2年間使った2020年のMacBook AirのM1チップ搭載モデルから2022年登場のM2チップ搭載モデルに乗り換えたので、使用感も含めて2つのモデルの違いを比較してみました。
MacBook Airは2020年にM1チップ搭載モデル、2022年にM2チップ搭載モデルが登場。2022年のM2チップ搭載モデル発売後は完全に置き換えになるのではなく、エントリーモデルとしてM1モデルも併売され続けています。
2020年に登場したM1チップ搭載のMacBook AirはAppleがIntel製のCPUの採用を取りやめ、初の自社製Appleシリコンを採用したモデル。自社製チップ搭載機として第一弾の製品でありながら非常に完成度が高く、ほとんどの一般用途であれば不満無く使える事から当サイトでも2023年の時点でも「9割の人におすすめできるMac」としてレビューしています。
2022年登場のM2チップ搭載のMacBook Airは性能の底上げに加え、M1チップのモデルではIntel時代からキャリーオーバーされていた筐体デザインをより現代的にブラッシュアップし、長らくMacBook Airの象徴だったウェッジシェイプのシルエットを2021年以降のMacBook Proと同じく平面的な形状に変更しています。
今回はこのM1チップのMacBook AirからM2チップのMacBook Airに乗り換えたのを機に、実際の使用感を交えて2つの機種を比較していきます。
この記事の目次
スペックシートの比較
まず始めに、スペックシートの比較から。
MacBook Air (M1, 2020) |
MacBook Air (M2, 2022) |
|
---|---|---|
チップ | Apple M1 | Apple M2 |
メモリ | 8GB/16GB | 8GB/16GB/24GB |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB/2TB | 256GB/512GB/1TB/2TB |
画面サイズ | 13.3インチ | 13.6インチ |
画面解像度 | 2,560 x 1,600 | 2,560 x 1,664 |
輝度 | 400ニト | 500ニト |
Webカメラ | 720p | 1080p |
スピーカー | 2スピーカー | 4スピーカー |
バッテリー | 49.9Wh | 52.6Wh |
付属充電器 | 30W | 30W/35W |
充電 | 最大45W | 最大67W |
MagSafe 3 | × | ○ |
重量 | 1.29kg | 1.24kg |
価格 | 134,800円〜 | 164,800円〜 |
2つのモデルの最も分かりやすい違いは搭載するAppleシリコンのチップの違いで、2020年モデルはM1チップ、2022年モデルはより新しいM2チップを搭載しています。これら2つのチップの処理性能の違いは後述するベンチマークの項目でチェックしていきます。
M2チップ搭載モデルは搭載できるメモリの上限が24GBとなっており、従来の8GB・16GBよりも更に高いメモリ容量を要求する用途にも対応しています。
画面の解像度は2,560×1,600から2,560×1,664になり縦方向に64px伸びていますが、M2モデルは画面上部中央にWebカメラの切り込みがあるため伸びた分全てが使えるわけではないので注意。なおWebカメラ自体の画質は上がっており、720pだったものが1080pとより高精細になっています。
スピーカーはM1モデルではステレオスピーカーだったものが、M2モデルでは4スピーカーのサウンドシステムを採用しドルビーアトモスの音楽や空間オーディオのビデオ再生に対応。
画面輝度は400ニトから500ニトに向上しており、自然光の強い場所での使い勝手が改善しています。
バッテリー駆動時間はどちらも最大18時間としていますが、容量自体は49.9Whから52.6Whに向上しています。
USB PDの充電に関しては標準で付属する充電器は30Wのままとなっていますが、本体側の対応する入力は最大45Wだったものが最大67Wまで強化されており、サードパーティ製品などでより速く充電する事が可能。
充電ケーブルはM1モデルでは2つのUSB type Cポートいずれかを使って行う必要があったのが、M2モデルでは充電専用のマグネット式のMagSafe 3端子に付属のMagSafe 3ケーブルを接続する事でUSBポートを埋める事なく充電が可能。充電しながらUSBアクセサリを複数使いたい場合の使い勝手が向上しています。
重量はM1モデルの1.29kgからM2モデルでは1.24kgと微減しており、可搬性はやや改善しています。
ベンチマークの比較(CPU・グラフィック・ストレージ)
続いて、実機で計測したベンチマークスコアを比較していきます。
MacBook Air (M1, 2020) |
MacBook Air (M2, 2022) |
|
---|---|---|
CPU | シングルコア:1071 マルチコア:4242 |
シングルコア:1943 マルチコア:8930 |
グラフィック | OpenCL:12293 Metal:13305 |
OpenCL:23477 Metal:26211 |
ストレージ | リード:2878MB/s ライト:2280MB/s |
リード:1527MB/s ライト:1576MB/s |
