4つ目の大手キャリア楽天モバイルの自社回線「Rakuten UN-LIMIT」レビュー。iPhoneでも使え、速度も快適

4つ目の大手キャリア楽天モバイルの自社回線「Rakuten UN-LIMIT」レビュー。iPhoneでも使え、速度も快適

2019年10月より開始され、いち早く楽天モバイルの自社回線網「Rakuten UN-LIMIT」を体験できる「楽天モバイルサポータープログラム」に当選して以来、3ヵ月以上使っています。


日本で自社の基地局を設置し移動通信サービスを提供している大手キャリア、厳密に言うとMNO(Mobile Network Operator)は現在NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクの三社のみ。かつて「Pocket WiFi」でモバイルWiFiルーターの代名詞になった第四のキャリア「イー・モバイル」ものちにソフトバンクに吸収されたため、日本での第四のキャリアとしては楽天モバイルはそれ以来の登場となります。

楽天モバイルは現在ドコモの回線を借りたMVNOとして格安SIMとしてサービスを展開しており、全国に数百店舗展開している実店舗での販売網や、FREETELやDMM mobileの買収を経て現在は約3割のトップシェアを持つ格安SIMブランド。

その次の一手として控えているのがドコモ回線の又貸しの格安SIMではなく、自社で基地局を設置する「MNOとしての楽天モバイル」の参入です。

しかし全くの白紙からいきなり全国の携帯電話網を整備するのは現実的ではないため、サービス開始時は都心部を自社網でカバーし、それ以外はau回線にローミング接続する形で対応。その自社回線網をテストするべく参加者を募集したのが今回参加している「楽天モバイルサポータープログラム」で、東京23区、名古屋市、大阪市、神戸市に在住を条件に5000名限定で募集。筆者は東京都在住で運良く当選したため、10月から楽天モバイルの自社回線網を使えるSIMカードを試用しています。

楽天モバイルサポータープログラムは最長2020年3月31日までの実施を予定しているため、順当に進めば2020年4月には正式サービスの「楽天モバイル」自社回線のサービスが開始する見込みとなっています。

それでは早速、2019年10月〜2020年1月の間に楽天モバイルサポーターのSIMカードを使った使用感を書いていきます。

端末は自腹、SIMは月額0円のサポータープログラム

楽天モバイルサポータープログラムは、申し込み時に対応する楽天モバイルの端末の購入が必須。SIMカードの発行とサポータープログラム中の月額利用料は無料なものの、それを利用するための端末までは無料ではないという、「半分自腹のクローズドβテスト」といった感じでした。

楽天モバイルサポーター用の端末は低価格帯のものがいくつかラインナップされていましたが、自分はOPPO Reno Aを購入先日レビューしたとおり、3万円台の低価格ながらSnapdragon 710という比較的高性能なプロセッサ、6GBの潤沢なRAM、防水防塵対応、おサイフケータイ対応、実用的な画質のカメラを搭載するなど、かなりコストパフォーマンスに優れた端末でした。低価格・大容量を売りにしていくと思われる楽天モバイルですが、容量に余裕があり高速な楽天の回線と、低価格ながらスペックに余裕のあるReno Aとの組み合わせはサポータープログラム時点で快適だったので、サービスイン直後の楽天の強い武器になりそうです。


当初SIMカードの開通こそは楽天モバイルサポーター直販の端末でしかできなかったものの、一度開通したSIMカードは一部の他の端末でも流用でき、iPad mini 5やau版Xperia 1などでは何の問題もなくAPNを設定するだけで楽天自社網、auローミング網ともに直販モデルと変わらずスムーズに接続できました。

スピードテストを実施しても下り100Mbps近い速度が出る場合も多く、テザリングも可能で使用感は快適そのもの。au版Xperia 1 SOV40は楽天モバイル用端末としては個人的に安定していておすすめです。2019年夏モデルとしての発売以降白ロム相場も落ち着いてきており、自分が購入した発売時当初の11万円オーバーの定価よりかなりお買い得な6〜7万円台で手に入るので、楽天モバイルが快適に使えるフラッグシップスマホを求めているのであれば狙い目だと思います。

一方で当初楽天モバイルで販売予定とされていたOPPO Reno 10x Zoomも手元にあったので試してみたところ、残念ながら一切通信不可でした。

また、国内SIMフリー版iPhone 11 Pro/iPhone 11で試してみたところアンテナピクトがグレーアウトし、データ通信はできるものの通話は不可。エリアが限定的な新規参入キャリアで電波表示が確認できないのは不便なので、実用的ではないと思いiPhoneでの利用は一旦断念。何故か後日12月頃から突然利用可能になったのですが、それまではiPhoneでの利用はしませんでした。

