電動昇降デスクおすすめの選び方。低価格、オーダー天板、L字など目的別に解説

在宅ワーカーの増加で注目度が高まっている電動昇降デスク。今回は実際に複数のメーカーの製品を数年間使ってみた筆者が、そのメリットや目的別の選び方をまとめていきます。


電動昇降デスクのメリット

電動昇降デスクは、天板を支える脚の高さが電動モーターによって上下する机。昇降デスクの中ではガス圧で昇降するものに比べ、力強いモーターで上下するため卓上にPCモニターなどの重量物を置きやすいのもメリットとなっています。

通常のワークデスクと立ち作業のスタンディングデスクをボタン一つで切り替えられるため、座りっぱなしになりがちなデスクワークに動きを取り入れて疲労や腰痛を軽減したり、リフレッシュしてモチベーションを高めたりといった効果が期待できる製品です。

例えば昼下がりの眠くなる時間帯などに立ち作業を挟む事により、眠気を解消してすっきりした状態で作業できるといった使い方が可能。集中力が途切れがちなシーンで重宝します。

通常のスタンディングデスクと比べると電動で上下できるため、モニターアームを使った環境や複数の画面を並べたマルチモニター環境など重量のある環境であってもモーターの力でそのまま座り作業・立ち作業を行き来できるのが強み。

マルチモニターによる生産性の向上と、スタンディングデスクによる生産性の向上、2つを両立できるのが電動昇降デスクの最大のメリットです。

アイリスオーヤマ山善といった知名度のあるメーカーも販売している他、Amazonではスタンディングデスクに特化したFlexiSpotというメーカーも人気。昇降できる耐荷重の規模によって2万円台の物から10万円以上の物まで様々なモデルがラインナップされています。

電動昇降デスクを実際に導入しているデスク環境の例

実際に電動昇降デスクを導入して構築した我が家のデスクがこちら。以前デスクツアー記事でも紹介したとおりデスクトップPCと3枚のモニターを卓上に配置していますが、重量級の環境をモーターで昇降して立ち作業・座り作業を行き来する事が可能になっています。

実際のデスクの雰囲気や動いている様子はこちらのデスクツアー動画でも紹介しています。

電動昇降デスクの2つの選び方

電動昇降デスクの買い方は大きく分けて2つあり、最初から天板とセットになった物を購入する方法と、天板と脚を別々に購入する方法。それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。

1. 脚と天板がセットになった製品を買う

最も簡単なのがこの方法。天板はメーカー側で穴開けされた状態で届くので、ネジ留めするだけで組み立てが可能。脚に対する対応した天板のサイズなどを心配する必要が無く、別々に買うのと比べると手間が大幅に省けます。

ベーシックなエントリーモデルであればFlexispotのEG-1 Lightがの25,800円から購入可能で電動昇降デスクの中では総額も安く、初心者にもおすすめしやすい選択肢。120cm×60cmという標準的なサイズ感で、多くの部屋に置きやすい大きさとなっています。

デメリットとしては用意された天板しか選べないため、サイズや柄、形状など天板の選択肢が限定される点。見た目としては「よくある電動昇降デスク」になりがちなので、個性を出したい方は後述する別々の購入がおすすめ。ただ以前レビューしたダイシンのスマート昇降デスクに関しては100種類以上の柄がオーダー可能で、天板を別途用意せずとも個性的な外観が実現できます。

また、電動昇降デスクは重たいパーツが多く組み立てが難関ですが商品によっては組み立て&設置サービスが選べる物もあるため、設置に自信がない方は利用するのも手。山善オカムラなどが設置サービスを提供しています。

2. 脚のみ購入し、天板はオーダーやDIYで調達

個性を出したい方に是非おすすめしたいのが脚と天板を別々に購入して組み合わせる方法。写真はFlexispot E7の電動昇降脚マルトクショップでオーダーした天板を組み合わせたもの。180cm幅のアカシアの木の天板で、個性の強い柄とトリプルモニターが収まる幅を両立したデスクとなっています。

この方法のメリットとしては何と言っても天板の自由度の高さで、脚側の許容範囲内であれば好きなサイズ・好きな素材で電動昇降デスクを組む事ができます。また、天板をオーダーするショップによってはケーブルを通す穴や切り欠きを指定の位置に加工してくれるサービスもあるので、自分の組みたいデスク環境に合わせて自分だけの仕様にする事もできます。

オーダー以外にもDIYで天板を用意するという方法もあり、自分の好きな仕様で仕上げる事が可能。ホームセンターで木材を購入して自分で表面のオイル加工などを行う方法であれば木材自体は数千円から購入可能なため、手間をかける事で低予算で大型のデスクを組むことも可能。

個人的にマルトクショップのオーダー天板は実際に自分で購入して満足度が高くイチオシ。好みの木材の無垢板のフリーカット、コストパフォーマンスに優れた集成材のフリーカットで自分の部屋のサイズにぴったりの天板を作る事が可能。エッジの丸め処理や穴あけ、溝カットなど細かく仕様を決めてオーダーする事ができるので、DIYはせず理想の天板を作りたいこだわり派にはおすすめしたい方法です。

