Galaxy S7 edgeを5月の発売日から3ヶ月以上使ってみたので改めて感想を。
Galaxy S7 edgeは2016年5月19日に発売されたサムスンのフラッグシップスマートフォン。ドコモからはSC-02H、auからはSCV33として発売されています。スペックとしてはフラッグシップとして申し分無いもので、5.5インチのQuad HD(2560×1440)Super AMOLEDディスプレイを搭載し、プロセッサはSnapdragon 820、RAMは4GB、ストレージは32GB、バッテリー容量に至っては圧倒の3600mAhとなっており、競合のXperia X Performanceと比べると1000mAh近く差をつけています。
また、昨年のGalaxy S6・Galaxy S6 edgeと比べると新たに防水に対応し、撤廃されていたmicroSDスロットも復活。弱点が綺麗に潰され、死角の無いスペックに仕上がっています。今回100日間使ってきた中で、感じた点をいくつかの方面から取り上げていきます。
デザインの完成度は歴代最高レベル
Galaxy S7 edgeはデザイン的には非常に完成度がアップしており、昨年レビューしたGalaxy S6 edgeで感じたような作りの粗さは大幅に改善されています。個人的にガワのデザイン面では歴代のGalaxyと比較して非常に気に入っており、買った直後から高い満足感を感じています。外観の詳細なレビューは以下の記事から。
Galaxy S6 edgeには無かった背面のカーブが今回から導入されており、かなり「サイズの割に」持ちやすい機種に仕上がっています。5.5インチ級端末の中では間違いなく最も持ちやすい部類。
iPhone 6s Plusと比較すると同じ5.5インチでもかなりコンパクトに収まっており、片手で持ちやすくなっています。
FeliCaの位置は使い勝手がイマイチ
Galaxy S7 edgeはしっかりとおサイフケータイを搭載しているものの、かざすFeliCaアンテナの位置が本体中央の端寄り。本体の中央から横にずれているためかざす際にコツが必要で、更に本体が大きく位置が低い場所にあるためかざした際にリーダーの残高画面が見えなかったりと、おサイフケータイとしての使い勝手はイマイチな印象。更に後述する相性問題も抱えているため、おサイフケータイとしては非常に低い評価です。
FeliCaの相性問題で使えない店舗も
Galaxy S7 edgeのおサイフケータイは特定のリーダーにおいて利用できない相性問題の不具合を抱えており、NJJ-169-Jという型番のリーダーでは利用できないとの旨のプレスリリースがJR東日本メカトロニクス株式会社から6月14日に発表されています。この現象に関しては調査中となっていますが、ドコモ・auからの発表も無く、2ヶ月以上経った今も不具合は解消されていません。無印良品やビックカメラなどにも導入されているリーダーなので、おサイフケータイを中心に生活している方には非常に困るのではないでしょうか。
エッジディスプレイは保護フィルムが全滅
Galaxy S7 edgeはディスプレイの両端が湾曲しているデュアルエッジスクリーンの特性上、画面保護用の保護フィルムや保護ガラスといったアクセサリとの相性が悪く、エッジ部分が浮いてしまうなどの問題のある製品が多いために画面保護ソリューションに迷う機種。そのため自分は保護フィルム等は使わず、レビューしたSDSバイオニックコートなどのコーティング剤で傷を軽減しつつキャリアの保証サービスを使って万が一に備える、といった運用に落ち着きました。
片手操作に向けたカスタマイズが威力を発揮
Galaxy S7 edgeはエッジディスプレイで「サイズの割に」持ちやすくなっているものの、やはり5.5インチは大型。右手で持った場合、左側の物理キーに指が届きづらいといった時があります。そういった場合はAll in one Gesturesなどのカスタマイズ系アプリが活躍します。詳細は以下の記事にて。
Snapdragon 820のポテンシャルは発揮できず
Galaxy S7 edgeは今年のフラッグシップ機の多くに搭載されているSnapdragon 820プロセッサを搭載していますが、実際使ってみるとその動作は快適とは言えないもの。ポケモンGOなどのゲームをプレイしているとあからさまにスクロールがカクカクで、Xperia X PerformanceやHTC 10などのSnapdragon 820の競合機と比べると目に見えるレベルで動きが悪く、Snapdragon 820への最適化が不完全と言わざるをえません。数字上は文句無しの性能になっているはずなものの、やはり使ってみないと分からない引っ掛かりを感じる機種です。ゲームをプレイする場合は同社が出しているゲームチューナーなどのユーティリティを併用すると良いかもしれません。
防水の過信は禁物
