでは、実際に使ってみて良かったところと悪かったところを取り上げていきます。
良かったところは主に以下のとおり。
- 音が静かなのでオンライン会議中などでも使える
- 体重をかけると自動で足がロックされるので安全
- 降りればロック解除され、簡単に場所が動かせる
- 背もたれがある事で、エアロバイクV9より長時間使える
- ペダルが改良され、素足でも痛くなく屋内利用に便利
まず、在宅ワークに取り入れて使ってみて思ったのがその静かさ。仕事仲間と通話を繋いでいる状態で漕いでも大丈夫なほど静かに回せるので、気兼ねなく運動を取り入れることができました。
続いて良いなと思ったのが足のロック機構。降りた状態では簡単に転がせるSit2Goですが、人間が乗って体重をかけるとロックされて転がらなくなります。かなり安心感があり、利用中も安定していてストレスも感じませんでした。
またエアロバイクV9からの改良点も分かりやすく、まず背もたれがついた事でより長時間オフィスワークに導入しやすくなりました。これがある事で脚を止めて仕事に向かいたい時の快適性が大幅に高まっています。またペダルの形状も自転車そのもの+ゴムのカバーというものだったのが、本製品になってフラットで突起の少ないペダルに。エアロバイクV9はカバー無しのペダルは素足で使うと痛くて使えませんでしたが、こちらは素足のままでも痛くない快適なものとなっています。
なお、パッケージにはそれでも快適性を求める方のために靴下が同梱されていますが、これは必要あったのかは疑問です。配慮としては気の利いている感じはするものの、プリントがあまりに格好悪いので使う気は起きませんでした。
使ってみて悪かったところ
続いて、使った中でこれはイマイチだなと思ったところは以下のとおり。
- 開封直後はチェア部分の新品臭が強い
- 角度をつけて漕ぐとつま先が前の椅子の足に当たる
- 20kg以上の重さにも関わらず取っ手が無く持ち上げにくい
- 椅子の下を持ってしまうと手がグリスまみれになる
- 長時間作業には座り心地はイマイチ
使ってみてまず気になったのが、チェア部分の強いプラスチック臭。屋内の部屋で使ったところかなり部屋に臭いが充満してしまったので、一旦臭いが抜けるまで待ってから使う必要がありました。
また、あまり椅子をペダルの真上に持ってきて角度をつけて漕いでしまうと足のつま先が下のキャスター部分に当たってしまうのも気になりました。もう少しスペースに余裕を持って設計してほしかったところです。
Sit2Goは20kg以上の重量がある製品ですが、移動のため持ち上げるための取っ手などが無いのも不満点。そして椅子の下のレール周りにうっかり手が当たってしまうと、潤滑剤のグリスだらけになって手が汚れてしまうというのは気になりました。写真では拭いていますが、開封時にはかなり多めにグリスが塗られているので触ってしまわないよう注意が必要です。平面の移動はキャスターで楽々なものの、階段などを挟むと途端に持つ場所が無く難易度が激増するので、できれば持ち運びやすさをもう少し考えてほしかったところです。
電動昇降デスクの環境に馴染みやすいフィットネスアイテム
実際に使ってみた感想としては、思いの外ナチュラルに電動昇降デスク環境に馴染んでくれたというところ。電動昇降デスク側の高さ調整はもちろん、Sit2Go側でも前後上下の微調整ができるため、しっくりくる作業ポジションに調整しやすい製品だというのを強く感じました。ただし昇降デスクの高さを前提にしているため、導入できない通常のデスクを使っている方であれば手動昇降のスタンディングデスクなどを合わせるのも良いかもしれません。
また、体重によるキャスターロックの安定感や稼働時の静かさなどもあり、仕事に取り入れた際のストレスの少なさも以前のデスクバイクV9と比べるとかなり進化しているのを感じました。普通に普段通り仕事しながら、気付けば脚が筋肉痛になるまで運動していたといった具合に、無意識に運動を取り入れられるという点ではかなり良くなっています。
一方チェア部分の快適性はそれほど高くは無く、一日中これに座って仕事は出来なくはないが、したくはない程度の硬さ。これだけで仕事は少し厳しいところがあります。逆に考えれば、あまりくつろぎながらぐうたら仕事する事はできないため、時間のゴールを決めて短時間で集中して仕事をするといった使い方には良いかもしれません。
電動昇降デスクで作業しながら運動するツールとしてはステッパーを導入した事がありますが、立ち仕事+両脚に負荷というのはあまり長く使えないため、習慣として取り入れるのは難しく感じました。しかしSit2Goであれば脚を動かさなければ硬めのオフィスチェアとしてしばらく作業できるため、導入はしやすいと思います。
Sit2GoはAmazonにて39,000円で販売中。それなりのエアロバイク+オフィスチェアそれぞれ単品の金額を合わせたような金額感で割高感はあるものの、電動昇降デスクの環境にエアロバイクの運動を取り入れられるというコンセプトは唯一無二。運動不足を感じている方は検討してみてはいかがでしょうか。