「Xiaomi Mi Note 10」レビュー。1億800万画素・5眼カメラで多彩な写真が撮れる、カメラ特化の4万円台スマホ

目玉として1億800万画素の5眼カメラを搭載したスマートフォン「Xiaomi Mi Note 10」を海外ECサイトBanggoodさんから提供頂いたので、しばらく使ってみました。


Xiaomi(シャオミ)のMi Note 10は、12月にAmazon経由で日本でも販売開始されたスマートフォン。

Xiaomiはスマートフォン市場では世界シェア5位を誇るメーカーで、Mi Note 10は満を持して日本市場に投入された機種といった格好です。メインカメラに採用したサムスンの1億800万画素(108MP)のセンサーを含む5眼カメラを搭載しつつも、処理性能はフラッグシップではなくミドルハイ程度のSnapdragon 730Gに抑える事で5万円台の価格を実現したコストパフォーマンスモデルとなっています。


それではまず、5つのカメラを中心としたスペックから見ていきます。

スペック

Mi Note 10のスペックは以下のとおり。

プロセッサー Snapdragon 730G
内蔵ストレージ 128GB
RAM 6GB
カメラ1 1億800万画素、0.8 μm、1/1.33インチ、ƒ/1.69 絞り、FOV 82°、4-in-1 スーパーピクセル、光学式手ぶれ補正
カメラ2 1200万画素のポートレートカメラ 1.4μm、ƒ/2.0、2倍光学ズーム
カメラ3 2000万画素、117° 超広角カメラ 1.12 μm、1/3インチセンサー、ƒ/2.2 絞り、AF、5Pレンズ
カメラ4 500万画素の望遠カメラ ƒ/2.0、光学式手ぶれ補正 10倍ハイブリッドズーム、50倍デジタルズーム、ƒ/2.0、光学式手ぶれ補正
カメラ5 200万画素のマクロカメラ 1.75 μm ピクセルサイズ、AF
インカメラ 3200万画素のセルフィーカメラ 1.6 μm、4-in-1 スーパーピクセル、ƒ/2.0 絞り
画面サイズ 6.47インチ
画面種別 3D曲面有機EL
画面解像度 2340×1080
HDR 対応
生体認証 画面内指紋センサー
バッテリー 5,260mAh
急速充電 最大30W(同梱充電器)
SIMスロット nanoSIM×2
microSDスロット 非搭載
サイズ 高さ:157.8 mm 幅:74.2 mm 厚さ:9.67 mm
重量 208g
イヤホンジャック 搭載
赤外線リモコン 搭載
スピーカー モノラル
カラー ミッドナイトブラック、グレイシャーホワイト、オーロラグリーン

今回はミッドナイトブラック、グレイシャーホワイト、オーロラグリーンのうち、白系カラーの「グレイシャーホワイト」をレビュー用個体として提供頂いています。

最大の特徴であるカメラは、

  • 1億800万画素の広角カメラ
  • 1200万画素の2倍望遠カメラ
  • 2000万画素の超広角カメラ
  • 500万画素の5倍望遠カメラ(10倍ハイブリッドズーム)
  • 200万画素のマクロカメラ

と5つのカメラをアウトカメラに備えており、超高画素、2倍望遠ポートレート、超広角、5倍〜50倍望遠、接写の5つのシチュエーションで使い分けられるのが魅力となっています。

本体の性能としてはSnapdragon 730Gプロセッサを採用し、ミドルレンジのスマートフォンの中でも高めの処理性能。RAMも6GBと一部フラッグシップモデルと同等の容量で、内蔵ストレージも128GBと大容量。ただしmicroSDによる容量増設はできないため注意が必要です。

バッテリー容量は5,260mAhと大容量のものを搭載している事もあり、重さは200g超えの重量級。

画面内指紋認証を搭載し、最近では珍しくなってきたイヤホンジャックもしっかり搭載するなど、使い勝手の良い構成。

特徴的なのは、赤外線リモコンが先端部に搭載されている点。家電操作用のプリセットが用意されており、外部のスマートリモコン連携不要で単体でテレビやエアコンなどの家電を操作する事ができます。

Mi Note 10とMi Note 10 Proの違い

Mi Note 10には「Mi Note 10 Pro」という上位モデルが用意されていますが、スペックの違いは基本的にRAMとストレージの容量のみ。比較表は以下のとおり。

