iPhone 15・iPhone 15 Proは、従来採用していたLightning端子を廃止し、USB-Cを採用しました。これによって便利になるポイント、できること等のアイデアをまとめていきます。
この記事の目次
iPhone 15・iPhone 15 ProシリーズはLightningからUSB-Cに
iPhoneは2012年のiPhone 5以降、独自形状のLightning端子を採用してきました。2023年発売のiPhone 15からはこれが変更され、より汎用性の高いUSB-C(USB type C)を採用。周辺機器の選択肢の幅が広がるほか、Androidなどの全く異なるエコシステム向けに販売されているアクセサリも活用可能になります。
iPhone 15とiPhone 15 Proでは端子形状がいずれも同じUSB-Cとなっていますが、接続規格はiPhone 15がUSB 2.0、iPhone 15 ProがUSB 3.0。充電面では差は無いものの、データ転送においてはiPhone 15は従来どおり480Mb/s、iPhone 15 Proは10Gb/sに対応しています。
今回の記事では、いざiPhoneがLightning端子からUSB-C端子になると便利になる具体的なポイントをリストアップして紹介していきます。
iPhoneがUSB-Cになって便利になるポイント
1. USB充電器をMac・iPad・Android・PCと共用できる
iPhoneがUSB-Cになる最も分かりやすいメリットとして、USB充電器・ケーブルがiPhone以外のUSB-C搭載デバイスとも共用できるようになります。現行のiPad Air・Pro・mini、MacBook Air・Proなどの他のUSB-C搭載のApple製品はもちろん、Androidスマートフォン・タブレット、WindowsノートPC、Nintendo Switchなど幅広い製品と同じ充電環境を使う事ができるようになります。
また、モバイルバッテリーも最近はUSB-C充電が主流な事から、iPhone本体とモバイルバッテリーの充電器を統一できるのも便利。ケーブルの数を減らす事ができます。
2. 市販のUSB-Cカードリーダー・カメラと直結できる
Lightning端子搭載のiPhoneではカメラの写真を取り込むにはAppleからLightningのSDカードカメラリーダーを買ってSDカードから取り込むか、USBカメラアダプタを買ってUSBケーブルでカメラのUSBポートに接続する必要がありました。
他の製品では使いまわせないiPhone専用のLightningのアクセサリを用意する必要があり、Apple純正品は比較的高額、逆に廉価なサードパーティ製品を選ぶとLightningのMFi認証の関係でiOSのアップデートで使えなくなってしまうケースがあるなどの問題がありました。
USB-Cを搭載する事でiPhoneでも汎用のカードリーダーを使ったり、USB-Cケーブル一本でカメラに直結して写真を取り込んだりといった事が可能になり、専用のLightning機器が不要に。また、MFi認証周りの接続トラブルも無くなるため安価な社外品が使えなくなるリスクも低減されます。
個人的に愛用しているAnker USB-C 2-in-1 カードリーダーといった超小型のカードリーダーも利用できるようになるため、Apple純正品よりもコンパクトな荷物でカメラ機材を使う事ができるようになるのも嬉しいところです。
3. 外付けストレージに直接カメラの写真・動画を記録
AppleのiPhone 15 Proの発表の中のデモンストレーションにあったように、Proモデルはカメラ利用時に直接外付けストレージに写真・動画を撮影して記録する事ができるようになっています。そのため従来microSDなどの外部ストレージも無く内蔵ストレージへの保存しかできなかったiPhoneでも直接外部ストレージへの保存が可能になり、撮影後にPCへの取り込みを行う作業が不要になることでワークフローが大幅に短縮できます。
4. ARグラスにUSB-C一本で直結して動画鑑賞
iPhone 15シリーズはiPhone 15、iPhone 15 ProどちらもUSB-C接続によるDisplayPort Alt(DP ALT)モードの映像出力に対応し、最大4K・60Hz・HDRの映像が出力できます。
直接USB接続やDisplayPort接続のモニターにケーブル1本で接続して大画面で動画を再生できるほか、以前レビューしたXREAL AirのようなARグラスへの接続・給電もUSB-C一本で完結するように。従来この手のデバイスをiPhoneで使うためにはLightning接続のバッテリー内蔵型のアダプタが必要だったため、利用ハードルが大幅に下がる事になります。
実際にUSB-C搭載のiPad miniでXREAL Airを使うとかなりお手軽で、iPhoneで使うとアダプタを充電して準備しておく必要があってハードルが上がってしまう点が不満な要素だったので、直結できるようになってアダプタの事前充電も不要になるのはユーザーとしてかなり嬉しいポイント。