電動昇降デスクのグレードを選ぶ際の注意点

電動昇降デスクはグレードに応じて値段と性能が異なり、自分に合った性能の物を選ぶのが大事。ここでは実際に複数のモデルを使った中で気付いた注意点をピックアップしていきます。

1. 耐荷重は余裕を持って選ぶのがおすすめ

実際に複数の電動昇降デスクを使ってみて感じたのは、耐荷重は余裕を持って購入するべきということ。耐荷重100kgのダイシンのスマート昇降デスクと耐荷重120kgのFlexiSpot E7に同じデスク環境をセットアップして使ったところ、やはりFlexiSpot E7の方が動きがスムーズで余裕を持って昇降でき、安心感がありました。

エントリーモデルのFlexiSpot EG1などは耐荷重が60kgと少なめなので、マルチモニター環境やデスクトップPCを乗せようと思っている方は注意。実際の総重量よりも一回り余裕を持ったスペックの物がおすすめです。

2. メモリー機能があるとワンボタンで昇降できるため重要

低価格のエントリーモデルからは省かれている事が多いメモリー機能。高さを複数のボタンに記憶しておいてワンボタンで呼び出せる機能ですが、これは電動昇降デスクを使うにあたって非常に重要な機能なため可能であれば搭載したモデルにするのがおすすめ。これが無い場合は押した分だけ上昇・下降する操作になりますが、メモリーボタンがあれば一度押せば指定した高さまでは自動で移動してくれるため、操作が劇的に楽になります。

FlexiSpotであればエントリーモデルのEG1ではなく、ひとつ上のEF1にすればメモリー機能が搭載されます。

3. 廉価モデルは昇降範囲が狭いので用途に合うか要確認

エントリーモデルの電動昇降デスクは価格を抑えるため稼働部の段階が少なく、結果として昇降範囲が狭められているため、ここは購入前に確認するべき重要ポイント。特に最低高は最も確認するべきポイントで、エントリーモデルはあまり低く下がってくれないため注意。

具体的にはFlexiSpotのエントリーモデルEG1最も低い状態で73cm。一般的な作業デスクの標準的な高さです。

一方の上位モデルのFlexiSpot E758cmまで下がるので、通常のデスクよりも更に低い状態まで下げる事が可能。以前紹介したiMacのデスクツアーの環境ではFlexiSpot E7の可動域を活用し、低めのチェアと組み合わせてデスクも60cm台の高さまで下げて低めのデスクを構築しています。

低めの高さまで下げて使いたい方は可動域の広い上位モデルがおすすめです。

特殊な電動昇降デスクの選択肢

また、例外として市販されている電動昇降デスクの中で少しイレギュラーなモデルもラインナップされているためピックアップしていきます。

1. L字の電動昇降デスク

電動昇降デスクは基本的に2脚で支える横長の長方形のデスクがほとんどですが、一部L字デスク形状の物も出ているので、「電動昇降デスクが欲しいけどL字も捨てがたい」といった方に向けて紹介。

FITUEYESのV型電動スタンディングデスクは2脚の上にV字天板が乗っているデスク。他に無いユニークな形状で、120×120cmのコンパクトなサイズ感で部屋の角に広い作業スペースを詰め込むことが可能。価格も3万円台前半でエントリーモデルに近く、手が出しやすい域。ただ可動域は750-1225mmとスタートがやや高めなので注意。

ITCのL字型電動昇降デスクは180×180cmと大型のL字の電動昇降で、3つの脚でしっかり大型天板を支える製品。可動域も64~129cmと広く、ハイエンドなL字昇降デスクとなっています。こちらは高性能なだけあり11万円台と値が張りますが、L字かつ電動昇降で広大なワークスペースを上下できる類を見ない強力な製品となっています。

また、FlexiSpotからもE7の派生で「E7L」というL字昇降デスクが2022年より新発売。定評のあるE7の性能はそのまま、L字にも対応した製品。こちらは脚・天板別売で、それぞれ約6万円スタートとなっています。

2. スマホ操作可能なスマート昇降デスク

以前レビュー記事でも紹介したダイシン工業のスマート昇降デスクは、スマホでの遠隔操作や昇降リマインダー機能を搭載したハイエンドモデル。価格は既存天板の物が約9.5万円から、オーダー天板の物が約12万円からと高めの価格帯にはなってくるものの、天板のクオリティは高く可動域も64〜128cmと広め。コントローラーを触らずにスマホアプリから操作したかったり、リマインダーによって立ちすぎ・座りすぎをアラートしてもらい、積極的に昇降機能を使いたい方にはおすすめです。