屋内は厳しい箇所も

楽天モバイルサポーターでは毎月100GBの通信容量に加え、1GBの追加チャージも無料という実質的に無制限の容量が与えられたため、必然的に用途として思いつくのが外出先でのパソコンへのテザリング。早速使ってみようと都内のいくつかのカフェにパソコンと楽天モバイルのスマホを持ち込んでテザリング時の使用感をチェックしようと思ったものの、ほとんどのカフェの店内は圏外。地下の店舗であればほぼ100%圏外といった形でした。出先でパソコンを開いて作業するのであればテラス席や窓際席を選ばなくてはならないといった状況でせっかくの大容量のデータ通信量は毎月かなり持て余してしまい、出先のデータ通信はメインで使っていてエリアの広いドコモ網に頼る事がかなり多かったです。

やはり楽天モバイルは現時点では1.7GHz帯しか周波数を持っておらず、それだけでエリアを構築する必要があるのは厳しいところがあるのではないかと思います。以前ソフトバンクが建物の中でも回り込みやすい特性を持つ「プラチナバンド」の900MHz帯を2012年に獲得、その後プラチナバンドをアピールするCMをガンガンと打ちまくっていた時代が懐かしいですが、それも納得。かつて「ソフトバンク孫正義社長が喉から手が出るほど執拗に要望したプラチナバンド」の構図を今度は三木谷浩史社長も繰り返すのかもしれません。

楽天にもauにも繋がらない「穴」も多し

実はMNO版楽天モバイルのSIMカードは「自社網の圏外でauにローミングする」というのは、厳密に言えば間違いです。というのも、楽天のSIMカードが接続できるauの基地局は楽天が自社網の穴を埋めるため個別にローミング用に選んだ基地局のみのようで、全てのau基地局に接続できるわけではないのです。そのため、楽天がエリア内と表明しているエリアで、楽天の基地局の電波が届かない場所はauの基地局があったとしても概ね「圏外」になってしまいます。先述した飲食店の屋内に圏外が多かったのもこれが理由。自社網がカバーしているエリアの店内のエリアを埋めるためにauローミングを使うという事はしていないようです。ちなみに、auローミングで接続される基地局は「基本は800MHz帯」とKDDI側から発表されており、auの通信網の全てが利用できるわけではないので注意。実際、挙動を見ていてもauはBand 18にしかローミングしないようです。

そのため、実際の使用感としては楽天の自社網が整備されていない、オールauローミングの地方の方が快適というなんとも皮肉な感じに。都心部の屋内での接続性は今後の楽天自社網の大きな課題だと感じます。

なお、東京の地下鉄の駅構内など公共交通機関の地下エリアなどは概ねauローミングでカバーされており、地下通路への入り口で地上の楽天から地下のauの基地局に切り替わる挙動となっていました。

楽天/auの切り替え速度は明らかな改善を感じられた

先ほど書いたとおり地下鉄の駅に入る際には楽天からauに、地上に出る際にはauから楽天に切り替わりますが、この受け渡しにかなり時間がかかる場合があり、境目を跨いでから通信できない時間が数十秒間続く事もしばしば。しかし通信設備の最適化が進んだのか、時間がかかる事は減ってきたように感じます。

上記動画は直販モデルのOPPO Reno Aで楽天モバイル自社網(Band 3)からauローミング網(Band 18)へ切り替えている瞬間をSingal Check Proというアプリで確認しているところ。上手くいくとかなりスムーズです。

また、現段階では楽天自社網とau網を跨いだ際には通話が途切れてしまう仕様となっているようで、今後改善予定らしいものの、移動しながらの電話は現段階ではあまり向いていない通信網となっています。

端末のラインナップは既に充実、正式サービスにも期待

このあたりは流石楽天といったところですが、楽天サポータープログラム開始時のOPPO Reno A、Xperia Ace、arrows RX、AQUOS sense3 lite、Galaxy A7といった低価格モデルに加え、現在ではGalaxy Note10+、Galaxy S10といったサムスンのフラッグシップモデルも選択可能になり、MNOらしいラインナップに近づいてきています。このあたりはドコモのMVNOとしての楽天モバイルとして培ってきた端末調達の実績でこなれている感じが伝わってきます。

なお、MVNOとしてのの楽天モバイルで販売している機種に関しても自社回線網に対応したモデルを「楽天回線 対応」と目立つ形で表記して販売しており、自社回線&MVNO全体の販売ラインナップとして自社回線へのシフトを視野に入れている事が伺えます。

Galaxy、Xperiaと日本の二大人気ブランドを揃えた楽天ですが、MVNOからMNOへの移行にあたってiPhoneを獲得できるのかも気になるところ。現時点でMVNOとしての楽天モバイルはiPhoneを取り扱っておらず、「今のキャリアで使っているiPhoneをそのまま安く使えます」という売り方なので、独自ルートでiPhoneを調達しているmineo、大手キャリアのサブブランドとして過去モデルを販売しているY!mobileUQモバイルといったライバルが居る中で、楽天モバイルがiPhoneを獲得できるかは今後ひとつの注目ポイントなのではないかと思います。

デュアルSIMのiPhoneとの相性は抜群

先日秋葉原のイオシスで新品のiPhone 11 Pro Maxの香港版デュアルSIMモデルを購入したのですが、楽天モバイル自社回線SIMとこのデュアルSIMモデルの相性が抜群によく、ここ1ヵ月ほどメインでRakuten LTE表示のiPhoneを使っています。