XREAL Airはサングラス感覚で持ち運べるお手軽サイズなので、これに加えて特別な変換機器無しにUSB-Cケーブルだけでどこでもシアター環境が整うのはUSB-C搭載iPhoneの大きなメリット。特に新幹線や飛行機など長時間座りっぱなしの移動時間には重宝するので、iPhone 15と組み合わせると強力なアイテムです。
5. AirPodsをiPhoneから直接充電
Appleの発表会で取り上げられていたメリットの一つに、iPhone 15からAirPodsを直接充電できるというものもありました。従来AirPodsもiPhoneも充電端子がLightning端子でiPhone→AirPodsの繋ぎ方はできませんでしたが、iPhone 15・AirPods ProともにUSB-C端子搭載モデルになった事でイヤホンの充電を使い切ってしまった場合にiPhoneから継ぎ足す事が可能になりました。
6. Apple WatchをiPhoneから充電
Apple WatchはUSB-C端子に接続して充電できるサードパーティの充電器が充実しているため、iPhoneがUSB-Cを搭載することで従来MacやiPadでしか出来なかったUSBポート直結のApple Watch充電がiPhoneにも解禁される形となります。
現在はAnker Portable Magnetic Chargerなど有名メーカーから出ている物も多いので、iPhone 15シリーズ+Apple Watchの組み合わせで使う方は押さえておいても良い充電方法ではないかと思います。
7. USB-C→有線LANでWiFiルーター等のトラブルシューティング
これは実際iPad miniやAndroidスマートフォンで私が重宝していると感じる使い方なのですが、USB-C端子があるとUSB-CのLAN(RJ45)のイーサネットアダプタを接続し、WiFiルーターの調子が悪い時に有線LANで接続して管理画面を開いてトラブルシューティングをする事ができます。
小型デバイスであればPCと比べて手軽にWiFiルーターの設置場所に持って行けるほか、LightningでなくUSB-CであればPCやタブレットでも使いまわせるため、稀にあるトラブルシューティングのためだけに備えてiPhone専用に買うのではなく、他の用途でも使っているUSB-Cの有線LANアダプタをそのまま使う事ができるのが嬉しいところ。Lightning接続の有線LANアダプタは製品としては存在するものの、使用シーンがニッチで中々都合良く手元にあるわけでもないので、いざ急に必要となった時にUSB-Cが繋がるのは心強い対応力です。
このように、既にある汎用の機材を使ったiPhone単体でのトラブルシューティング能力が上がるのもUSB-C採用の強みです。
8. モバイルモニターにUSB-C一本で映像出力
近年のUSB-Cに対応したモバイルモニターはUSB-Cのケーブル一本で接続できる物が多いですが、iPhoneがUSB-Cを採用する事でUSB-C一本で大画面に4K HDRの映像出力が可能になります。
従来は一部USB-C – Lightningケーブル一本で接続可能な特殊機能を備えた製品なども存在したものの、基本的にiPhoneからは変換アダプタを介してHDMIで出力してモニター側に入力するといった方法が必要でした。
持ち運び用のモバイルモニターという性質上、一緒に持ち運ぶ必要のある物の点数が少なくなるのは使い勝手に直結します。Lightning端子のiPhoneと比べると、USB-C搭載のiPhoneはこういった映像出力周りの周辺機器との組み合わせの使い勝手は大きく改善されます。
9. 外部モニターからUSB-CでiPhoneを充電しながら映像出力
USB-Cを採用した事で可能になったのが、一本のケーブルでのモニターへの映像出力と同時のiPhone本体の充電。従来Lightning端子のiPhoneでもアダプタを使う事でUSB給電と映像出力の2系統をLightning端子に繋ぐ事はできましたが、これが全てUSB-Cのケーブル一本に収まるのはUSB-C採用機ならではのメリット。
映像出力時に画面をPCライクに使えるGalaxyのDeXのような機能はまだiPhoneには搭載されていないため、現時点ではモニターを接続しても用途は動画鑑賞などに限られてくるものの、USB一本繋いで映画を一本見ている間にiPhoneが充電されるのは便利に使えそうです。
USB-C機器の普及の恩恵をようやくiPhoneで受けられるように
満を持してiPhone 15でLightningからUSB-CになったiPhoneですが、iPhoneが長年かけてLightningの世界からUSB-Cに辿り着くまでにMac、iPad、Android、WindowsなどのデバイスでUSB-Cのエコシステムが普及・成熟しており、その恩恵をようやくiPhoneで享受できるようになったのは感慨深いところがあります。
USB-C採用はAppleのLightningアクセサリ群の枠から外れて汎用性は間違いなくアップするアップデートなので、iPhone 15を買う方は是非これを期に活用の幅を広げてみてはいかがでしょうか。
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