Mi Note 10 Mi Note 10 Pro
ストレージ 128GB 256GB
RAM 6GB 8GB

Proになると108MPカメラのレンズが7枚→8枚に増えますが、その点を除けばどちらもプロセッサなどの他の部分は全く同一のため、ストレージ容量・RAMに余裕が欲しい場合は「Pro」にするといった選び方になってきます。特にストレージに関してはmicroSDで増設する事ができないため、1億800万画素のカメラを多用するのであればProを選ぶと安全。Mi Note 10 Proの国内実売価格は約6.5万円ほどとなっているため、RAM+2GB、ストレージ+128GBに差額の約1万円を払うか、といったところが線引きのラインとなっています。

ベンチマーク


AnTuTuベンチマークで処理性能の数値を計測したところ。26万点以上をスコアしています。Snapdragon 710を搭載し定価4万円弱の高いコストパフォーマンスを誇るOPPO Reno Aは18万点台だったので、価格で上回る分ワンランク上のSnapdragon 730Gを搭載したMi Note 10の処理性能が数字に出ている形となっています。

パッケージ

箱を開けるとMi Note 10本体が最初に姿を現します。

充電器、USB type Cケーブル、SIMピンのほか、純正TPUケースまで付属しています。

本体デザイン

こちらがMi Note 10本体。左右の湾曲ガラスが特徴となっています。

下部はUSB type Cのほか、イヤホンジャックあり。

右はSIMスロット、電源、ボリュームキー。

上部には家電操作用の赤外線リモコンを搭載。

左側面はボタンなど無くすっきりとしています。

グレイシャーホワイトの背面は青みがかったマジョーラ系カラーで、以前レビューしたファーウェイのP30 Proにそっくりのカラー。文字の方向もデジカメのように天地を横持ちした際の方向に合わせてあるのもP30 Proそっくりで、かなりファーウェイを意識したデザインに見えます。


5眼カメラは上の108MP広角、2倍望遠、5倍望遠が本体から大きく突き出しており、超広角は僅かな突起、マクロカメラは完全にフラットと、段々になっています。そのため5眼カメラのスマホでありながらも、見た目としては一見最近主流の3眼カメラのスマホに見えるのが面白いところ。

画面の電源をつけたところ。四辺のバランスの取れた狭額縁となっています。

上部にはインカメラのノッチがあります。

左右側面の湾曲は大きめ。画面自体は綺麗なのですが、湾曲が大きいと画面への湾曲部分に入る光の映り込みが気になると思いました。

四隅の丸角部分のベゼルも均一さが保たれており、造形的な完成度の高さが感じられる筐体です。

付属のTPUクリアケース

Mi Note 10に付属するケースはTPUの肉厚のケース。保護性能が重視されている事が伺える厚さです、

本体に装着したところ。TPUクリアケースにはありがちですが、やや黄色味を感じます。

背面。クリアケースなため、背面の質感もある程度楽しめるのも嬉しいところ。

ケース無しでは目立つカメラの段差ですが、純正TPUケースで克服できます。

さりげなく「Designed by Xiaomi」の文字がプリントされています。

高品質な社外品のTPUケース同様微細な突起加工が内側に施されていて密着による滲みが予防されていたりと、単にケースが付属しているだけではなく「しっかり使える実用的なケースが付属している」のは嬉しいポイント。

5つのカメラの性能を作例でチェック

Mi Note 10の目玉である5眼カメラ。実際に撮影した作例を見ながら、性能をチェックしていきます。

1億800万画素カメラ

まずは1億800万画素(108MP)のメインカメラで撮影した風景写真。元画像は解像度が12,032×9,024ピクセルと非常に巨大なため掲載用に縮小しているので、切り出して細部をチェックしていきます。

上の写真の中央部分をそのまま切り出したところ。画素数が高いだけあり、解像感があります。

1920×1080に切り出した原寸台のもの(HiDPI/Retina環境でない方はクリックで原寸確認できます)。流石にここまで拡大すると色収差や滲みが見られますが、スマートフォンのカメラでこのレベルのディテールがあるのは驚き。