当初あったサポーターSIMの不具合も無くアンテナピクトもしっかり表示され、かつ2枚の物理SIMカードが入るため容量無制限の楽天のSIMエリアの心配が無いドコモのSIMを組み合わせることで、長年使っているドコモの電話番号で待ち受けしつつ楽天のSIMカードで大容量通信もできるため、組み合わせとして凄まじく最強感があって気に入っています。

都心部のドコモユーザーの多い混雑エリアではユーザーの少ない楽天の通信網で通信でき、楽天のエリア内であれば快適にPCに繋いで大容量のテザリングもでき、都心部を出ればドコモの広いエリアとauローミングの広いエリアで二重に安心。今まで使ってきたデュアルSIMの組み合わせの中でも最も快適に使えている実感です。

かなり快適なので、楽天モバイル自社回線が4月以降正式サービスを開始してもこの構成でいく予定。かなりおすすめの組み合わせなので、既存キャリアの回線と楽天モバイルを組み合わせたいiPhoneユーザーには予算が許せば是非試してみてほしいセットです。

国内版iPhoneにeSIMで回線追加も可能

国内キャリアから販売されているiPhoneはシングルSIMスロットですが、iPhone XS以降は電子的に契約を追加できる次世代の「eSIM」も内蔵しています。実際に検証してみたところ、Rakuten UN-LIMITのeSIMはiPhoneでも利用可能でした。つまり、既存のSIMカードを入れて契約を維持したまま、eSIMも追加で導入して「デュアルSIM」の状態にする事が可能。例えば「電話はドコモ、データ通信は無制限の楽天モバイル」といった組み合わせで1台のiPhoneに導入し、お得に運用する事も可能。iPhone XS、XS Max、XR、11、11 Pro、11 Pro Max、SE(2020年モデル)を持っている方にはオススメの運用方法です。

正式サービスは大容量・低価格に期待

急ピッチで整備を進めているものの、20万近くの基地局を持つ他のキャリアと比べると数千にしか及ばず桁が2つ足りない楽天モバイル。かなり苦しい戦いになっていくと思われるものの、実際のユーザーとしての使用感としては想像していたよりかはまともに使えている、といったところが正直な感想です。都内の自宅でも自社回線の電波が届いていてしっかり速度が出ますし、日常の行動範囲内でもカフェの屋内は徐々に改善してきており、ニッチな地下の飲食店に潜らなければ特に不便は無し。そういったポイントではピンポイントで先述したとおりデュアルSIMのスマホを活用してドコモ網に逃げる運用をすればかなり便利に使える通信網だと感じています。

感覚としては、昔のWiMAXやイー・モバイルのWiFiルーターに近く、携帯電話をこれ1本にまとめるにはまだ不安が残るエリアなので、メインの携帯をMNOの楽天モバイルに乗り換えるのは現時点ではやめておくのが懸命でしょう。

実際楽天モバイルの100GB+の大容量SIMをメイン端末に入れて使うようになってからは、移動しながらの使い方には弱いものの、腰を据えた使い道には大変重宝しています。外出先でAdobe Lightroom CCのクラウドのRAWデータをがんがんダウンロードしてレタッチしたり、Googleフォトの自動アップロードをモバイル回線でもオンにする事でWiFiが無い場所でも同期して便利に見れたり、YouTubeやAmazonプライムビデオなどの動画配信サービスをストリーミングで見たり、積極的にパソコンを持ち運んでテザリングで作業したりと、スマホ自体の使い方が変わった実感があります。

今年は4Gからの5Gへの移行期に入りデータ通信の高速化・大容量化の波が来ると話題になってはいますが、4Gの時点でも低価格・大容量・高速の回線が実現できれば、それだけでかなり便利に使えるのだなと感じる回線でした。4Gの基地局を整備し始めるや各社5Gに移行し始めるタイミングに入り非常に辛いタイミングで参入する楽天モバイルではありますが、無料サポータープログラム並みの速度・大容量をそのまま低価格で実現し、エリアももう少しカフェなどで入るように改善してくれれば、とても便利な回線として2020年重宝するのではないかと期待を持っています。

当初告知していた3月31日のサポータープログラム終了まであと2ヵ月と1週間。楽天モバイルは果たして無事MNO参入に漕ぎ着ける事ができるのでしょうか。現時点では期待より不安が大きいですが、MNOの新規参入は間違いなくモバイル業界的にもビッグイベント。正直かなり楽しみにしています。

正式サービス「Rakuten UN-LIMIT」開始

2020年3月3日、正式サービスの料金プラン「楽天UN-LIMIT」が発表されました。月額2,980円で楽天回線は無制限、au回線は5GBまで。発表と同時に新規契約の受け付けも始まっており、キャンペーンにて1年間無料で利用可能。申し込みは楽天モバイル公式サイトにて受付中です。

キリカ

キリカ

ガジェットショットを作った人。最近まで学生生活の傍ブログを書いていましたが、今はデザイナーとして働いています。休日は愛車の「エリーゼ」「ジュリエッタ」に乗ってドライブに出かけたり、写真を撮ったり楽しんでいます。