今回で第3世代目となる、2021年モデル新型AirPodsを新たに買って使ってみたので紹介していきます。
第3世代目AirPods(通称AirPods 3)は2021年10月19日にお披露目された最新モデル。
従来のAirPodsから形状が変更され、上位モデルのAirPods Proと同様の形状・操作方法に刷新。空間オーディオにも対応し、耐汗耐水性能もIPX4相当となっています。
今回かなり大きな進化を遂げており、結論から言えばメインのイヤホンとしてAirPods Proから乗り換えたほどのお気に入りイヤホンになりました。このレビューでは実際に使ってみた感想を順を追って解説していきます。
この記事の目次
AirPods 3、AirPods 2、AirPods Proの性能比較
まず、第3世代AirPodsを先代モデルの第2世代AirPods、上位モデルのAirPods Proとの違いを比較していきます。
AirPods(第3世代) |
AirPods Pro |
AirPods(第2世代) |
|
---|---|---|---|
発売 | 2021年10月26日 | 2019年10月30日 | 2019年3月20日 |
ノイキャン | × | ○ | × |
空間 オーディオ |
○ | ○ | × |
ワイヤレス 充電 |
○ | ○ | △ (対応ケースが必要) |
耐汗耐水 | IPX4 | IPX4 | × |
電池持ち | 6時間 | 4.5時間 | 5時間 |
操作方法 | 感圧センサー | 感圧センサー | タッチセンサー |
本体重量 | 4.28g | 5.4g | 4g |
定価 | 23,800円 | 30,580円 | 16,800円 |
AirPodsは2016年に発売された第1世代モデル、2019年に発売された第2世代モデルともに足が長く伸びた外観は5年間継承されてきましたが、今回の第3世代になりAirPods Proのような足の短いコンパクトな外観に刷新されました。
従来はタップして操作する仕組みだったものがAirPods Proと同様の足を「つまむ」感圧式に変更され、従来型にあった「トントン」というタップ操作による耳への不快感が払拭されているのも大きな変更点。
AirPods Pro、ヘッドホンタイプのAirPods Maxに搭載されている「空間オーディオ」機能にも今回から対応。頭の位置をリアルタイムでトラッキングし、空間上に立体的に音源を配置することで臨場感のあるオーディオ体験が得られるようになっています。
続いて、実際の新型AirPodsのパッケージ・本体の外観を写真でチェックしていきます。
パッケージ・外観
こちらが第3世代AirPodsの箱。以前レビューした第2世代AirPods、AirPods Pro同様に製品画像がプリントされたミニマルな白いパッケージとなっています。
箱はiPhone 13シリーズ同様、環境に配慮した紙の箱からテープを剥がすだけで開封できる仕組みに。上下2つのテープを矢印の方向に引っ張ることで中の箱を出すことができます。
最上部にはDesigned by Apple in Californiaの文字が入った冊子スリーブが入っています。
スリーブの中身。
スリーブの下にはAirPods本体がフィルムに包まれて入っています。外装のフィルムは省略されても光沢感のある本体は保護のために残されているようです。
台座の下には充電用にUSB-C Lightningケーブルが入っているので見落とし注意。別途買うと1mでも約2,000円するものなので、同梱は嬉しいところ。
こちらがAirPodsを含んだ充電ケース本体。先代モデルは縦長でしたが、今回から横長のケースになっています。
ワイヤレス充電に対応していますが、有線充電もできるよう下部にはLightning端子を搭載。
背面は電池残量確認や手動ペアリングに使える物理ボタンを搭載。
ケースを開けたところ。横長ケースになったことで開けた際の雰囲気もAirPods Proに近くなっています。
こちらが本体。第2世代と比べると足が短くスマートな印象になったほか、耳に入る部分の形状が楕円形に引き伸ばされてフィット感の改善が図られています。
外側には通話用マイクが搭載されており、風切り音を抑えるメッシュが施されています。
左右それぞれにフラットな感圧タッチ面が用意されており、AirPods Pro同様につまむ事で1回で再生・一時停止、2回で次の曲、3回で前の曲といった操作が可能。AirPods Proではノイズキャンセル機能の操作に割り振られていた長押しはSiriを起動に変更されています。