Mi Note 10本体でも108MPプレビューは可能なので、細部を本体上で確認する事も勿論可能。大きく撮って細部まで保存したい風景写真に関しては中々他のスマホでは得られない解像感が得られます。当然ではあるものの108MPカメラはスマホの画面で全体を見る分には明らかなオーバースペックなので、拡大やトリミングに対して耐性があるといった所で力を発揮する部分なのではないかと思います。

超広角カメラ

同じ箇所で超広角カメラで撮影したもの。ディテール感もあり、色味も綺麗に出ているのではないでしょうか。超広角の得意とする風景を広く撮影するという用途では十分に合格点。

夜景モード

メインカメラの夜景モードもチェック。後ろのビルのロゴも白飛びせず写っており、拡大するとスマホの夜景モード特有の塗り絵感はあるものの、全体としては使える夜景モードになっているのではないでしょうか。

マクロカメラ

先日紹介したApple Watch用のバンドを200万画素のマクロカメラで撮影したもの。200万画素と控えめな画素数ですが、2〜10cmという超接写であってもピントが合わせられるのが強み。料理などのマクロよりも更に近寄った被写体で、使えるシーンはかなり限定的ではあるものの、通常ではピントが合わせられない超短距離での撮影では選択肢として選べるカメラです。

2倍、5倍望遠カメラ

Mi Note 10は望遠カメラを物理的に2つも搭載しており、2倍と5倍がそれぞれ使えます。上記は参考までに1倍のメインカメラの広角ショット。同じ場所で、2倍と5倍も撮影していきます。

こちらが2倍。手前の木の色味が広角とは違った印象になっており、緑がやや色褪せています。空の色は近い色味です。

こちらは5倍。2倍では色褪せ気味だった木の色が広角メインカメラに近い色味に感じられます。このような光量のある昼間の被写体であれば奥の看板の文字もしっかり写っており、スマホの望遠レンズとしては十分実用性がありそうです。

料理撮影

Mi Note 10のカメラは被写体を料理と認識すると、専用のモードがオンになり、色鮮やかにチューニングされます。この機能はカメラアプリ上の「AIカメラ」ボタンを押す事でオフにできますが、108MPのメインカメラで撮影したこの被写体ではうまく機能したように見えます。コントラストがはっきりしており、食欲をそそる色味になっているのではないでしょうか。

一方、解像感に関しては108MPカメラの接写は苦手な様子。中央のピントが合っている部分は綺麗ですが、周辺に行くにつれてボケというより滲みといった印象を受ける写りに個人的には感じました。

こちらは2倍デジタルズームしたもの。超高画素カメラだけに、ある意味一眼レフの高画素機のようなクロップ耐性を活かした使い方もできるのは面白いところ。解像感も十分にあり、広角カメラの中央部分を使っているため全画角を使った作例よりもくっきり感があります。

「1億800万画素」が目を引きがちではありますが、使ってみた感覚としては画素数自体よりも5つの特性の異なるレンズを搭載し、メインに高画素+大型センサーを備えている事で、かなり幅広い表現ができる点がMi Note 10のカメラの強みだと感じました。

5260mAhの大容量バッテリーはルーターとして活躍

Mi Note 10は5260mAhという、iPhone XS約2台分の大容量バッテリーを搭載。さらにデュアルSIM搭載のため、ノートPCを出先で使いたい場合などに長時間テザリングしてWiFiルーター的な使い方をするのにも活躍します。最近は月間300GBまで短期間通信制限などもなくソフトバンク回線を使い放題なNomad SIMなどの大容量ソフトバンクSIMも出てきているので、これをデュアルSIMの片方に挿入してテザリング、もう片方を音声通話に使っている番号のSIMにするといった使い方でも重宝するモデルです。

PUBGなど3Dのバトロワ系ゲームをプレイ

Mi Note 10はゲームPUBG MOBILEなどの3Dグラフィック性能が必要なバトルロワイヤル系ゲームも実際にプレイして使用感を確認してみました。こういったゲームでの有利な設定はフレーム数を最大、クオリティを最低に落として可能な限り滑らかに動かす構成にするのが定石なので、その方向性で複数のタイトルを設定して遊んでみました。

PUBG MOBILE

PUBG MOBILEの設定はクオリティを最も低い「スムーズ」にし、フレーム設定を「ウルトラ」にしてみました。この状態でプレイした体感としては、大きなカクつきは無いものの、フルの滑らかなフレーム数は出しきれていないといった感じ。元々PUBG MOBILEは重たいゲームではあるのですが、最も軽い設定でも有利にプレイできるほどの滑らかさにはならなかったのは残念なところ。