上記はCPU・グラフィックの処理性能をGeekBench 5、ストレージの読み書き速度をBlackmagic Disk Speed Testで計測したスコア。計測した機種はM1・M2いずれも標準構成のベースモデルで、メモリは8GB、ストレージは256GBのもの。手元の実機での計測値を見る限りM1チップ→M2チップで処理性能は全体的に約2倍ほどに向上しており、ポテンシャルは大きく向上しています。
ストレージに関してはM1チップ搭載モデルが高速なスコアを計測していますが、これはM2モデルからストレージのチップ構成が変更になった事に起因していると見られます。いずれも容量256GBのベースモデルですが、256GBの内訳としてM1モデルのストレージは128GB×2の2チップ構成、M2モデルのストレージは256GB×1の1チップ構成のため、速度が半減しているようです。
ただ実際の普段使いの使用感でこの点がネックに感じる事は無く、むしろストレージの速度低下があれどM2チップ自体の処理性能の向上のためか総合的な体感としてはM2モデルの方が軽快に感じます。
外観・筐体の比較
続いて、MacBook Air本体の外観の違いを見ていきます。
2020年に登場したM1のMacBook AirはAppleシリコン搭載かつファンレスという非常に大きなアップデートではあったものの、筐体のデザインは長らく使い古されてきた旧来のウェッジシェイプのMacBook Airのまま。全く新しい製品でありながら、Intel時代のモデルとほぼ見分けのつかない外観でした。
2022年のMacBook AirはM2チップの搭載と同時に、この外観を刷新。2021年モデルのMacBook Pro(14インチ・16インチ)と同様にフラットな板状の形になり、画面がインカメラ周辺を回り込む形で上方向に拡張されています。
画面は縦方向に微増して作業効率アップ
画面上部のカメラ周りは分かりやすい違いで、M2モデルではカメラの左右の部分のスペースにも画面領域が入り込んでいます。このカメラ左右部分の拡大により、画面の解像度は2,560×1,600から2,560×1,664になり縦方向に64px伸びています。
筐体はフラットになり薄型化
M1モデルの厚みは0.41~1.61 cmとなっていますが、M2モデルは1.13 cm。端を絞ったM1以前のMacBook Airは視覚的には薄く見える形状ですが、実際に並べてみるとM2モデルはスペックシートどおり全体で均一に薄くなっていることが分かります。感覚としてはM2モデルは数字以上に薄く感じました。
サイズ感は奥行きが微増、小さいカバンの場合は注意
奥行きはM1モデルの21.24cmからM2モデルでは21.5cmに伸びており、若干大型化しています。そのため、旧モデルでギリギリ入るようなコンパクトなカバンの場合は形状によっては少しタイトになってしまう場合もありました。
奥行きの分キーボードの最上段・指紋センサーが拡大
キーボードの最大の変更点は奥行きが増えた事によるファンクションキーの大型化で、最も影響のある部分がTouch IDの指紋センサー。M1モデルでは非常に小さいキーに収まっていたものがM2モデルでは大型化されており、単純に押しやすく使い心地が良くなっています。またキーボード自体の打鍵感は大きくは変わらないものの、M1モデルの方が硬めに感じました。
M2モデルはMagSafe 3の充電端子が追加
M2モデルのMacBook AirはMagSafe 3を採用し、本体のUSB type Cポートを使わず専用のケーブルで充電できるようになっています。
これの最も分かりやすいメリットとしては2つしか無いUSB type Cポートを周辺機器用に残しながら電源を供給する事ができる点ですが、実際使ってみると普段使いの使い心地としてもMagSafe 3は快適。毎日着脱して使うのであればUSBよりMagSafeの方が取り付けも取り外しも楽なので、自宅に充電ケーブルを据え置きしておくのであればMagSafe 3はかなり重宝します。
性能は型落ちのM1でも十分強力、それ以外の進化も欲しいならM2
今回比較したM1チップのMacBook Air・M2チップのMacBook Airはどちらも実際に買って毎日使ってみた上で非常に気に入っている機種で、どちらも自信を持っておすすめできる内容となっています。
M1チップ搭載のMacBook Airは2020年の登場時に従来のIntelモデルと比べて圧倒的に快適に動作する事で世間を驚かせたエポックメイキングな機種で、登場から数年が経過した2023年現在でもなおしっかり現役で使える性能を備えている事から、型落ちながらコストパフォーマンスは抜群。
2年間使った長期レビューでも書いたとおり、今でも9割の人におすすめできるMacと言える機種です。特に限られた予算で4年間しっかり使える機種を求めている大学生などにはおすすめと言えます。
M2チップ搭載のMacBook AirはM1で据え置きだった外観部分を大きく変えるアップデートで、細かい使い勝手を改善した新しい筐体デザインを採用。実際に使ってみると使い心地の総合的な満足度が非常に高く、M1→M2の性能向上も加味すると3万円の差額にも納得できる内容となっています。
縦方向に微増した作業領域やMagSafe搭載など日々の効率を少しずつ上げてくれる改善点が含まれており、毎日ヘビーに使いたい方であればM2モデルは満足度の高い買い物になるでしょう。
Apple直販の価格はM1モデルが134,800円〜、M2モデルが164,800円〜となっていますが、M1モデルに関しては多数流通している中古品が10万円前後で手に入るためコスパ重視であればおすすめ。M2モデルに関しては発売から半年以上が経過してApple直販の整備品の在庫が潤沢になってきているタイミングで、長く使える新品同等の物が1万円以上割安に入手できておすすめとなっています。