装着感は2代目から大幅に改善、Proよりも疲れにくく軽快
第3世代AirPodsを使ってまず感じたのが装着感の良さ。2代目までの軽快なインナーイヤー型の良さはそのまま、形状が楕円形にアップデートされた事で耳の中での安定感がぐっと増した印象を受けました。個人的にインナーイヤー型は右耳が緩みやすい耳の形をしていますが、旧型と比べるとかなり落ちにくくなっていると感じました。
また、AirPods Proと比べると長時間の使用で疲れにくいと感じました。AirPods Proはシリコンのイヤーチップでぴったり耳の穴にフィットして安定感があるものの、あまりに長い時間使いすぎると耳への圧迫感があります。今回のAirPodsは落ちにくい形状になっているものの耳の穴に乗る形はそのままなため、耳を押し返す感覚が無く長時間通話などに使っても耳への負担が少なく感じました。
個人差はあるかと思いますが、今回の形状変更は個人的にかなり大きなアップデート。AirPods Proと比べると軽快感があって楽に使えるだけでなく、旧型の弱点であった安定感も改善されており、使い勝手の良いイヤホンになっています。
音質はAirPods Proに近い音に大きく進化
第2世代までのAirPodsはインナーイヤー型という弱点もあり、通話用やYouTube観賞用には手軽で良いなと思った一方で音楽鑑賞には使う気が起きなかったというのが正直なところ。一方AirPods Proはカナル型で低音までそれなりに出してくれるため、出先で音楽を聴くのに十分なAirPodsがようやく登場したという感想でした。
今回の第3世代AirPodsは、インナーイヤー型でありながら低音が大きく進化。従来のフラットな音の方向性はそのまま、より広く出るようになったと感じました。形状の違いから音の出方には違いはあるものの、音質的にはAirPods Proにかなり近づいたという印象を受けました。
今回のAirPodsは、音楽を聴く用のAirPodsとして個人的には合格です。
充電ケースはMagSafe充電器互換に
iPhone 12シリーズから導入されたワイヤレス充電をマグネットで位置合わせできるMagSafeですが、今回のAirPodsからこのMagSafe充電器に対応。マグネットで吸着するようになっており、既にiPhone 12以降のiPhoneを充電するMagSafe充電アクセサリがある場合はAirPodsでも兼用することができるようになっています。
空間オーディオ対応&低音増強は映画鑑賞にうってつけ
AirPods ProやAirPods Maxに搭載されていた「空間オーディオ」が今回のAirPodsにも搭載。AirPods本体が頭の位置をトラッキングすることで、空間上に音を配置してあたかも現実空間上で音が鳴っているかのように立体的に音声を鳴らす事のできる技術。最新iOSでは通常のステレオ音声を空間オーディオに変換することも可能になりました。
音楽でも空間オーディオは楽しめるものの、やはり真価を発揮するのは映画鑑賞。シーン上で立体的に音が動き回る映画の音声は空間オーディオとの相性が良く、映画館で観ているかのような立体感のある音声で映像作品を楽しむことができます。
第3世代AirPodsは低音が大きく強化されている事もあり、新たな空間オーディオと低音が組み合わさってインイヤー型のワイヤレスイヤホンとしては最高峰の映画鑑賞用のイヤホンなのではないかと感じる出来でした。
音楽に関しては従来のステレオ音声で聴くほうが個人的に好みですが、映画は本当に力を発揮すると感じました。
AirPodsケースを開けるだけで簡単ペアリングは従来どおり
AirPodsシリーズの魅力であるApple製品との繋ぎやすさは3世代目になっても健在。ケースを開けるだけでiPhoneの画面上にAirPodsのダイアログが表示され、通常のBluetoothのペアリング操作は不要となっています。
なお、ケース背面のボタンを使えばApple製品以外とも汎用のBluetoothイヤホンとしてのペアリングは可能。WindowsパソコンやAndroid端末でいざという時にイヤホンが必要になってもAirPodsを使うことができます。
Apple製品間の切り替えの気持ちよさも変わらず抜群
AirPodsシリーズの魅力はペアリングだけでなく、一度ペアリングしてしまえば同じApple IDでサインインしているApple製品の間での切り替えが楽なのもポイント。iPhoneやiPadは接続しているデバイスを意識することなく音声の再生開始と同時に該当デバイスに切り替わるため、そもそも「デバイスの切り替え」という概念を意識せずとも自然に使うことができます。