Cyber Hunter

続いてCyber Hunterもプレイ。こちらも3Dグラフィックをかなり重たくできるゲームですが、PUBGとの違いは「解像度」の項目を調整できる点。PUBG同様フレームレートを最大、画質を最低に設定した状態で解像度「高」でプレイしたところPUBGと似たようなコマ落ち感がありましたが、「ノーマル」に落としたところ合格点レベルに滑らかに動いてくれました。

イヤホンジャックはあるものの、モノラルスピーカー

ゲーマーにとって欠かせない要素なのが音声。ヘッドホンでプレイする場合は、Mi Note 10は3.5mmイヤホンジャックが搭載されているため、アダプタ無しで優先の無遅延ヘッドホンを使う事ができるのは高評価。バトロワ系ゲームでは敵の足音の方向を音で知る事が重要なため、特にUSB type Cのアダプタを噛ませなくともいつでもヘッドホンをつけてプレイできるのは便利です。

一方で残念だったのがスピーカー。上部についているのは受話用で、横持ちした際には本体底面のスピーカーをモノラルで使えるにとどまります。家でライトにゲームをプレイしたい際、スピーカーからステレオの音声を出せないのはマイナスポイント。ハイエンド寄りのミドルレンジであるMi Note 10だけに、モノラルスピーカーなのは残念です。

多彩なカメラの表現力をコスパ良くまとめた一台

Mi Note 10は他社のフラッグシップモデルをすら超える多彩な5眼の撮影バリエーションをカバーしつつも、スペックは中の上程度に抑え、お買い得な価格帯に落とし込むという、今までの国内市場では珍しいポジションを狙ってきた機種。最近のスマートフォンの処理性能のインフレは3D系のゲームのグラフィックにこそは恩恵はあるものの、普段使いでの使用感では大きな差は感じられなくなってきているのも事実なので、この落とし所は上手いなと思いました。

XiaomiのMi Note 10のメリットをまとめると、

  • 1億800万画素で超高解像度や、マクロの超接写など、多彩な写真が撮影可能
  • 画面内指紋センサーやイヤホンジャックなど、使い勝手の良いハードウェア構成
  • 5260mAhの大容量バッテリーはテザリングも余裕

といったところ。

逆にデメリットをまとめると以下のとおり。

  • ガチなゲームには不足するスペック
  • microSDスロット無し(108MPを多用したい方はProがおすすめ)
  • モノラルスピーカー
  • 208gと重い

今回レビューしたのは通常の「Mi Note 10」で内蔵容量が128GBしかありませんが、108MPモードで撮影した写真は1枚あたり25MB程度の大容量になるため、ここにmicroSDを増設できないのは心許ない所。上位モデルの「Mi Note 10 Pro」を選べばRAMとストレージが増量され、256GBと比較的大容量になって安心。108MPで高解像度の写真を積極的に保存していきたい方はPro、それ以外は通常モデルで良いのではないかと思います。

また、端末を持ったフィーリングとして日本市場にあるスマホと、中国市場で成長してきたスマホの重きの置き方の違いも感じました。大容量バッテリーを搭載しているだけに持った感じとして日本で買えるスマホと比べると質量感があり、また本体のバイブレータの震えた際の感覚も国内で買えるモデルと比べるとかなりチープ。本体デザインのハイエンド感からの落差が大きいので、この辺りの感覚的な所は違和感を感じるところがあるかもしれません。

その辺りが許容できれば、これほどリーズナブルな価格で幅広い写真撮影ができるスマホはそうそう無く、かなり楽しい一台に仕上がっています。


記事公開時点での日本のAmazonでのMi Note 10の価格は約5.6万円のところ、4万円台後半で購入でき、お買い得。充電器が海外仕様というデメリットはあるものの、技適マークも表示され日本で問題なく利用できる海外モデルとなっています。購入は以下のリンクから。

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キリカ

ガジェットショットを作った人。本業はUI/UXデザイナー。趣味は理想のデスク環境作り、愛車「エリーゼ」「ジュリエッタ」でのドライブ、車旅を動画・写真に残す事。