目的別、おすすめの電動昇降デスク

それでは、目的別にどの製品がおすすめか具体的に紹介していきます。

1. とにかく【安い】電動昇降デスクが欲しい

とにかく低予算でコスパ重視であれば、Amazonで購入できるBilBilの上下昇降デスクが約2万円ほどで購入可能。天板サイズは110×60cmと標準よりやや幅が狭めですが、可動域が69〜115cmと一般的なエントリーモデルよりやや低めに設定されています。

エントリー価格ながらメモリー機能も搭載されており、4つのポジションをボタンに登録して呼び出す事が可能です。

2. とにかく【楽に】完成形が欲しい(設置・組立はお任せしたい)

電動昇降デスクは組み立てが大変。それを配送時にお任せしたいという方には山善の昇降式デスクがおすすめ。

価格は約5万円前後で120×70cmの標準モデルから100×50cmのスリムモデルまでサイズが選べ、設置・組み立てサービスが+2,200円で追加可能。電動昇降の脚を組み立てて大型の天板を乗せて固定するのは重労働なので、一人暮らしの方などにはおすすめできるサービスです。

3. こだわって【理想】の天板のデスクを作りたい

理想のデスクを作りたい方におすすめしたい組み合わせが、FlexiSpot E7の脚だけ購入し、天板はマルトクショップでオーダーするという組み合わせ。FlexiSpot E7は125kgまでの重量がOKで58cmまで下がる高可動域、2メートル級の大型天板にも対応した高性能モデルですが、脚だけであれば約5万円強で購入可能。

これにマルトクショップの天板を組み合わせるという方法がとてもおすすめで、好きな木材・好きなサイズ・好きな加工で理想のデスクを作る事が可能。ウォールナット、ホワイトアッシュ、ゴム、アカシアなど様々な木材から好みの素材を選んで部屋の雰囲気に合わせられるため、自分だけの唯一無二のデスクにする事ができます。

4. 狭いスペースで【収納】も便利に使いたい

限られたスペースの中で電動昇降デスクの天板の下の引き出しに物を収納して便利に使えるのが、FlexiSpotの新モデルFlexiSpot EG8。120×60cmという大きすぎないちょうどいいサイズ感に、机の下の引き出しを追加したモデル。

USB type Aポート×2、USB type Cポート×1の充電端子も内蔵されており、卓上に充電器を設置しなくても充電ができる、すっきりとした省スペースなモデルとなっています。Amazonでの価格は46,800円

電動昇降デスクと一緒に買っておきたい便利アイテム

最後に、電動昇降デスクを実際に長期間使ってみて、これはあると便利というマストアイテムをピックアップしてみたので紹介していきます。

1. 電源の配線トレー・配線ボックス

電動昇降デスクの上にモニターやPCを設置する場合、ACアダプタが机の上や後ろに散乱しがち。それを綺麗にまとめる事によって電動昇降デスクのビジュアルはグッと引き締まるので、ケーブルマネジメントできるトレーやボックスの導入はおすすめです。

1つ目のおすすめはサンワサプライの配線トレー。メッシュ状のトレーにACアダプタなどを並べて管理できるので、メンテナンス性が良いのが特徴。天板にネジで固定するタイプと天板裏にクランプで固定するタイプの2種類がラインナップされています。

もう一つの候補としておすすめしたいのが、プラスGarageの配線ダクト。ボックスタイプで上から蓋をするため中身が管理しやすく、中が見えないため外観が非常に綺麗になります。デスクの奥側にクランプで設置する仕組みのため部屋に奥行きが必要なアイテムではありますが、ケーブルマネジメントが非常に綺麗に収まります。

2. 床までの配線ダクト

電動昇降デスクは床との距離が変わるため、コンセントまでの電源ケーブルなどの配線が高さによってたるんだり張ったりと、綺麗に収めるのが難しいポイント。これに対策するための専用のアクセサリが販売されているので、実際に使ったものを紹介します。

一つ目はFlexiSpot純正のケーブルダクト。ネジで固定するタイプで、蛇腹状になっていて高さに関わらずデスクの天板から床まで綺麗にケーブルを下ろす事ができます。

次点でおすすめなのがサンワダイレクトのケーブルカバー。こちらも同じ蛇腹ですが、ややコンパクトかつ取り付けがクランプ固定なのでネジ留めが不要というメリットがあります。天板に穴を開けたくない方はこちらがおすすめ。


以上、電動昇降デスクおすすめの選び方でした。日頃から電動昇降デスクを2台使い分けている中で色々と電動昇降デスクに関する知見が溜まっていたので書き出してみましたが、結構参考になるポイントが洗い出せたのではないのかと思います。

実際のところ電動昇降デスクは家でデスクの前に座りっぱなしのライフスタイルには重宝する製品なので、在宅で働いている方には特におすすめしたいアイテム。理想のデスクを組むとモチベーションもアップするので、家の作業環境に是非検討してみてはいかがでしょうか。

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キリカ

ガジェットショットを作った人。本業はUI/UXデザイナー。趣味は理想のデスク環境作り、愛車「エリーゼ」「ジュリエッタ」でのドライブ、車旅を動画・写真に残す事。