Galaxy S7 edgeはIPX5/8 IP6Xの防水防塵仕様。更にmicroUSB端子はキャップレス防水。雨の日などでも安心して使えるのは嬉しいところですが、残念ながら自分は一度浸水でドコモのケータイ補償サービスのお世話になりました。過信は禁物ですが、水がかかっても拭き取れば大丈夫、程度に考えておくのが良さそうです。
便利なワイヤレス急速充電
Galaxy S7 edgeはQiの置くだけ充電に対応し、更に2.5時間で満充電が可能なワイヤレス急速充電にも対応。置くだけ充電の手軽さと充電スピードを両立しており、非常に実用性が高く便利な機能です。低価格で手に入るサードパーティ製のワイヤレス急速充電器のレビューは以下の記事から。ただ、ワイヤレス急速充電中はかなり熱を持つのが難点。触れない程ではないですが、気になる程度には加熱されてしまうのが玉に瑕。
カメラは大幅に進化
今年のGalaxyのカメラは非常に上出来。かなり完成度が上がっています。実際の作例は以下のレビューに掲載していますが、ソーシャルに共有する事に特化したチューニングといった印象。ご飯はメリハリのある食欲をそそる絵になり、暗所にも強く、全体的に明るく撮るカメラとなっています。一方で精細感や風景の綺麗さで言えば以前カメラレビューをしたXperia X Performanceに負ける印象で、カメラとしてのチューニングの方向性の違いを感じる二台となっています。
発熱でカメラが使えない事もしばしば
5月から使っていますが、本格的な夏に入る前から発熱によりカメラが使えない事も多くありました。放熱が苦手な機種なのか、実際に写真を撮ろうと思ったらカメラが使えない、といった事に困らされた事もあります。この点は夏を越して秋冬の涼しい季節になれば解消される点かもしれませんが、春夏のシーズンには悩まされる点でした。
指紋認証は従来機と比べて快適なものの他社には劣る速度
Galaxy S7 edgeの指紋認証はかなり従来機と比べると改善しているものの、他社に遅れを取って導入したにも関わらず二世代目で圧倒的に速度を上げてきた競合機のXperia X Performanceと比べるとやはり鈍い印象。指を置いただけでロック解除してくれるHTC 10と比べても押す手間と認証の遅さが気になりました。また指紋認証時にロック解除される際にアニメーションが無く画面がそのまま切り替わってしまう点も他社と比べて作りが雑に見え、全体的に指紋認証の快適さは今期の競合機と比べると最低レベルと感じました。
総評:荒削りのパワー系暴れ馬マシン
100日間以上使ってきたGalaxy S7 edgeですが、やはり使えば使うほどに細かい所が気になってくる一台でした。スペックシート的にはフラッグシップの性能で大画面・大容量バッテリーを搭載し、防水防塵、おサイフ、フルセグチューナー、指紋認証、置くだけ充電などの機能を網羅していて申し分無いのですが、それぞれの細かいところを見ていくと気になる点が随所に見られました。
目玉のエッジスクリーンは「大きい割には」持ちやすいもののやはり体勢を変えて横になりながら使ったり、横持ちして写真を撮ったりといったシーンではエッジ部分に手が当たって誤動作を起こしてしまい、横持ちでカメラを起動している際にエッジに手があたっているためシャッターが切れずシャッターチャンスを逃してしまうなどのハプニングもあり、やはり「縦持ちの正常位」に特化した形状であると言わざるをえません。普段の縦持ちで手に収まるサイズに5.5インチディスプレイを収める事ができるトレードオフに、それ以外の持ち方ではやや不便を強いられるギミックです。その点を考えると、やはり以前海外版をレビューした一回りコンパクトでエッジスクリーンの無い通常のGalaxy S7も国内で販売してほしかったところ。
おサイフケータイの詰めの甘さも大変気になるところで、百歩譲って使いづらい位置にFeliCaが搭載されている点は慣れで適応すればいいとして、特定のリーダーとの相性問題でおサイフケータイ自体が使えないといった問題で困ることもしばしばあり、使える店舗と使えない店舗があるおサイフケータイは正直論外だと感じました。お金を扱っている決済手段の機能に不具合があるのは致命的なので、アップデートなどで早急に対策してほしいところ。
一方でカメラ性能はソーシャルに使うカメラとしては申し分無い出来で、日々のご飯などの写真を積極的にSNSに共有したい人にはうってつけ。3600mAhの大容量バッテリーのお陰で電池残量に悩まされる事も少なく、ベゼルの狭い5.5インチディスプレイは迫力があり、動画鑑賞機としても非常に満足感の得られる機種です。
発売以来各所で「最強」と評価されているGalaxy S7 edgeですが、確かに最強と言えば最強。スペックシートを見る限りは最強で、実際に買った直後の満足感は近年でもトップクラスでしたが、しばらく使ってみた中で細かい点を見てみるとやはり荒削りな点が多く、最強ながらに暴れ馬といったところの評価が適切かもしれません。