個人的に愛用しているヘッドホンのBose NC 700 HPも2台のデバイスと同時に接続しつつ音声の再生が開始された方のデバイスの音声を自動的に流してくれる機能がありますが、これも2台まで。Apple製品以外とも組み合わせて使えるメリットはあるものの、やはりApple製品間を3台以上サクサクと行き来できるのはAirPodsシリーズならではの使い勝手です。
Apple Watch×AirPodsも同様に簡単に引き継げるため、ちょっとした徒歩での移動や散歩の間にiPhoneを出さずともAirPodsをつけるだけで音楽が聴けるのも使い始めると地味に便利。
自動切り替えに頼らず手動で切り替える場合も各デバイスのコントロールセンターからスムーズに切り替えができるので、デバイスの切り替えという点においては最もストレスフリーな選択肢に感じます。
iPhone、iPad、Apple Watch、Macと身の回りにApple製品が多い環境の方ほどAirPodsは普段使いのイヤホンとして利便性が高まっていくので、この辺りはさすがのAppleのエコシステムの作り方だなと感心させられます。
遅延は変わらず少なく、ゲームも楽しめるイヤホン
AirPodsシリーズは代々ワイヤレスイヤホンにありがちな遅延が少ないイヤホンでしたが、今回の第3世代も遅延は気にならないレベル。リズムゲームなど有線イヤホン並の無遅延が望ましいゲームを除けば、ゲームの音声を出先でも楽しみたいといった場合でもAirPodsは十分実用的です。
「AirPods」として大きく進化した、完成度の高い新モデル
2016年の初代モデルや2019年の第2世代AirPodsは正直Apple製品との接続性の良さは流石だなと思う所があったものの「迫力の無い音」「ケースからの出しにくさ」「耳の中での安定感の無さ」「操作性の悪さ」といった所で不満が多く、結局普段使いするイヤホンにはなりませんでした。
その後発売されたAirPods Proはそれらの問題点が改善しており、結果としてAirPods Proのレビューを書いて以来メインの持ち運びイヤホンとしてずっと愛用。そんな中発売されたのが今回の第3世代AirPodsなのですが、結論として普段使いのイヤホンがAirPods Proから新型AirPodsになりました。
不満だったポイントが全てAirPods Pro同等レベルに引き上げられ改善されており、なおかつAirPods Proと比べて長時間の利用が楽というのが決め手。ここは個人差がある部分ではあるとは思うものの、自分は在宅中に長時間通話したり、音楽を聴いたりといった用途に使っていて明白に耳への圧迫感や負担が少なく、AirPods Proよりも楽に感じました。また電池持ちが良くなったため、長時間使える快適性+長時間使えるバッテリーと性能も噛み合っています。
AirPods Proと比べるとノイズキャンセル機能が無いため電車など公共交通機関での移動はAirPods Proの方が快適に感じるものの、環境音を遮断する必要が無い場合は第3世代AirPodsのほうが個人的には圧倒的におすすめ。
唯一AirPodsシリーズのイヤホンは音量調整機能が「Siriでの音声操作のみ」と大変弱いためそこはデバイス本体で調整するなり、Apple WatchのDigital Crownで調整するなり運用でのカバーが必要な点ではあるものの、今回のアップデートでAirPodsの弱点は限りなく少なくなったのではないかと思います。
音楽良し、映画良し、通話良し、ゲーム良しでオールラウンドに使え、かつ充電ケースも引き続き多くの他社製品と比べて圧倒的にコンパクトで常備しやすいサイズ。既にAirPods Proを持っていた私も乗り換えたほどお気に入りで、iPhoneやiPadなど日頃Apple製品を中心に使っている方であればまず第一候補としておすすめしたいイヤホンです。
追記:故障に備えた保証サービスの加入はおすすめ
第3世代AirPods購入から約1年半で片耳が接続不能になる故障が発生し、修理費が本体代近くかかるといった事態になったので、こういった故障に備えた保証サービスの加入は強くおすすめ。Apple標準のAppleCare+であれば2年まで保証してくれるほか、月額700円のモバイル保険であればメインのスマートフォンの保証に加え副端末として2年以上保証し続けてくれるので、長く使う場合はこちらの加入がとてもおすすめです。